<30th Sept Thus>
9月はオペラ6回、コンサート7回、着物お出掛け9回、合間を縫ってジム12回、その他色々という忙しい一ケ月でした。ちょっと前までは家から出るのは近所の散歩だけだったのと比べると、感慨深いことです。
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9月25日(土)は昼前にオペラ「イェヌーファ」のリハーサル、夜はロイヤル・フェスティバル・ホールでコンサートのダブル・ヘッダー、その間の時間潰しは水泳という慌しさでしたが、オペラもコンサートも素晴らしくて、実に充実した一日でした。
The Midsummer Marriageはイギリス人作曲家マイケル・ティペットMicheal Tippett(1905-1998)が1955年に作った英語オペラで(ROHで初演)、50年周年として2005年にROHでやった時に観にいきました。
シェークスピアの真夏の夜の夢とモーツァルトの魔笛を合わせたさせたような内容で、駆け落ちしたカップルが夏至の日に結婚しようとして、色々不思議なことがあった末に結婚するという内容ですが、全てに哲学的な意味もありそうです。でも理解できなくても楽しめるスケールの大きな美しい音楽で、モダンでありながら前衛的過ぎず、変化に富んで面白く、歌が少ないのでオペラとしては上演機会が少ないでしょうが、退屈しない作品です。
ロンドン・フィルハーモニック・オーケストラのシーズンのオープン、新たに音楽監督に就任したエドワード・ガードナーの初コンサートでしたが、勇敢な選択です(彼はティペットが大好きなんですって)。3時間近い大作で、大編成のオーケストラと約90名のコーラス(足らない分はガードナーが古巣のENOから連れてきた)。直前まで弦楽器奏者のほとんどが手の細かい部分を必死で練習する光景も珍しく、ガードナーが持って出てきた楽譜がまるで電話帳のように分厚くて・・。
最前列も買えたことだし、ご贔屓テノールのトビー・スペンスが主役ではなさそうだけど出るので軽い気持ちで聴きに行ったのですが(ティペットに偏見のあるトーチャンもなぜか一緒)、滅多に聴けない壮大さで大いに盛り上がりました。レビューが抜群なのも当然(The Telegraph ★★★★★ The Guardian ★★★★)
言わば魔笛のパパゲーノに相当するトビー君は修理工という役柄に合わせたジーパン姿で、高音部分が少ないのが物足りなかったですが、元気そうな姿を久し振りに見られて安心しました。もう一人のテノールのロバート・マレーも今まででベストでしたが、なんと言っても、ベラ役のジェニファー・フランスとジェニファー役のレーチェル・ニコルズのソプラノ二人のよく通る美声で聞き惚れました。こんな上手なのに、彼女たち、今までどこに隠れてたの? もうルーシー・クロウやソフィー・ビーヴァンは要らないわね。
私の写真では全体像がわからないでしょうから、オフィシャル写真をパクっちゃいましょう。白いジャケットのテノールのすぐ前が私の席です。
満員ではなかったし、果たして採算が取れたのか心配になりますが、BBC3で生放送したので、録音でまた聴くこともできました。かぶりつきの生の迫力には及ばないですが。
この二日前のニコラ・ベネデッティのたった一人のソロ・コンサート(→こちら)とは正反対でした、大規模コンサートも良いものです