<11th Nov Sat>
明日のdiwali(インドの光の祭典)に向かって、インド人の多い我が家周辺では連日花火があちこちで打ち上げられ、花火好きの私には楽しい季節。
------------------------------------
晩年のヘンデルが視力の衰えに苦しみながら作曲した最後のオラトリオであるイェフタJepthaを11月6日のリハーサルと8日の初日に行きました。写真は二回分が混じってます。
1751年にヘンデル自らの指揮でROHの前身であるCovent Garden Theatreで初演されて以来ROHでは初めてという歴史的に有意義な公演です。ヒット・アリアはなく、聞き慣れた軽やかで華やかなヘンデル節とは違う深みのあるしっとりした作品で珍しく四重唱もあり、ストーリーがあまりに薄いので冗長な印象で(オラトリオをオペラに仕立てるのは無理があるのではないかと)、実際リハーサルは退屈で少し居眠りしてしまいましたが、初日は少し慣れたせいか素晴らしく感じ、きっと聴く度に好きになりそうな気がするので、明日又行きます。
すっかり忘れてましたが、2014年1月にバービカン(→こちら)、2018年1月にパリのガルニエ(→こちら)で観たことがあり、その時のブログ記事からストーリーをコピペすると、
旧約聖書に出てくるお話で、古代イスラエルの武将イエフタは「この戦いに勝てたら、帰還して最初に出迎えてくれた人を生贄にするから」、と無責任に神に誓ったところ、あちゃーっ!現れたのは「お父さん、お帰りなさ~い」、と喜ぶ自分の娘・・・。
で、聖書では娘は殺されてしまうのだけど、このオラトリオでは最後に天使に救われ、しかもこのプロダクションでは一生処女で教会に仕えると誓った娘があっさり尼さんの衣装を脱ぎ捨てて恋人ととんずら。まあ、ハッピーエンドなのは良いし現代解釈だとこれがベストってことになるのでしょうね。イスラエルが隣国と戦うというのはまさに今タイムリーであり、でも今の状況を思い起させられたら嫌だなと心配してたところ、この新プロダクションではヘンデルの時代に読み替えられてて(黒い壁が回ってスタイリッシュな演出だし)、それはありませんでした。
イギリス人テノールで今オペラでは第一人者であるアラン・クレイトンの大ファンなので楽しみにしてて、高音で歌うところが少ないのは少し残念でしたが、安定の素晴らしいパフォーマンスだったし、おデブな体型が目立たない衣装でよかった。
初めて聴くカウンターテナーのCameron Shahbaziが歌も演技も良かったのはボーナスで、長身で顔も良いので(好みではないけど)舞台映えします。娘役のJennifer Franceも初めてですが、可憐な姿も可憐でぴったり。他の人も皆さん上手で、4ツ星レビューが並んだのも当然。