<18th Apr Sat>
平日は、残業も必要なテレワークでクタクタだし、夜はオペラのストリーミングを観るのに忙しくてオペラ記事など書く余裕がないですが、週末で少し余裕ができたので、コロナで劇場閉鎖になる前に行ったオペラのことを書いておきます。ロンドンにとっては歴史的に大事なイベントだったし、なによりも素晴らしいパフォーマンスだったので。
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3月7日と11日の2回、ROHの地下小劇場Linbury Threatreでスザンナを聴きました(ROHサイト→こちら)。
イギリスに帰化したヘンデルのオラトリオ(旧約聖書ダニエル書)ですが、1749年にROHの前身であるシアター・ロイヤルで初演されて以来、なんとここでは初めての上演で、ROHのヘンデルシリーズの一環(他にはメイン舞台のソロモンとリンバリーのベレニーチェ)。
10年前にバービカンでコンサート形式で聴いたことがあり、詳しくは→こちらをご覧下さいですが、要約すると;-
魅力的な若妻スザンナが亭主が出張中に、地位も名誉もある爺さん二人に言い寄られ、貞淑な彼女は振り払たものの、彼女が男といちゃついてたのを目撃したという嘘つきヒヒ爺の証言で姦通罪となり死刑を宣告されてしまうのですが、少年(預言者ダニエル)が爺さんたちに、「コトが起こったのは何と言う木の下だったのか述べよ」と問い、二人の答えが食い違ったので嘘がばれ、無実が証明されてめでたしめでたし。
元々英語でも字幕がつくのが普通ですが、これは何故かなくて何言ってるのかほとんど聞き取れなかったし、醜いセットと衣装、役柄の想定からは程遠いルックスの主役等により、目を瞑って聴くのがベストでした。ヘンデル時代はコンサート形式だったのだし、古代バビロンを現代のコーンウォールの漁村に読み替えても意味無いのだから、これもそうすれば良かったのに。
出演はジェット・パーカーという二年間所属のここのお抱え若手歌手たちでしたが、演技は別にして、歌は皆さん素晴らしいパフォーマンスでした。歌う量もすごいのに、小さな劇場とは言え、これを毎日やるのは凄過ぎる。 3月5日から12日まで連日で、私の二回目は11日だったので終盤でしたが、そろそろくたばってる人もいるかもと思ったのに、皆さん更にグレードアップしてて、大好きなヘンデル節がたっぷり聴けてうっとりしっ放しでした。
スザンナ役は南アフリカ出身で、まろやかで深みのある美声だけど声質が黒人っぽいのが私の好みではないのと誰ともケミストリーが感じられなかったですが。カウンターテノール好きの私の注目は夫役のパトリック・テリーで、歌も素晴らしかったけど、このヘアスタイルだとデカプリオ風になってチャーミングじゃないの。
尚、売れ切れだったのに、空席が段々増えたのは、コロナ感染を恐れて行くのを止めた人たちが多かったからでしょう。イブニング・スタンダート紙では5ツ星だった程のパフォーマンスだったのに行けなかった人が気の毒。