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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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ラダミスト by Handel @English Touring Opera

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<27th Oct Sat>

いきなり冬に突入したロンドンですが、私はいささかオーバーヒートメラメラな一週間を過ごしました。22日から今日までの6日間でダブルヘッダー4回して、コンサート7回、バレエ、ミュージカル、映画で計10回。ジムには2回しか行けなかったけど、仕事は毎日。家にいる時間がほとんどなかったですが、夏時間が終了する今夜は一時間余分にあるので、先週末に写真だけ選んでおいたのを一つ片付けましょう。

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ヘンデル三昧の二度目は10月6日のラダミスト。ハックニー・エンパイアー劇場でのEnglish Touring Opera公演です。最前列ど真ん中で枚数割引付で22ポンドちょっとというお得なオペラ観賞です。全員が一流というわけにはいきませんが、いつも一人や二人は上手な歌手がいるので、ハックニーまで出向く価値はあり、今回も充分元は取れました。

古代オリエントの王侯貴族の権力争いと愛のもつれというヘンデルにはありふれたテーマで、例によって美しいけどだらだらと続くオペラですが、あらすじはこちら(どっかからパクってきたもの)。

 

トラキアの王ファラスマーネの息子ラダミストは愛妻ゼノビアと幸せな結婚生活を送っていたが、隣国アルメニアの王ティリダーテの軍事侵攻を受けて父王とともに囚われの身となってしまう。ティリダーテはラダミストの妹ポリッセナを妻としているにもかかわらず、彼女を追い出してゼノビアを奪おうとする。しかしゼノビアはラダミストを愛しているので靡かず、死を選ぶ決意をする。軍事侵攻ではティリダーテ側についていた(実はポリッセナを愛している)ポントゥスの王子ティグラーネはとてもまともな人で、ラダミストたちを不憫に思って逃亡の手助けをしたり最後には軍事行動でティリダーテを諫める。ラダミストとゼノビアの愛の深さに感動し、またティグラーネの諫めもあって彼は遂に改悛し、トラキアを軍事侵攻前の状態に戻し、妻のポリッセナとも仲直りする。独りティグラーネだけは恋が叶わず。

 

 

ハックニー・エンパイアは、かつての庶民の娯楽場であったミュージックホールそのもので、上を見上げると美しい別世界だけど、オーディトリアム内にバーもあるので、ビールの臭いが立ち込め、カーペットはボロボロというチグハグさ。そこが風情あるんですが。

  

天井のお星様チカチカが大好きキラキラ

 

 

 

ラダミストはカウンターテナーのウィリアム・タワーズで、グラインドボーンのリナルドのちょい役で出てるのは覚えてますが(→こちら)、ちょっとしか歌わないので印象は薄かったです。今回は、「結構好きな声かも」と思えた時もあったし、「ちょっとなあ・・」という時もあり、好きなのかどうか決められない不思議な声というか一貫性のなさだけど、ドサ回りオペラの主役としては充分だし、長身でまあハンサムなので見映えは二重丸。あまり若くないので、これから伸びるとは思えないけど。

 

悪役の王様役のバリトンはグラント・ドイル。よく聞く名前で、ROHの脇役(カルメンの盗賊とか)でしょっちゅう出てるんだけど影が薄くて、どんな顔だかすら覚えられない人。ルックスは悪くないし、歌も上手なのに、演技が淡白なので、今回も迫力不足。 来年春にここでマクベスを歌うんだけど、観たいとは思わないのでパス(マクベス夫人はROH若手アーチストでしょっちゅう聴いたけど惹かれないソプラノだし)。

男性二人がここではこんなもんだろうしこれから伸びるとは思えなかったのに対し、女性二人は歌も容姿も素晴らしくて、前途有望アップクラッカー

彼女たちのおかげでレベルアップして引き締まり、ご覧の通り、オペラの内容に合う素直なセットと衣装でわかりやすく、演出家のエゴなど全く感じさせない地方レベルのオペラって好きです。レビューも当然の★★★★が揃いました→こちら

ロンドンを皮切りにイギリス中をツアーで回ってる最中ですが、こういうのがオペラファンを増やすのに役立つに違いないです。ちゃんと原語でやってくれますしね。

黒人のテノールは下手くそでしたが、テノールは人材不足だし、脇役だから仕方ないか・・。

 

 

尚、来年春に3つある中では、モーツァルトのイドメネオを購入済み(→こちら)。


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