<28th Apr Thus>
日本ではもうすぐゴールデンウィークですね。ロンドンでも今週末は3連休の上、私はパートタイム勤務ですから更にのんびりできそうで、この寒さでは罪悪感なしで家にいられそうだし、コンサート切符申し込みや1ケ月に迫った日本行きの日程を考える余裕もあるかな。
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4月26日、タンホイザーの初日に行きました。
「ROHで僕に買ってくれたオペラの中で一番高い切符だ!」、とトーチャンが言うように、はい、舞台横の76ポンドの席を2枚奮発。さすがに立見は辛いかなと思ったからですが、案外短かったし、このパフォーマンスなら立見席でも良かったかも・・。 5年前のプレミエは脇の安い席がまだあったので3回観られたんですけどね、今回はすっかり無駄使いした気分
タンホイザーのストーリーやプロダクションについてはその5年前の記事(→こちら )をご覧頂くことにして、今回はパフォーマンスについてのみ書きます。
タンホイザー役は62歳のペーター・ザイフェルト。ROHは1988年以来だそうで、私は初めて。今だに歌ってるなんて知りませんでしたが、最近の出演状況を見るとまだ一流歌劇場の主役で立派に現役してるじゃないですか。寿命の短いテノールにしては凄いことです。 太ってて身動きが取れないのは前回のヨハン・ボータと同様。ま、ドラマは想像力で補うからいいんですけどね。
ザイフェルトの歌唱力は全盛期よりうんと衰えてるんでしょうが、輪郭がはっきりしてる細い美声は私好みだし、途中で何度かこけて不安になったものの、充分楽しめました。でも、もう一度値段の高い席で聴きたいと思うほど惹かれなかったので、今回は一回だけでいいや。
そして、タンホイザーと言えば、私の大のお気に入りのクラウス君(クラウス・フロリアン・フォークト)が一年後にミュンヘンでロールデビューすることになってるんですが(→こちら )、行きたさ募ってザイフェルトが歌っているのに私の頭の中にはクラウス君の歌声が美しく響き渡りました。 実際に聴いたらクラウス君のタンホイザー、最高でしょうねえ・・ああ、行きたい。
友人ヴォルフラム役のクリスチャン・ゲルハーハーは、5年前にうっとり聞惚れて、今回も楽しみにしてました。以来あちこちでこれを歌って更に上手になった彼が今回もベスト歌手と絶賛浴びてますが、さすがに私には新鮮味がなかったのと、きかせどころの「夕星の歌」をか弱く歌い過ぎて、すぐ近くのハープ奏者の音にかき消されたのは残念。
主役4人のうちゲルハーハー以外は別の歌手だったのは嬉しかったですが、今回の女性二人の勝負は明らかで、エリザベートのエマ・ベルの圧勝。特に好きな声ではないけど立派な声量は迫力あってなかなかのものでした。
でも、ミュンヘンではもっとうんと上手なハルテロスが歌ってくれるのが羨ましくて、これもハルテロスの声を想像しながらエマ・ベルを聞いてました。
快楽の女神ヴェーヌスはフランス人メゾソプラノのソフィー・コッホ。2009年10月にイゾルデの侍女ブランゲーネ(→こちら )で彼女のワーグナーを初めて聴いた時は素敵だと思ったけど、今回はエマ・ベルの影にかくれてしまったし、先回の大袈裟演技で声量もすごいミカエラ・シュスターの迫力には遠く及ばず。ワーグナーには向いてないのでは?
ちょい役で光ってたのはテノールのエド・リヨン。そろそろROHでもう少し大きな役がもらえても良いと思うんですけどね。
指揮者はイマイチ。そりゃ先回のビチコフのレベルは期待しませんが、歌や踊りで誤魔化されている時はよかったけど、オケだけで静かに演奏する時になると下手くそなのがわかってしまいました。
トーチャンとも「レビューは3ッ星だろうね」、と言い合った通り、ほぼ3ッ星評価が並んでますが、ROHさいとで、プロダクション写真やレビュー一覧がありますのでご覧下さい(→こちら )。
というわけで、来シーズンのラインアップはミュンヘンにすっかり負けてるROHの弱さがこのタンホイザーで既に明らかだわ・・
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