<20th March Tue>
今日は英国のトップ音楽学院のひとつであるRoyal Academy of Musicで行なわれた歌のマスタークラスに行ってきました。誰でも入れるオープンクラスなのですが、いわば授業の延長ですから、写真はありません。
英国人有名メゾ・ソプラノSarah Connollyが先生だったんですが、これがなんと無料。声楽だけでなく様々の楽器のマスタークラスが頻繁にあるですが、ほとんどは日中行なわれるようです。今回は幸い6時スタートだったので私も行けましたが、リタイヤして悠々自適の身になったらこういうのに行きまくることができるわけで、無料或いはうんと安くクラシック音楽が楽しめるロンドンにいるのに、会社なんか行ってるのが悲しくなります。
サラ様のマスタークラスは6時から3時間の予定でしたが、家でブログでも書こうと思っていたので、1時間くらいいれば様子はわかって充分だろうと思って軽い気持ちでちょっと覗きに行ったんです。でも、凄く面白かったので、結局最後までいたら、終わったのが9時20分過ぎ。観客のほとんどはリタイヤした初老の人たちでしたが、熱心なサラ様のお陰で盛り上がり、15分くらいの休憩1回だけで、とても中身の濃いマスタークラスでした。
長いマスタークラスでは人柄が出るわけですが、的確できっぱりしてるけどとても温かいサラ様。熱心に事細かにアドバイスして聴いてるほうも感心しっぱなしでしたが、全員に歌詞を歌わずに語らせたりして、特に歌詞と子音の重要さを強調して、明らかな効果があがりました。
彼女の音域ではない歌手もいたのに、フルな声はちょっとだけでしたが、サラ様はソフトにたくさん歌ってくれて、それはそれでいつもと違う魅力だったし、トラヴィアータのアルフレードのアリアを歌う優しい美声のサラ様なんて滅多に聴けるものではないですよ。そして、お得意のヘンデルのジュリオ・チェーザレは結構本格的に歌ってくれて、やはり一番説得力ありました。
オペラのアリアだけでなく、シューベルトの歌曲までやったのですが、サラ様の誠心誠意の指導ぶりには感激でしたが、生徒は5人で、ここの学生だろうと思うのですが、精鋭を選んだのか、皆さんとても上手。私が良いと思った順に名前を書き残しておくと、Samuel Furness (tenor), Johnny Herford (baritone), Aoife Miskelly (soprano), Katie Bray (mezzo-soprano), Sarah Shorter (mezzo-soprano)。
男性二人が印象的で、特にテノール君の歌ったKuda, kudaが素晴らしく、彼はアルフレードはいまいちでサラサマに厳しくあれこれ言われてましたが、このチャイコフスキーのアリアを歌いだしたらすぐに「あ、これは完成してるわ」と思ったか、サラ様は舞台を下りて客席で聴き惚れてました。心のこもった哀しいアリアに私もぐっと来ましたが、サラ様もうるうるでしたよ。後で「僕、このオペラは丸々歌ったことがあるから」と言ってたので、皆で納得。
このイベントを知ったのはつい最近なのですが、思い掛けず充実した時間を過ごす事ができました。今週は仕事も忙しいのですが、そういう時こそ良い音楽に接してリフレッシュすることの大切さも再確認したし、ロンドンのありがたさも実感。