<2nd Dec Wed>
忙しかった11月、数えてみたらなんと観劇だけで16回!(オペラ7回、コンサート形式オペラ3回、コンサート4回、芝居2回)。印象に残ったものだけしか記事にできませんが、しばらくはあまり仕事に行かなくてもよさそうなので、頑張って記録しておくつもり。
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オ-ストリア人の現代作曲家、ゲオルグ・フりードリッヒ・ハースのROHがコミッションした新作オペラM
orgen und Abend(朝と夜)の新プロダクションに11月17日と25日の2回行きました。
朝(生)と夜(死)ですが、死への旅発ちがテーマ。老漁師ヨハネスの産まれた時(英語ナレーション)と死ぬ時の場面(ドイツ語歌)なのですが、年老いたヨハネスは最初は毎日会いに来てくれる彼の娘と喋っているのに、次は死んだ妻や友人が出てきて、娘には自分が見えなくなり、自分が死んだことを悟るというシンプルなストーリーです
フレンズ予約の時は他の人気オペラの予約だけで必死だったので、「こんな現代オペラはどうせ売れないから、後で」、と思っていたら、そのまま忘れてしまい、初日の直前に慌てて一回分買いました。安いupperslipでしたが、一度聞いて気に入ったので、トーチャンも誘って又行きました。2回目は特に素晴らしかったオケと打楽器に集中するつもりだったので、それにはお誂え向きのupperslipで再び(舞台の後ろに大きな字で字幕が映写されてたけど、この席からは見えないのも却って好都合)。
最初のナレーション部分(ドイツ語訛りの英語)は死ぬほど退屈で、私は新聞評で読んで知ってたのでいいのですが、歌なしで40分って、しかも、喋ってる内容が薄くて、更に初日はマイクロフォン無しだったのでよく聞えず、さぞ辛かったでしょう。私が行った日も、途中で去る人が結構いましたが、そうでしょうね、これがオペラって言われてもね。批評は4ツ星と3ツ星混じりでしたが、ナレーションや歌を含むと3ツ星、オケと合唱を重視すると4ツ星ってなのではないかしら。
グレアム・ヴィックの演出は全て灰色でゆっくりゆっくり回転する回り舞台は北海の海のように荒涼そのものなんですが、冷たい感じはせず、こんな風に死を迎えられるのであれば死ぬのも怖くないかもと思わせる人間味のある雰囲気で、トーチャンの時は私が「待ってたわ」してあげる予定なんですが(年上の私が先にあの世に行くわけ)、私が死ぬ時は誰が迎えに来てくれるんだろう?などどと考えてたら、なんだか心が温かくなりました。
死ぬ時にこんな美しい音楽が鳴ってたら最高だわ。スケール大きくてシャープで複雑だけどシンプルで、ティンパニーや木琴等のパーカッションが効果的で、舞台の後ろからは読経のような合唱が(ちょっと不気味だけど)グワーンと轟いてゾクゾクしました。時としてパイプオルガンのように聞える弦楽器もユニークで、これを下手くそな演奏だったら聞いちゃいられないでしょうが、オケの一糸乱れぬ正確な演奏は実に素晴らしくて、歌もまあ皆さん上手でしたが、主役は間違いなくオケ。それだけで休憩無しの90分、私は引き込まれました。これで6ポンドは超お得。
尚、私が観た11月25日のパフォーマンスが12月5日6時半にBBCラジオ3で放送されます。
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