<14th June Sat>
お天気も良く最高だった一泊スパ旅行から帰ってすぐにウィグモアホールに行きました。アンナ・プロハスカのリサイタルはとても感動的だったので、カウフマンのマノン・レスコーのリハーサルと重なってしまったのですが、カウフマンを蹴った価値はありました。そのプロハスカがROHに出たROHのオペラは旅行前に準備しておきました。
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余裕がないのでざっとした記録ですが、カルメル派修道女の対話Dialogues des Carmélitesというプーランクのフランス語オペラを5月29日(初日)と6月9日に2度観ました。
いつもの脇の席が出ないのでupperslipから見下ろしたのですが、フランス革命直後の恐怖政治時代に実際にあった修道尼たちのギロチン処刑がテーマですから、当然思いっ切り暗~くて、宗教は苦手なので共感はできませんが、最後の処刑シーンは音楽も演出もぐっと来ます。シュパ~~ッというギロチンの音が天井近くに座る私、まじかなスピーカーから大音響で何度も響く度にドキッとしました もうちょっと音量下げても充分でしょうに。
ロバート・カーセン演出ですが、机や椅子以外には何もなくて、ほとんどのシーンはガラーンとして照明と人の動きだけで見せるのですが、時折、最大167人が舞台に立つというROH始まって以来の大人数の群集が出てくると迫力です。
いつものコーラス団にROHコミュニティ・アンサンブルという初めて聞くグループのボランティアの人たちが加わったそうです(ギャラ払ったら高くつきますもんね)。人の塊がセット代わりのシーンを作り出すのはユニークで、この演出を上から全体を見下ろすことができてラッキー。
Director Robert Carsen
Madame de Croissy Deborah Polaski
プーランクの音楽は、洒落たフランス歌曲とかをコンサートで結構聴く機会はあるのですが、これだけ大規模になるとちょっと冗長で、話の展開も遅く、もっとスピーティにして3分の2の長さだったらいいのに
いくら長くても、歌手が皆さん揃って聞き惚れるくらい上手であればあっという間なのかもしれないけど、残念ながら主役の元貴族の娘で尼僧になるブランシュは私の苦手なサリー・マシューズ
指揮者サイモン・ラトル夫人のマグダレーナ・コジェナが出演の予定だったので大好きな彼女とROH初夫婦共演を楽しみにしてたのに妊娠してしまったのが残念でなりません。
イギリス人のマシューズは、ルックスは良いし真摯な演技で好演して評価も高かったけど、くぐもった声は私には不快だったばかりではなく、特に初日はほとんど音が外れっぱなしに聴こえました。2度目を躊躇したのは主にマシューズが理由です。
他の女性たちも皆奮闘して、まるで歌合戦でしたが、抑制が効いてベストな歌唱だと思ったのはお馴染みのソフィー・コッシュ(もしくはコッホ)。凛々しい姿もクールで素敵。
可憐な声がとても気に入ったのはROHデビューのアンナ・プロハスカ。ROHには滅多に出ないデボラ・ポラスキも立派だったし、エマ・ベルは時として叫び声になってしまったのが気になったけどユニークな声で存在感ありました。
女性が圧倒的なこのオペラで男性はほんのちょい役ばかり。下手なフランス語で歌うサー・トーマス・アレンは「爺ちゃん、まだ歌ってるんだ。ま、いいけど・・」と思っただけですが、テノール好きの私には司祭のアラン・オークとブランシュの兄のヤン・ブーロンが出るシーンが貴重で楽しめました。特にヤン・ブーロンは初日は不調で後半だけキャンセルしてしまい、彼を聴きたいから2度目も行かなきゃねと思ったわけです。アラン・オークはROHに脇役でよく出ますが、私はこのおっさん好きです。
指揮者サー・サイモン・ラトルはさすがのコントロールとメリハリで賞賛の嵐でしたが、下手くそな金管楽器が足を引っ張ったせいもあるでしょうが、期待ほど感動的にはならず。
退屈だった部分も多かったけど、両側から見ることができたし、こういうのは意外と2度目の方が少し音楽にも慣れて楽しめるもので、サリー・マシューズも2度目はそう音が外れなかったし、短く感じたことでした。しばらくは観なくてもいいかなと思いますけど。
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