<31st December Sat>
穏やかな大晦日、静かにトーチャンと二人でシャンペンで乾杯。実は結婚記念日なんですが、31年目というのは特別でもないので、安定したチ老夫婦のような心境で、揃って健康でよかったと軽くお祝い。花火はテレビで観ます。
我が家の今年のについて書く予定でしたが、ROHのアントニオ・パッパーノ氏がサーの称号を与えられたので、急遽お祝いの言葉を述べることにしましょう。
あーっ! 1月に2度トラヴィアータに出る予定だったネトレプコが足の手術のためにキャンセルしたようです ガヴァネッリおじさんの降板をワラ人形で祈っていたのに、効き目がちがう人に出ちゃったよ~(涙)
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春の女王陛下のお誕生日と大晦日の年2回、the New Years Honoursという勲章授与者が発表になり、色んなレベルで計1300人ほどの人が受賞するのですが、我らがROHの音楽監督アントニオ・パッパノーノ大将が見事、最高位であるknightを射止め、Sirの称号が与えられることになりました
当然です。若くしてROH音楽監督という重要なポストについて8年、この世界的なオペラハウスを盛り上げた功績は大きいですから。
貧しいイタリア移民としてイギリスで生まれ、10歳の時から音楽教師だったお父さんの丁稚として声楽歌手のピアノ伴奏をし、13歳で家族揃ってアメリカに移住、音楽学校とは無縁ながら、実力で頭角を表わし、ダニエル・バレンボイム御大に見出されてバイロイトで修業を積み、バルセロナとブリュッセルのオペラハウスを得て40台半ばという若さでROHの音楽監督に大抜擢。サクセスすごろくの仕上りがサーの称号ともいえるわけですから、実にめでたいことです。
ROHではほとんどいつも指揮者を真横から観る席に座る私にとってはパッパーノ大将のツボを押さえた見事な指揮ぶりはお馴染みで、特に何度も同じオペラを観る私は得にはマエストロを長い間凝視することもあり、まさに私のオペラ鑑賞生活にとっては最も大切な人と云っても言い過ぎではないでしょう。目の当たりには接することができなくても、音楽に対する情熱は指揮ぶりやテレビ出演からひしひしと伝わるし、思いやりに溢れた腰の低い態度からは人柄の良さが滲み出ます。
彼が優れているのは指揮だけではありません。彼のルーツであるピアノ伴奏がまた素晴らしいんです。何度か聴いていつも感心するのですが、年月のROHに歌手(ホロだ)がキャンセルして急遽違う歌手3人(Tハンプソン、Jカレヤ、Jディドナート)に変更になった時、パッパーノが全部ピアノ伴奏して色んなジャンルを立派に余裕でカバーしたのが一番印象的です(→こちら )。
52歳の円熟期を迎え、サーになったからと言って横柄になるわけがない謙虚な人柄で、ROHをますます盛り立てて下さいね。
明日の元旦はパッパーノ指揮のマイスタージンガーを聴きに行きますが、きっと格別なやんやの喝采。元々大将の指揮ぶりを見るのが主な目的だったんですが、ラジオ生放映もされるようだし、特別な雰囲気になるに違いないなくて、元旦からこの縁起の良さ、ますます楽しみになりました。
去年5月、ウィグモア・ホールのイアン・ボストリッジのリサイタル(→こちら
)でピアノ伴奏をした時のサイン会でのツーショットの写真ですが、パッパーノ大将、本当におめでとうございます。
尚、2004年の録音とちょっと古いのですが、孤島に漂流したらどうなるかというユニークな想定のDesert Island Discsという有名な長寿ラジオ番組(→こちら )でのインタビューで彼の生い立ちや人となりがよくわかります。
イギリスもあと3時間で新年を迎えますが、今年もたくさんの方にご訪問頂き、ありがとうございました。
良いお年をお迎え下さい。