<18th June Wed>
昨日のマノン・レスコー(スキン写真ご覧下さい)でとても素敵だった美人のクリスティーン・オポライス嬢、Facebookでうっとり写真を眺めていたら、なんとtimeline photosに私のブログからのパクリ写真が2枚! ヨン様と共演した去年のROHのトスカのカーテンコールですが、へえ~、こんなマイナーな日本語ブログにまで検索するとは驚き 気に入ってもらえたわけだからもちろん嬉しいし、また頑張ろうという励みにもなります。それならば、10日以上も前に観たENOのオペラなんて、誰も興味ないでしょうけど、これだって、写真がご贔屓テノール君の目に止まるかもしれないし、せっかく旅行前に準備しておいたのだから、今日はそれでいきましょう。
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6月7日の土曜日、English National Operaでベルリオーズのオペラ第一作というベンヴェヌート・チェリーニを観ました。
Composer Hector Berlioz
Libretto Leon de Wailly /Auguste Barbier
English Translation Charles Hart
Director Terry Gilliam
Conductor Edward Gardner
Benvenuto Cellini Micheal Spyres
Giocomo Balducci Pavlo Hunka
Teresa Corinne Winters
私のお目当てはテノールのマイク・スパイヤーズだけ。無名のオペラには期待しないし、できれば人気がなくて当日にシニア割引でうんと良い席がうんと安く買えますようにと祈ってました。でも、今でも人気のモンティ・パイソンの一人であるテリー・ギリアムの新演出で話題になるに決まってるし、彼がやはり2、3年前にENOで演出したファウストの劫罰も評判上々だったので、切符の売れ行きはきっと良いんだろうなあ、とヤキモキしてたところ、当日電話してシニア割引をすると確認。3時間前から売り出すこの60歳以上のシニア割引、5分前に着いたらすでに15人ほどの元気なジジババが並んで待ってました。
元の最高額は125ポンドで、これを35ポンドまで下げてくれることもあると聞いていたのでそれを期待して行ったのに、「今日は半額」、と言われてちょっとがっかりでしたが、60ポンド以上も出す気はないので、結局アッパーサークルの72ポンドの最前列を36ポンドでゲット。
もっと近くで観たいけど、まあいいや、案の定4ツ星評価だった大掛かりなセットを観るためにはこの全体がよく見える席は決して悪くない。
ENO始まって以来最もお金を注ぎ込んだという言われるだけあり、セットも凄いし、人もやたらにたくさん出てきて、まるでサーカスを見てるみたい。凄く面白いんだけど、色んな人が色んなことしてるのをいっぺんに全部見られないし、目がくらくらするわ。第一、私はセットを見に来たわけじゃないし。
チェリーニは15世紀のイタリアの彫像家。このオペラは有名なペルセウスとメドゥサの像を作る際のでっちあげのラブロマンスなんですが、セミセリア(半分シリアス)という珍しいカテゴリーで、最初のオペラとあってベルリオーズが張り切ってあれこれ詰め込み過ぎて中途半端になってしまい、決して出来の良い作品ではないでしょう。駄作オペラにこれだけお金を掛ける価値があるのでしょうか? 映画監督としても有名なギリアムは、オペラというよりはお芝居の乗りで作ったんでしょうね。長過ぎるから削りたいとか言い出して、音楽監督と争ったそうです。オペラありきだったらそんなこと言うわけないのにね。
タイトルロールのマイク・スパイヤーズは、一年前のROHの湖上の美人でコリン・リーとロドリゴ役をシェアして互角に争い、その後バービカンのコンサート形式のファウストの劫罰(→こちら )(これもベルリオーズ)がすごく良かったのでファンになったアメリカ人テノールで(ギリアム演出のENOの同オペラも彼が主役だったとのことで、こんなに良いと知ってたら観に行ったのに、残念)、見る度に醜く太ってるのは問題ですが(ブスは仕方ないけど、デブは本人の責任)、なめらかな美声を聴かせてくれて、長い間待ってた私は満足 これなら、もっと高い席を奮発して近くで聴けばよかったかしら。って、かぶりつき席が残ってたらそうしたんですけどね、隅っこしかなかったから。
他に上手だったのはライバル役のバリトンのPavlo Hunkaだけで、他に人はあまりぱっとしなかったのが残念。ヒロインのソプラノCorinne Wintersはとても可愛くて役にぴったりなんだけど、私の嫌いな濁った声。エンターテイメントとしてビジュアル面を重視したってことかしら? オペラにはそれは邪道で、歌の実力で歌手を選んでくれなきゃ駄目ですよ。
ということで、初めて行使したENOのシニア割引、半額でもROHで払うよりはうんと高かったけど、あれだけの席であの値段ですからもちろんラッキーで、これからもたまには利用するかも。でも、どうか、私が聴きたい歌手が出る時はその人以外は下手くそで評判が最悪となって、仕方なく大幅叩き売りになりますように・・・ 今のところ狙ってるオペラはないですけど。
コロシアム劇場は、爺さん婆さんを優遇してくれるだけではなく、ジョ所ババトラファルガー広場のすぐそばでロケーションも抜群だし内装も美しい劇場なのに、全部英語にしてしまうのが勿体無くてたまりません。