<6th Mar Wed>
サラ・コノリー主演で評判の良いENOのMedeaを、当日にしか買えない超割引切符で観に行こうと思っていたんだが、仕事の都合で行けず。そういう理由で行けないのは悲し過ぎるけど、だからこそ、近い将来リタイアした時に喜びが倍増するわけだから、それまで初老の体にムチ打って頑張るべ。
残業してもオペラに行くよりはうんと早く帰宅できたので、無駄にせずブログの更新でもしよまい。
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お手軽に客が呼べる人気オペラで稼ごうとするセコいけど賢いROH、3月と7月にトスカを飛び飛びで3チームで13回もやるので、ラ・ボエームと並行してプッチーニばっかりじゃん、なのですが、ブツブツ言いながらも、3月4日に最初のチームを観て来ました。
トスカってどんなお話なの?というは以前の記事をご覧頂くとして(→こちら )、要するに、三角関係がもつれて一日にナイフ殺人、銃死刑、飛び降り自殺という三通りの死に方をするというスケールの大きい三面記事のようなドラマで、ドラマの構成も良いし、プッチーニの音楽はオケ部分が凝っててちょっと斬新だし、人気があるのもうなずけます。
Designs Paul Brown
Lighting design Mark Henderson
Revival Director Andrewe Sinclair
Conductor Maurizio Benini
Floria Tosca Amanda Echalaz
Mario Cavaradossi Massimo Giodano
Baron Scarpia Michael Volle
Spoletta Hubert Francis
Angelotti Michel de Souza
トスカ役のアマンダ・エシャラズ(って読むのかしら?)は、2009年にアンジェラ・ゲオルギューの代役で急遽出演した南アフリカ出身のソプラノで、その時は最初は緊張して硬かったけど見る見る良くなってちょっとしたスター誕生劇でした(→こちら )。
それが評価されて今回の抜擢につながったに違いないのですが、歌よりも演技が大切なこの役で、舞台映えする容姿と迫真の演技で堂々の主役ぶり。2006年にホランドパークのマノン・レスコーでとても上手だった彼女(→)がここまで立派に成長したのを見るのは嬉しいことです。
声もよく出て今まででベストとも言える素晴らしいかったですが、トスカって有名なアリアが一曲あるだけで、それだって歌としては聴きごたえないので、また他のどしどし歌う役でアマンダ嬢を聴いてみたいです。
このプロダクションのトスカのドレスは妙な不平等が生じてて、なぜかゲオルギューだけ胸がうんと開いててスカートのトレインも長い白いドレス、他の人は似たデザインだけどグレーで地味なドレスなんです(→こちら )。
白ドレスの方がうんと華やかで美人に見えるので、きっとROHでは我が物顔のゲオルギューが「これは私だけが着るから、他の女はぱっとしないドレスでいいのよ」、と主張したんでしょうね。でも、動くのが大変で歌手泣かせなドレスですよ、これ。プレミアムの時は素材選びもまずくてガサガサうるさかったですしね。
代役の際、アマンダ嬢はもちろん今回と同じグレーでしたが、裾直しする余裕もなかったのか、やけに短くて優雅じゃなかったですが、今回はちゃんとぴったりサイズで裾さばきもちゃんと練習したのか上手くこなしてました。先回はぐるぐる巻きで身動き取れなくなって立ち往生してましたから
「俺のものになってくれたら、お前の恋人の命は助けてやるぜ」、という姑息な手段ででトスカを手篭めにしようとするセクハラ&パワハラおやじのローマ警視総監スカルピア。今回はドイツから来てくれたミヒャエル・フォッレでしたが、これもこれまでのROHのスカルピアの中では総合点では最高かも
なにをやっても憎たらしいくらい上手なフォッレにとってはわかりやすいスカルピアなんてお茶の子さいさいなので、歌も演技も余裕綽々。腹黒くて凄みがあって金も女も楽しんでる男爵をせせら笑いながら楽しく演じてるフォッレはさすが。
ただ一つ不満があるとすれば、声のコントロールが上手過ぎるせいか、トスカに対する欲情を露わにする聴かせどころのアリア「テ・デウム」がちょっと軽過ぎた。ここは思い切りストレートに吼えまくって欲しかったですが、第二チームのスカルピアもフォッレなので、もう一度聴けるのが楽しみ。
トスカの恋人カヴァラドッシ画家は、甘いアリアが2曲あって得なテノール役ですが、今回の立派なトスカとスカルピアと比べると歌唱力はどうしても格下という印象になってしまうマッシモ・ジョルダーノ。
けっして下手ではないけれど、高音になると崩れ気味なのが残念。演技は上手なのに・・・先回も代役でこの役歌ったんですが、その時もこの程度だったので、これが実力なんでしょう。
イタリア人のジョルダーノは私の好みではないけれど甘いマスクと足が長くてすらっとした体格が魅力的で、貧しい容貌の人が多いテノール界では貴重な存在。
色んな男性で見たこの衣装も今までで一番素敵に見えるのに、嗚呼、この歌唱力なのが本当に「惜しい」ったらないわ・・・。
私が行く次の公演は今月20日ですが、トスカのKristine OplaisはNYメトなどにも出て躍進中のソプラノで、マダム・バタフライで聴いたこともあるけど、カヴァラドッシの中国人Yonghoon Leeって誰かしら?
第三チームは7月で、こないだ素晴らしいオテロだったアントネンコが出るので数回分確保してあります