<13th Nov Wed>
今日も午前だけ働いて、午後は一人でゆったり時間。ジムでちょっと長めに運動と休息してから、歩いてちょっとのブリック・レーンというインド人街に。そこの小さなギャラリーで北斎展Hokusai Exposed Re-createを観るのが目的。デジタル印刷なんですが、とても良い出来だし、富嶽三十六景や春画、お化け屋敷形式や3Dによる展示もそれなりに工夫されてて、5ポンド分は楽しめました。不便な場所でもあり、ご存知ない人にお勧めするほどではないけど、行く予定に水を差すほどつまらなくもないってとこでしょうか。その後周辺のマーケットとかを見て回り、いつもはランチタイムで混んでる時しか行ったことがない場所がガラガラだったので妙な気持ちになったけど、これからはこういうことがいくらでもできるんだと思うと嬉しくてたまらない。そして、ヤッホー、明日も半日休んでミニお出掛けの予定よ。
今週は珍しく夜どこにも行かないので、溜まった記事もどんどん片付けられるゆとりの生活がやっとやって来ました。
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10月20日、ブリュッセルのモネ劇場(→こちら )でモーツァルトの皇帝ティトの慈悲を観ました。
観光に適した時期で歌手陣もそこそこでできれば馴染みのオペラ(字幕理解できないから)を探したら迷わずこれになったわけですが、幸い誰もキャンセルせず、予想通りのパフォーマンスで満足でした。
古代ローマの皇帝とその取巻き連中の恋愛と裏切りと友情のお話ですが、椿姫的お笑い解釈は→こちら をご覧下さいです。性悪女と馬鹿男とお人好しという極端な人ばかり登場して、信じ難い展開になります。
セットと衣装は、設定通りの古代ローマである筈はないわけですから、どんなヘンテコでも受け入れる覚悟でしたが、一見普通の現代物で、ズボン役二人が三つ揃いスーツなので会社を舞台にしたのかなと思ったけど、皇帝は背広じゃないからオーナー社長ではなさそうだ。悪巧み女ヴィッテラもチャラチャラワンピ、部屋にはデスクとベッドが置いてあるという不思議な設定で、一体どんな業界の人たちなんでしょう? マフィア?
特徴は舞台上のスクリーンで、ほとんどは歌手たちの顔のアップをそのまま生で映すんですが、後ろの席の人たちにとっては歌手たちの細かい表情がよくわかっていいかかもしれないけど、最前列の私には邪魔臭いったら。
個人用ディスプレイのない字幕については、公用語が一つだけではないベルギーで、一体何語なんだろうと思ったら、舞台の横にフランス語とオランダ語が左右それぞれに出てました。そして、それが途中で左右交代したんです。
どちらかしか理解できない人もいるだろうに、いつもどちらがどちらと決めておけばいいのに不親切なやり方だ。私たちの隅っこの席からは左側の字幕しか見えなかったので、トーチャンは「前半はフランス語だったのでまだ少しはわかったけど、後半のオランダ語はさっぱりで不便だった」、と。ふーん。私はどうせどちらもわからないので苦しまなくてラッキーだったってことね。
悔し紛れではなく、字幕が理解できないと歌手の演技に集中できるのが良い点よ。
これを観に行こうという決定打になったのがヴェロニク・ジャンス。何度か聴いたことあるけど、すらっと長身のエレガントな容姿と安定した歌唱がいつもとても魅力的
皇帝の嫁になりたい一心でとんでもない策略をゴリ押するオペラ界きっての悪女ヴィッテリアをクールに品よく熱演して、やっぱり彼女が最も秀でてました。私の席からは床が見えないので、どんな靴だったのかわからないけど、長い脚もきれいね。来年2月のROHのドン・ジョバンニがとても楽しみ。
皇帝ティトはこれまた長身で年恰好も役にぴったりのクルト・シュトレイト。すごく上手でも美声でもないけど、私はこのテノールが結構好き
残念だったのは、ジャンスとは折角の長身美男美女カップルなのに並んで立つ場面がほとんどなかったことで(全然なかったかも)、カーテンコールですら隣じゃないのが惜しい! 一緒の写真撮りたかったのに。
悪女ヴィッテリアに惚れて、親友でもある立派な皇帝を殺そうとするオペラ界きっての愚か者はメゾソプラノのズボン役で、これがガランチャだったらビジュアル的にも完璧なんですが、今回は残念ながらアンナ・ボニタティブス。
小柄な彼女と長身のジャンスでは恋人同士として全く絵になりませんが、問題は背広が全く似合わないというビジュアル面だけでははなく彼女の声で、手堅いテクニックは立派なので文句は言えませんが、何度聴いても声自体に魅力が感じられないのと、ちょっと声量不足なのとで、 予想通りぱっとしないセストになってしまいました。聴かせるアリアもあって、一番設け役なんですけどね。
逆に、もう一人のズボン役のAnna Greveliusはキュートで声も溌剌として素敵。普通に娘役をやってももちろん映えるでしょうから名前覚えとこ。バービカンあたりで聴いたことがあるような気もするけど。
ガールフレンド役のSimona Šaturováも充分合格。
ほんのちょい役である皇帝の側近でアレックス・エスポジットが出てるところが凄いキャスティング。遠慮深い演技なので全然目立たず、別に彼じゃなくてもいいって感じ。コメディ演技が抜群に上手なのにこんな役では勿体なさ過ぎだけど、来年のROHのフィガロの結婚のフィガロ役はきっと凄く良いぞ。
以上、92,3ユーロの散財でしたが、正面からまじかに観られたし、レベルの高いパフォーマンスのおかげで初めてのモネ劇場の印象は上々。
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