<14th Dec Mon>
旅行の計画って、やり出すと止められないんだけど、来年の北海道旅行のことばかり考えてるわけにはいかないし、明日からは又連ちゃんでオペラやコンサートがぎっしりだから、その前にオペラを一つ片付けましょう。もうすぐ注目のホロ様「オネーギン」も始っちゃうしね。
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マスカーニのカヴァレリア・ルスティカーナ(以下Cav)とレオンカヴァッロの道化師(Pag)の新プロダクショ
ンを11月30日(リハーサル)と12月10日の二度、観に行きました。先回はドミンゴ先生出演だったので一本でもいいかと思ったのか「道化師」だけだったのですが、今回はスタンダートになってるCavとの二本立て上演。
どちらも村で起こった普通の人々の殺人事件(キーワードは不倫、三角関係、嫉妬)なのですが、今回のポイントは二つのオペラが同じ村で続けて起こったとうい設定になってることで、両方に出る二人の男性歌手(アントネンコとプラタニアス)以外がそのままの役でもう片方に出てくるんです。例えば、道化師の奥さんネッダがパンを買いに来て、パン職人と恋仲になるとか、殺されたトゥリッドゥのお母さんはそのオペラの終わりでは告げ口したサントゥッツァを許せずに怒ったままなのですが、「道化師」で抱き合って心を通わせる等々、ドラマとして少し幅広くなったかな。でも、統一性があって良いような、両方同じ設定では退屈なような・・。
新聞評は4ツ星と3ッ星混じりでしたが、イタリア人演出家ダミアーノ・ミキレットは今年6月のロッシーニのギョーム・テルのレイプ場面で場内を騒然とさせた人なので(→こちら )、これもどんな風に驚かしてくれるか楽しみにしてたのに、まずCavはあまりにも普通でがっかり。1970年という想定も新鮮味ないし、回り舞台がしつこい。舞台を回さずに場面転換させるのが演出家の腕前なのに、これではあまりにも安易過ぎ。
でも、後半は持ち直し、ふたつを同時に観たのは初めてなのですが、ドラマ的にも音楽的にも(そして今回は演出的にも)道化師の方が良かったと思います。 レオンカヴァッロ、これしかヒット作はないですが、こないだバービカンで聴いたザザ(→こちら )も良かったし、もう少し評価されてもいいかも。
カバレリア・ルスティカーナのセット。酒場ではなくてパン屋さん。
Santuzza Eva-Maria Westbroek
パフォーマンス
両方で主役のアレキサンドロス・アントネンコ、2012年にオテロ(→こちら )で初めて見た時は、「まあ、なんて精悍な美男子で、ロブストな歌も迫力あって上手なの!素敵、素敵、キャーっ」、と仲間たちと絶賛したのに、次のプッチーニの外套では、「あら、太っちゃったわね、がっかり・・」、でした。で、今回は、「ギエーッ、なによ、もう、更にデブになってまん丸じゃないの」、とボロクソ。歌はまあまあでしたが、オテロ以来上達してないし、演技も特に上手いとも思えず(近くで観たら違うかもですが)、2度観れば充分。次回は違うテノールにしてして下さいよね。
殺されちゃったよ~ (Cav) 殺しちゃったよ~ (Pag)
Cavのエヴァ・マリア・ウエストブルックは、いつもの細やかな演技で悲劇のヒロインに相応しいのですが、なんせROHに出過ぎてて、うんざり・・。彼女も進化してなくて、声も割れ気味。
マリア・ストゥアルダではディドナートと互角に戦って印象的なエリザベス一世だったけど(→こちら )、今回は太目のウエストブルックよりはセクシーで魅力的だったものの、特に美声でもなく、何度も聞きたいとは思わないかな。意外に足が太かったし・・・
個性的な面構えのディミトリ・プラタニアスも両方に出てて充分上手だし、彼の声は決して嫌いではないのですが、これまたROHにはよく出るので飽きてます。
以上、一度だけドラマとして観るのであれば、主な歌手たちはビジュアル的にもぴったりで(アントネンコの肥満には大失望だけど)、大きな不満はないけれど、何度も通いたい気持ちにはなれず。
そんな中、小さい役ながら若い男性二人がチャーミングでした
道化師の奥さんと駆け落ちしようとして殺されてしまうシルヴィオのバリトン君も上手だったけど、私はバリトンよりもテノールに惹かれるので、お芝居団員ペッペ役のベンジャミン・ヒューレットに胸キュン ヘンデルのサウルでお気に入りになったイギリス人のベン君は、いわばミルトン・キーンズに私を呼び寄せた好青年(→こちら)、ドロドロした愛憎ドラマの中で一服の清涼剤とも言える爽やかさで、彼だけは何度も聴きたいと思ったのでした(白い服がベン君)。
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