<24th May Sun>
ベルリン記事を始める前にROHでラ・ボエームが始まってしまいました。3連休中ですが、いつまでも冬みたいに寒いロンドン、明日も出掛けずに家にこもってブログ書きするかも。
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先回予定だったマノンは切符を売ってから(彼女が出るというだけでシビアな枚数制限なのに)、「マノンって私には合わないから辞めるわ」、と言い放って大ヒンシュクを買った超人気歌姫アンナ・ネトレプコ、ラ・ボエームには絶対出るからという約束通り、ちゃんと出てくれてよかったです。
ラ・ボエームの内容については過去記事をご覧下さいですが(→こちら )、要するにパリの貧しいお針子が結核で死んでしまう話で、屋根裏部屋に住む若者4人のはしゃぐ場面や豪華なパリのレストランも出てきて、場面的にも音楽的にも暗いだけではないのが名作たる所以。
La Boheme
Alcindoro Ryland Davies
声量たっぷりで憂いのあるネトコ節は相変わらずだったので文句はありませんが、これが彼女の良さを引き出す役とは思えず、「ふーん、ま、彼女のミミはこんなもんでしょう」、という感じ。迫真の演技というよりはわざとらしい作りものみたいだったのは、丸々とした顔と体で死ぬ間際に二重アゴだったのも災いしたかもしれません。
特に私は前日にENOで若くてセクシーで相手役ともケミストリー抜群のカルメン(→こちら )を観たばかりで、感情移入に関してはこのラ・ボエームはカルメンに遠く及ばずでしたから。
恋人役のジョセフ・カレヤもデブなのがネトコちゃんをほっそり見せるために幸いしたのか、それとも二人して太目のカップルでビジュアル的に更に凹んだのか・・・。
そのカレヤ、リハーサル(私は行きませんでしたが)では声を凄くセーブしてたそうで、不調なんでしょうね、この日も、中低音はOKだけど、高音がスカスカ。キ
ャンセルする程ひどくはなかったけど、今後キャンセルする可能性は充分なので、これは代役が誰だか要ウォッチだわ。
例え絶好調でも、カレヤのロドルフォはすでに聴いてる上に彼はROHに出過ぎで飽きてるので、誰か他のテノールに代わってくれないかなあ。もう一人はベチャワだけど、彼も売れっ子で忙しいだろうから、無名の若いテノール呼んでね。ネトコちゃんのご主人はこれ歌えないのかしか?
もう一つのカップルであるマルチェロとムゼッタも太目だったので、栄養失調グループという設定から丸っきり外れてたのは、オペラだからまあ良しとしても、でもやっぱり、2年前のアニータ・ハリティッヒとソニア・ヨンチェバ(→こちら )というビジュアル的(歌唱的にも)には完璧な女性陣の記憶がまだ鮮やかなので、今回のムゼッタのジェニファー・ローリーは美声だけどちょっとね・・。
縦横一番でかいルーカス・ミーチェムは、去年秋のセヴィリアの理髪師で抜群におもろいフィガロだったんですが(→こちら )、マルチェロでは大した悪ふざけも出来ず、無難に上手に演じました。
他の男性二人は、特に小柄でもないんでしょうが、回りが大きい人ばかりだったのでやけに小さく見え、声もぱっとしなくて影が薄かったです。
しかし、今回のラ・ボエームの主役は実は舞台セット。
1974年から使ってるROHのドル箱プロダクションですが、ついに今回を最後にオシャカになってしまうのは惜しいことです。たしかに古めかしいけど、衣装さえ新しくすればまだまだ使えると思うんですけどね。
私がこの15年間でこれを何度観たのか最終日までには数えてみるつもりだし、最後の日(ネトコちゃんは出ませんが)にはお別れに参上。その時に私の思い入れを書きますが、昨日は正面から観る最後の機会でしょうから、セットや小物、脇役さんたちの演技を双眼鏡で一つ一つ愛おしく眺めたのでした。
この特別な最終ランの初日に演出家のジョン・コプリー氏もカーテンコールに登場。最後の日(7月16日)もきっと出てくれるでしょうから、一緒に泣きましょうね
ところで、この日は正面の立見席だったのですが、最初のインターバル後は図々しく空いてた舞台横の席に移動
おかげでカーテンコールで面白い写真が撮れました。指揮者のエッティンガー、男女拘わらず歌手にキスして忙しいですね
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