<22nd Apr Fri>
今日は寒くて暗くて雨も降って悲惨でしたが、昨日の女王様の90歳のお誕生日が良いお天気で本当によかったです。予報に反してお陽様も出ましたもんね。明日はどうかしら? 私の誕生日だってことはどうでもいいんですが、イギリス国家にとってはシェークスピア没後4百年という大事な記念日なんです。
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4月15日、バービカンの一部であるミルトン・コートでヘンデルのサウルを聴きました。
旧約聖書に出てくる二人のイスラエル王のお話で、老いたサウル王がのし上がって来てやがてダビデ王になる青年に嫉妬してあれこれ意地悪するという、わかりやすくて共感できるストーリーとヘンデルらしい軽やかで典雅な音楽が素晴らしい英語オラトリオです。
これをフルオペラにしたプロダクションを生で去年2回観て(去年8月にグラインドボーン本公演→こちら と、11月のグラインドボーンドサ回り公演(→こちら )、更にテレビでも観たので、豪華なセットと衣装と奇声を発しながら踊る奇妙なダンス(これが凄く良かった)のイメージがすっかり定着しているのですが、これを今更ながらであっても本来の形式で観られてたのはラッキー。
一年半近く前に切符を買ったときはキャスト未定でしたが、なんと嬉しいことにイエスティン君が出てくれることになり、しかもこの日は今まで聴いた中でも1、2を争うほどの絶好調。これを目の前で浴びるように聴けて、200ポンド以上も払ったのにちょっと不調でイマイチの出来だった夏のグラインドボーンのリベンジが出来ました。
イエスティン君は出てきて隅っこの椅子に座るなり、最前列ど真ん中の私に気付いてニッコリ微笑んでくれたし、カーテンコールでもカメラ目線投げてくれたのも嬉しかったです。
少しだけ演技付きとは言え、皆さん音符を持ちながら(音符台は無し)自分が歌う時だけ舞台の真ん中に出てきて歌うスタイルでしたが、一応持ってるけど全く見てない人と、結構見てた人とに分かれた中、イエスティン君はほぼ全く見なくて、「それなら音符なしでもいいんじゃないの?」、と思いましたが、何か持ってないとつい過剰に演技をしてしまうんでしょうね、きっと。
Handel Saul
BBC Singers
Fflur Wyn soprano (Michal)
Elizabeth Atherton soprano (Merab)
Iestyn Davies countertenor (David)
Robert Murray tenor (Jonathan)
David Soar bass (Saul)
St James' Baroque
James O'Donnell conductor
歌唱力はイエスティン君がやはり抜きん出ていたと思うのはファンの贔屓目ではない筈で、上半身裸になるあのフルオペラだと童顔のイエスティン君はマッチョなクリス・エインズリーにビジュアル面で負けますが、歌だけならやっぱりイエスティン君の勝ち
妹役のFflur Wyn(青いドレス)の濁りのないピュアな声も聞惚れました。小柄な彼女は去年ROHの地下での「不思議の国のアリス」のアリス役では少女みたいだったのに、今日はしっとりとした大人の女性。また一人素晴らしいイギリス人ソプラノが出てきて嬉しいです(ウェールズ人でしょうけど)。売れっ子のルーシー・クロウやソフィー・ビーヴァンより私は好きです。
姉役のソプラノ(緑のドレス)は濁って不快な声で残念、サウル役のバリトンは迫力はあるけど一本調子、サウルの息子ジョナサン役のロバート・マリーは悪くないけどベンジャミン・ヒューレットに歌って欲しかった、とそれぞれ少々難ありだったかな・・。
セント・ジェームス・バロックなんてオケなんて名前すら知りませんでしたが、これがなかなか上手でしたよ。 その他のちょい役ソロはコーラスの人たちが歌って、「うーん・・」というレベルの人もいましたが・・。
5月30日夜7時半にBBCラジオ3で放送されますので、ご自分で判断して下さいませ。
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