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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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パルジファルのパフォーマンス 

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London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


ワーグナー生誕二百年も終わりに差し掛かる今になってやっとROHで待ちわびた新プロダクションがお披露目されました。

切符は全公演を通して2枚しか買わせてもらえないのに、ワーグナー好きのトーチャンを置いてけぼりにするわけにはいかないので、リハーサル(11月28日)と本公演(12月2日)で2回観たのみですが、すでにオペラの筋書きとプロダクションについては済んでるので(→こちら )、今日はパフォーマンスについて記録しておきます。


Director Stephen Langridge
Designs Alison Chitty
Lighting design Paul Pyant
Video designs Thomas Bergmann
Movement Dan O'Neill

Conductor Antonio Pappano
Parsifal Simon O'Neill
Kundry Angela Denoke
Gurnemanz Rene Pape
Amfortas Gerald Finley
Klingsor Willard W. White
Titurel Robert Lloyd
First Knight David Butt Philip
Second Knight Charbel Mattar
First Esquire Du?ica Bijelic
Second Esquire Rachel Kelly
Third Esquire Sipho Fubesi
Fourth Esquire Luis Gomes
First Flowermaiden Celine Byrne
Second Flowermaiden Kiandra Howarth
Third Flowermaiden Anna Patalong
Fourth Flowermaiden Anna Devin
Fifth Flowermaiden Ana James
Sixth Flowermaiden Justina Gringyte


新聞批評はFTの5ツ星からデイリー・メールの2ツ星まで珍しく評価が分かれましたが、星の数はプロダクション自体の好き嫌いによるもので、パフォーマンスについてはほぼ一致。

    

誰にも褒められなかったのはタイトルロールのサイモン・オニールで、鼻に掛かった硬い声は、声量はあるけど一本調子で魅力無し。

なのに、なんでROHではワーグナーの二枚目役はこいつばっかりなんだパンチ!  

それに、野放図に太って、舞台人としての自覚に欠けてます。テノールにしては長身なんだし、顔が悪いわけではないのに、醜い肥満体で物語のイメージぶち壊し。「彼はハンサム」という字幕が出た時、前の席のおじさんがプ~ッと吹き出したわ。正味4時間半のうちパルジファルが歌うのは30分あるかないかくらいだけど舞台には出ずっぱりなので、すらっとした美青年俳優に芝居してもらって、オニールは歌うときだけ出てきて舞台袖で歌ったほうがいいのでは? そうしたら、音楽がより美しく聴こえるに決まってる。


とうわけで、耳直しにクラウス君(フォークト)のパルシーを何度も聴いたことでした。カウフマンやクラウス君に来てもらえないんだったら、7年前の前プロダクションで素晴らしかったイギリス人のクリストファー・ヴェンチュリス呼べ!


    


クンドリーのアンゲラ・デノケは、オッパイはみ出ても気にしない体当たり熱演は賞賛されたけど、細い声とくねくねして芯のない歌唱は、物足りなく感じた人も多かったようです。私は今まで生で聴いたペチュラ・ラングやアーニャ・カンペのような現実感があって声もどっしりした女性たちよりも、デノケのはかない雰囲気の方が時と場所を超越した不思議な存在のクンドリーには向いてるのではないかと。


         


   
    


     



褒められたのは低音三人衆で、滅多にロンドンには来てくれないルネ・パーペが本格的にワーグナーを歌ってくれたのはそれだけでありがたいこと、ジェラルド・フィンリーの魂の底から搾り出すような苦悩の演技と歌唱の熱さと細やかさ、ウィラード・ホワイトの衰えない声、ってとこでしょうか。


私もほぼ同じ意見ですが、この中で一番凄いと感心したのはジェラルド・フィンリー。嫌というほど生で聴いてて、上手だとは思うけど飽きたから、誰か他の人に出てもらいたかった、NYメトでピーター・マッテイなんか理想的だわ、と思っていたんですが、ひえーっ、すみません、そんな失礼なことを願ったりして。フィンリーの温かみのある声と抑揚が無機質な直線ばかりのグレーのセットに人間味を加えてくれて、感動を与える役ではあるにせよ、やっぱり凄い歌手だと再確認。


反対に「あれっ・・?」と思ったのがルネ・パーペで、なんか声量がいつもの彼よりしょぼかったような。リハーサルではわざとセーブしてるのかとすら思ったほどです。歌う時間は多いけど語り部で退屈な場面の多い損な役だからそう感じたのかもしれないけど。でも、彼自身にドラマチックなことは起こらなくても、他の人たちが苦しむのを温かく見守る視線はそれだけで感動的。

パーペがROHに出てくれたのはこの15年間でローエングリンのちょい役とファウストの悪魔だけなので、やっとドイツ語の彼をROHでたっぷり聴ける機会に恵まれて嬉しかったです。でも、カーテンコールではあまり嬉しそうな表情してなかったけど、それはいつものことなのかしら? それとも、やっぱり絶好調ではなかった?


ウィラード・ホワイトはずっとこの役を独占状態なので、それはやっぱり飽きますよね。澄んだテノール声が好きな私にはハスキーなバスバリトンの彼は魅力は感じませんが、でも、年食っても衰えないどころか、今までのROHのパルジファルでは今回が一番良かったのではないかしら。

もう一人、鼻に掛かった声がもっと嫌いなロバート・ロイド爺も健闘して、ルネ・パーペよりも声量があって、これならまだまだ引退したくないでしょうね。

     



私の評価は4ツ星ですが、オーケストラと男声コーラスの素晴らしさが重要な牽引力となりました。


パッパーノ大将はいつもにも増して褒められっ放しでしたが、メリハリの効いた本当に素晴らしいオケ演奏でした。オケだけの評価であれば、誰でも5ツ星つけるのではないかしら。ワーグナーはオケが一番大切ですから、多少歌手に難があっても、かなり高水準のパフォーマンスで満足。

                                                


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