<29th Apr Mon>
無事にハンブルグから帰りました。 短い旅でしたが、お天気にも恵まれ、オペラも面白くて、楽しく充実した時を過ごすことができました。旅行のことは追々書くとして、その前にフローレスのリサイタルを片付けてすっきりしましょう。
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4月24日、バービカンでのホァン・ディエゴ・フローレスのリサイタルに行きました。
なんとフローレス王子はマスタークラスも含め今月3度も出てくれるんですが、私が行けるのはこれ一回のみ。あとの2回は他のオトコに走った私が悪いのですが(21日はカウフマン、27日はハンブルグのクラウス君)、3つの中では一番行きたかったのがこのリサイタルだったので、これと重ならないだめでも救いと思わねば。もし、これがカウフマンと同じ日だったら、こちらを選んだ筈だけど。
Juan Diego Flórez tenor
Vincenzo Scalera piano
Donaudy O del mio amato ben
Donaudy Quand'il tuo diavolo nacque
Donaudy Vaghissima Sembianza
Handel 'Where'er you Walk' from Semele
Handel 'I must with speed amuse her' from Semele
Meyerbeer 'Plus blanche que la blanche hermine' from Les Huguenots
Verdi 'Je Veux Encore Entendre Ta Voix' from Jérusalem
Tosti Ideale
Tosti Vorrei morire
Tosti Parted
Tosti L'alba separa dalla luce l'ombra
Luna 'Pajarin tù que vuelas' from La picara molinera
Guerrero 'Flor roja' from Los gavilanes
Simeón 'Jota' from El trust de los tenorios
Donizetti 'Come uno spirto angelico' from Roberto Devereux
アンコール(4曲)
フロトーのオペラ「マルタ」Marthaより「愛のように」M'appari/連帯の娘/セヴィリアの理髪師/グノーのロメジュリ
(以下の写真はクリックで拡大します)
フローレスは、オペラ歌手のコンサートとしては誰よりも回数多く行ってて(約10回)、初回の2001年1月からロンドンでは皆勤賞と思うのですが、その中でもこの日はベストとも言えるくらい絶好調。 プログラムも、オペラの本格アリアからカンツォーネ風の軽いのまで、イタリア語、フランス語、英語、スペイン語でたくさん歌ってくれました。オケで水増しされないだけでも、私はピアノ伴奏だけの形式が好きです。
最前列ほぼ真正面という至近距離だったので、細くても芯のある声でフルボリュームでハイCされるとビンビン響いて凄い迫力。耳がおかしくなりそうだったけど、そういう華やかなアリアに一番惹かれました。ヘンデルのセメレとかは他にもと上手な人がいるでしょうけど。
ピアノ伴奏者がもうちょっと上手であればいいのに、と思ったりもしましたが、あまり上手いと「俺様にもソロで弾かせろ」とかしゃしゃり出るかもしれないし(そういうピアニストもいるんです)、あの場末のSt. John's Smith Squire以来、名声を得ても捨てないで同じ人と組んでるというのも美談かも。カウフマンよりもうんとたくさん歌ったのに一切音符を置かなかったフローレスに時折小声で出だしの歌詞を囁くタイミングも絶妙だったし、長年の信頼関係とあうんの呼吸はテクニックより大事なのでしょう。
カウフマンと違い、ずっと歌い続けて喉を酷使しただろうに、アンコールは4曲も歌ってくれました。それも、軽いのばかりでなく、連帯の娘のメザミとセヴィリアの理髪師の最後のコロコロ・アリアよ。
「2日前のカウフマンはたいそう盛り上がったそうじゃないか。それに奴はOpera Awardsでも賞を二つもかっさらいやがって。だけど、どうだ、こんなコロラチューラは逆立ちしたってできやしないだろうが!」、とでも思って対抗意識燃やしたのか、大サービスしてくれて、当然ヤンヤの喝采、スタンディングオベーションでした
連帯の娘の次にアマポーラの前奏をしばらくやってから、フローレスが「いや、それじゃないよ」と言って止めた妙な場面もあり、代わりになにやるんだろと思ったら、それがなんとセヴィリアの理髪師だったわけで、全然ちがうやん、と不思議でしたが、そりゃエネルギーが残ってるんなら、貴方しかできない声転がしの曲芸をご披露して下さいませ。このアリアは何度聴いてもスリルがあって興奮するわ。
カウフマンとフローレス、共にテノールにしては珍しくルックスも良いですが(二人とも先回よりちょっと老けた感じはしたけど)、でも美貌はほんのおまけで、タイプは対照的なれど二人とも歌だけでも本当に今をときめくトップの実力。そんな二人を節目の誕生日の前後に聴けて恵まれてました。
誕生日と言えば、彼の奥様の誕生日は私と二日違いの4月25日。なぜ知ってるかと言うと、舞台で彼がそう言ったからですが、客席にいた彼女の捧げた最後のアンコールの甘く美しいグノーのロメジュリは私も大好き。
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