<15th Jan Tue>
日本では昨日が成人式だったんですよね?東京は雪だったそうですから、はじめて着物を着た若い女性はさぞ大変だったでしょう。私の成人式はかれこれ40年前ですが、「華美に走るべからず」ということで、市主催のセレモニーは着物禁止。でも、本人よりも親がずっとそれを楽しみにしてたわけですから、式に洋服で出席した後すぐに振袖に着替えて遊びに行く女子がたくさんいて、結局両方にお金が掛かり、たしかそのアイデアはすぐにお釈迦になったのでした。私はお琴の演奏会とかで着物を着る機会はあったので、その日は洋服。大学生でしたが、いやいや行かされてた夜間の洋裁学校でその日に着るワンピースを数ケ月掛かって縫ってたのですが、前の夜まで頑張ったにも拘わらず完成できず、ヤケクソでその辺にある服(たしかズボンとジャケット)を適当に着ていったという惨めな思い出があります。実力に見合わない凝り過ぎたデザインの白いワンピースはすでにはすでに手垢で汚れていたので、たとえ完成できても自分でうんざりだったでしょうけど・・・・、と、妙なことを思い出して遠い目・・・
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昨日のウィグモア・ホールのリサイタルは、ドラマチックな交代劇があって(→こちら )びっくり仰天でしたが、長年シラグーザを生で聴きたいと願ってた私にはまさに夢のような一夜でした
3日前のジョセフ・カレヤのコンサートでは(→こちら )、カレヤは素晴らしかったけどオケ演奏で水増しされたり信じられないくらい下手くそなソプラノが延々と歌ったりで退屈&不快な場面も多かったけど、それに比べればこのリサイタルは短かったですが無駄が一切なく、私は最前列のど真ん中(22ポンド)で期待通りのシラグーザの張りのある美声を目の前でどっぷり浴びて、ずっと至福&大満足
Marco Boemi piano
Tosti A vucchella/L'alba separa dalla luce l'ombra
Gastaldon Musica proibita
de Curtis Non ti scordar di me
Bixio Parlami d'amore, Mariù
d'Annibale O Paese d' 'o sole
Lara Granada
INTERVAL
Donizetti Una furtiva lagrima from 'L'Elisir d'amore'
Flotow M'appari from 'Martha'
Puccini Firenze è come un albero fiorito from 'Gianni Schicchi'
Gounod Ah! lève toi soleil from 'Roméo et Juliette'
Rossini Se il mio nome saper voi bramate from 'Il barbiere di Siviglia' /Asile hereditaire from 'Guillame Tell'
アンコールは2曲で、「リゴレット」の女心の唄と、連帯の娘のメザミ・アリア
同じイタリア人テノールのファビオ・アルミリアートはキャンセルしたけどピアニスト(ひょうきんなおじさん)は変更せずそのままで、凝ったプログラムを考える余裕もなかったでしょうから、前半はナポリ民謡やカンツォーネを中心とするポピュラーソング、後半はオペラアリア、と色分けされてて選曲もオーソドックス。
前半の軽い曲は、小さなホールで声を張り上げる必要がないわけですから、優しく歌っったりもして変化に富み、とても贅沢な鑑賞ができたし、私はナポリ民謡やカンツォーネが子供の頃から大好きなので、「ああ、この曲、懐かしいわあ」、と50年近く前に思いを馳せたりもして、ジーン・・・。一番有名な映画「忘れな草」からのメランコリーな旋律は、オペラ歌手ががアンコールで歌うことも多いけど(バルトリですら)、やっぱりシラグーサのような明るい声のテノールに歌って欲しい。
後半は打って変わったオペラ歌唱となり、いよいよ真に本領発揮。例外はお得意のギター片手に弾き語りしたセヴィリアの理髪師のセレナーデで、本来の想定にぴったりにひそやかに囁いて、これも大劇場のフルオペラでは出せない味が出て感激。
私の大好きなロメオとジュリエットをフランス語でも歌ってくれて嬉しかったですが、一番彼の良さが発揮されて拍手も大きかったのはジャンニ・スキッキ。このアリアはROHで何度も聴いたけどこれがベストで、ストレートで力強くて最後の高音がこんなにスコーンと抜けるテノール君は滅多にいないです。
この光る頭で、「ほ、ほんもののシラグーザだ」、と実感
アンコールは2曲。最初はリゴレットの女心の唄で、これはヘドが出るほと聞き飽きてるので、もちろんとても上手だったけど、「お願いだから他のにして~」・・・
最後を飾るのは、大受け間違いなしの連帯の娘のハイC連発アリア。これも嫌というほど聴いてるけどスリルがあって飽きません。で、予想通りの興奮でスタンディングオベーション
当日ウィーンから長時間掛けて(陸路と飛行機で)ロンドンまで辿り着いた甲斐があったという思いがよぎったか、シラグーザの目にちょっと光るものもあり、感激の様子でした。
イギリスでは知名度の低いシラグーザですが、ほら、ロンドンって良い所でしょ? ウィグモアの客って温かいでしょ? だから、又すぐ来てね。日本にばっかり行ってないでさ、やっぱりROHには出なくちゃね。
ウィグモアの客と言っても、常連の音楽通ばかりではなく、今日はどうみても空いた席を埋めるためにローゼンブラット弁護士が仕事関係の顧客を招待し、それでも足りないのでオフィススタッフも総動員したという雰囲気でしたが、クラシックコンサートになど縁のない若い女性たちも、こんな迫力ある本物の歌唱に接して感動したに違いないです
では、東京の皆様は、彼が今月末から新国立劇場に出演する「愛の妙薬」を楽しんで下さいね。今日、日本に着いた筈です。相手役がナンですが、シラグーザはきっと素晴らしいから。
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