<20th May Sun>
そろそろ気温が上がるって予報だったんですけど、週末もグレーで寒かったですねえ。お琴の練習したりムスメが遊びに来たりして、家にずっといたからいいんですけど。来週は暖かくなるって言ってますけど、果たしてどうだか・・・
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4月30日と5月10日の2回、ドニゼッティの連隊の娘La Fille du Regimentを観にいきました。
プロダクションについては2007年1月のプレミエ(→こちら )をご覧下さいですが、私は初日に行ったので、可愛い舞台セットや面白い演出に観客は沸きました。
お話は文章ひとつで書けちゃうくらい他愛なくて単純。
赤ん坊の時に戦場で拾われたマリーは、連隊全員の娘として育てられ幸せに暮らしていて、トニオという恋人もいましたが、実は貴族の娘とわかったので館に連れて行かれ、公爵の息子と結婚させられそうになったけど、連隊の助けで結局恋人との結婚を許されてめでたしめでたし。
オリジナルは1810年のナポレオン時代という設定ですが、今回は第一次世界大戦時に読み替えてあり、戦車も登場。いつもスタイリッシュなローラン・ペリーの演出で、一幕目は床は一面大きなヨーロッパ地図が3枚敷いてあり、折り目も付いているのでセットとして様々に利用可でき、その上洒落てて大好き。
でも、フローレス王子とナタリー・デセイの共演(2007年のプレミエと2010年)を観てる人にとっては今回はレベルがぐんと落ちるので、切符も売れ行きも悪く、ダンピングまでされ、屈辱の公演となってしまいました。私なんぞ10回近く観てますから、嫌と言うほど差がわかります・・・
Director Laurent Pelly
Revival Director Christian Räth
Dialogue Agathe Mélinand
Set designs Chantal Thomas
Costume designs Laurent Pelly
Lighting designs Joël Adam
Choreography Laura Scozzi
Revival Director Christian Räth
Conductor Yves Abel
Marie Patrizia Ciofi
Tonio Colin Lee
Sulpice Alan Opie
La Marquise de Berkenfeld Ann Murray
Hortensius Donald Maxwell
La Duchesse de Crackentorp Ann Widdecombe
レベルが落ちるのは承知に上でしたが、予想通りのお粗末な出来の中で、一人気を吐いていたのはテノールのコリン・リー
細かい部分は名人フローレスほどきっちりできないけど、一番盛り上がるアリア、というよりオペラ自体の存在価値とすらいえる有名はハイC連発アリアを楽々とこなしたばかりでなく、フローレスよりも骨太な声なので男らしい逞しさがあって上出来。フローレスとは全く違うキャラを作り上げて自然体で演じ、当然カーテンコールの喝采も彼が一番。私も大ファンです
マリー役のパトリツィア・チョーフィも、ナタリーとは違う役作りで挑戦すればよかったのに、全てナタリーと同じようにやらなくちゃ!という強迫観念に囚われてたようで、身振り手振りまでそのまま真似したのは失策 歌も演技も軽やかなナタリーのこれも名人芸に敵う筈ないですもん。全ての面でシャープさが不足して、何度もナタリーで観てる私には「違う、違う、そうじゃないってば!」、と苛々し通し。
でも、優しい雰囲気が売りのチョーフィには向かない演出で損してますが、出ずっぱりで痛々しいくらいの大熱演で、時折美しい声で素敵だと思う瞬間もあり、なによりもチャレンジ精神は偉い。
でも、思い切り足を引っ張った人もいました
主役二人は歌える人は限られているわけだし、できれば出て欲しい人は売れっ子だったり妊娠中だったりして(ダムラウさん、貴女よ)諦めるしかないけど、台詞だけのちょい役であるクラーケントルプ公爵夫人の選択肢は多い筈なのに、なぜアン・ウィドカムなんだ
元政治家の彼女はコメディセンスは全くゼロで、つまんないったらありゃしない。それまでずっとこの役で出てたドーン・フレンチはおデブちゃん体型だけじゃなくてコメディのタイミングが抜群だったので何度観ても爆笑だったのとは月のスッポン。
テレビのダンス競技番組のあまりのひどさが受けて有名になった彼女の話題性だけで切符が売れるとでも思ったんでしょうか? それに乗ったウィドカム女子も、不得手なことばかりしたがるリタイヤ後の身の振り方のまずさにこれで気付けよな~ 折角頭は良いんだから、本業の延長線上である時事論評とかしてた方が世の中に迷惑掛けないでしょうが
前回と同じなのでベルケンフィールド侯爵夫人のアン・マレーは見飽きたけど、代わりの人がこれまた下手だったら困るので、手堅い彼女が安心でしょう。かつての花形メゾは歌も芝居もまだ上手で、年齢に相応しい上品さもあり、特に今回はウィドカムと一緒だと芝居の上手さで引き立ちました。
手堅いと言えばアラン・オーピーも充分そうなのですが、折角だからもっと大袈裟に演じて、声も張り上げて欲しかったです。