4月14日はメキシコ人テノール、ハヴィエル・カマレナのリサイタルがWigmore Hallでありました。
ローゼンブラット弁護士が損を出しながらも熱意をもって続けて下さってる歌シリーズで、カマレナさんは 年前にこのシリーズでスティーヴン・コステロの代役として初登場し(→こちら )、好評だったので今回は最初からシリーズに入っていたわけですが、
いやー、すごい迫力で、皆ぶったまげて大興奮。 先回聴いてて知ってる筈の私ですら、また度肝抜かれちゃいました
Javier Camarena tenor
Ángel Rodriguez piano
Rossini Aria: Que les destins prospères from 'Le comte Ory'
Bizet Aria: Je crois entendre encore from 'Les pêcheurs de perles'
Donizetti Tombe degli avi miei... Fra poco a me ricoverò from 'Lucia di Lammermoor'
Donizetti Ed ancor la tremenda porta... from 'Roberto Devereux'
Donizetti Ah! mes amis, quel jour de fête! from 'La Fille du Régiment'
INTERVAL (20 minutes)
Tosti Lasciami! Lascia ch'io respiri
Tosti L'alba separa dalla luce l'ombra
Tosti In van preghi
Tosti In vano aneli
Tosti Che dici, o parola del Saggio?
Serrano Aria: Te quiero, morena from 'El trust de lost tenorios'
Lara Oracion caribe
Lara Mujer
Lara Veracruz
del Moral Besos robados
del Moral No niegues que me quisiste
アンコールはメキシコの歌2曲。
前半がオペラのアリアでしたが、かぶりつきだったので耳がしばらくおかしくなってしまう程の声量も驚異だけど、なによりも、明るく輝かしい芯のある美声がスコーンと突き抜けると、これはもう快感以外のなにものでもないですね これこそが他の音域の歌手では味わえないテノールの真髄で、「よし!」、と何度も拳を握ってしまいました
「おっ! もうすぐ高音が来るぞ~! ちゃんと出るかな、それともこけるかな?」、というスリルもテノールならではの楽しみなんですが、期待でワクワクしながらも心配は不要で安心して身をゆだねることができたのも滅多にできない経験でした。
高音が出てなんぼのテノール、彼の魅力ももちろんそれが一番なのですが、力強い低声もバリトン声じゃなくてクリアなテノール声だと言うのも私にとっては魅力です。
甘さ不足なのと優しく歌うべきところがちょっとナンなのが少々残念で、「僕の大好きなアリアです」と言ってから歌ってくれた2曲目の真珠採りのアリアと後半最初のトスティは、「うーん、これは声自体に甘い魅力があるテノールで聴きたいかも」、と思ってしまいましたが、それは贅沢というものでしょう。
このシリーズは、ローゼンブラット氏の好みなのでしょう、オペラのアリアだけじゃなくてナポリ民謡やカンツォーネ風の歌がたくさん聴けるのが楽しみなんですが、今回はカマレナさんの故国メキシコの歌もいくつか歌ってくれて彼自身楽しんだようだし、最後はまた違う面で盛り上がりました
ところで、
このシリーズでは特にお馴染みのトスティと言えば、イタリアからイギリスに帰化してサーの称号も授けられ、Royal Academy of Musicの教授でもあったそうですが、Wigmore Hallのすぐ近くに30年間住んでいたんですね。
先日、現Mandeville Hotelの壁にそれを示すプラークを見つけてますます親しみを感じてます
世界中で大活躍のカマレナさんですが、やっとロンドンでも本格的デビューが控えてて、
まず今年のプロムスのセミラーミデ(9月4日→こちら )、そしてROHの来シーズンではセヴィリアの理髪師が決まっているので、どちらも楽しみ。
プロムスは好きではないですが、やっぱり快感は生で聴いて味わいたいので、行ってみようかな。こんな小さなホールではなくて、でっかい所でこそ彼の歌声が映えるわけですから。
ご満悦のローゼンブラットさん、プロムスのこともROHのこともご存知なかったけど、「でも、最初に彼を聴いたのは僕のこのシリーズだよね」、と誇らしげでした。感謝。
音楽(クラシック) ブログランキングへ