<3rd Dec Thus>
辛いけどとても美味しい四川料理を頂いてお腹一杯ですが、今日も一つコンサート・オペラを片付けましょう。
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11月27日、バービカンでレオンカヴァッロのオペラザザZazaがコンサート形式で上演されました。
映画化もされてて、「舞姫ザザ」のフルストーリーは→こちら ですが、オペラでは最初と最後を省いて、「旅芸人ザザは恋人が結婚してるとわかって彼の家に乗り込み、妻と娘に会うが、幼い娘に辛い思いをさせてはいけないと身を引く」というお話で、誰も死なないし、どこにでもある日常的不倫のオペレッタ並みの軽い内容ですが、レオンカヴァッロの甘美な音楽はリッチで、初演当時は人気演目だったそうです。
ヘンテコな新しいオペラをお金を注ぎ込んで作るより、こういう忘れられた素晴らしい作品を掘り出す方が良いのではないかと、直前にハースの新作「Morgen und Abend」で感激したばかりの私ですら思ったくらい全編流れるように美しく、いかにもヴェリズモ・オペラっぽいイタリアンな雰囲気たっぷり。
偶然にも一昨日ROHで観た同じ作曲家の「道化師」と違ってヒットアリアもないしドラマ性に欠けるのが人気が衰えた理由でしょうが、現代でも不倫恋愛中の女性には特に共感を得るでしょうし、花形ソプラノとっては(歌唱的には難しくないけど)出ずっぱりのぶっちぎり主役なのでやりがいがあり、アンジェラ・ゲオギューとかぴったりなのではないかしら?
LEONCAVALLO: ZAZÀ
BBC Symphony Orchestra
Maurizio Benini, conductor
Ermonela Jaho: Zazà
Riccardo Massi: Milio
Stephen Gaertner: Cascart ザザの相談役
Rebecca Lodge :Anaideザザの母(Patricia Bardonの代役)
David Stout: Bussy 一座の団員
Nicky Spence: Courtois 一座の団員
Kathyrn Rudge: Natalia ザザの女中
Simon Thorpe: Duclou
Fflur Wyn: Floriana ライバル芸人
Julia Ferri: Totò 不倫相手の娘(台詞のみ)
BBC Singers
Renato Balsadonna, Chorus Director
Susannah Waters, Director
バービカンで年に何度かやってくれるコンサート・オペラが大好きな私、とりあえず全部買うのですが、これが一番期待が低くて、内容を知らないのは構わないけど、「主役が、演技は上手だけど聞き飽きてるし声に実がなくて魅力を感じないエルモネラ・ヤホと、去年のROHのトスカでぱっとしなかったリッカルド・マッシか・・・。 面倒だから行くのやめようかな・・」、と思ったくらい。
でも、なんとこれがとても素晴らしくて、終わった途端にワーッとスタンディングオベーションになったくらい盛り上がったんです
感動の理由は、オーケストラも素晴らしかったんですが、やっぱりヤホの演技でしょう。苦しむ芝居が抜群に上手なヤホ嬢、ROHのプッチーニ三部作の修道尼アンジェリカで泣かせてくれたのは忘れられませんが、コンサート形式であっても全身全霊の迫真の演技で、おそらく父親不在の少女時代だったに違いない薄幸の女優ザザに皆が涙したのでした
最前列だったのですが、前半は音符台が邪魔で字幕が全く見えず、仕方ないので歌手の顔見てるしかなかったのですが、細かい内容はわからずとも、儚い恋心を木目細やかに演じるヤホの表情に感心することしきり。
↑ 終わった直後はまだ役になりきってたヤホ嬢、髪も乱れてうるうるでしたが、
↓ 再登場した時は涙もふいて髪も直し、打って変わって嬉しそうな笑顔。
相手役のテノールのマッシも声がよく伸びて意外に良く、かぶりつき席で堪能しました
長身で顔も悪くないのにこれまた太り気味なのが残念だ
指揮者のベニーニも感極まった面持ち。
脇の歌手も皆さん良くて、中でもザザを慰めたり説教したりするカスカート役のバリトンと急な代役の母親がとても上手でした。
あのニッキー・スペンス君(トビー・スペンスを聴きにいったら代役で出てきたスコットランド人テノール→こちら )も出ててちょい役だけど光ってたし、小柄な女性はこの前見た不思議の国のアリス(→こちら )の主役だったソプラノだ(アリスでは少女に見えたけど、結構老けてるんだ・・。)
というわけで、期待を上回る素晴らしいパフォーマンスで大満足。BBCシンフォニー・オーケストラは値段が安いのもありがたくて、これは僅か18ポンドでしたもんね
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