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4月16日、土曜日午後1時、ウィグモア・ホールで盲目のピアニスト、辻井伸行さんのリサイタルがありました。
音楽通が集まる(私めもちょくちょく行きますが・・)ステイタスの高いウィグモア・ホール自身が企画するWigmoreシリーズではなく空いてる日に会場だけ借りる形式でのコンサートだったので、本当の意味でのウィグモア・デビューではないかもしれませんが、正規のシリーズでも充分通用する腕前ですから、これがきっかけとなって近いうちに耳の肥えた常連さんたちに聴いてもらえるといいなあ。
この日は切符は売り切れて熱気溢れる会場でしたが、いつもとは全く違う客層で、ほとんどが日本人。おそらくウィグモア・ホールは初めてで、クラシックコンサートにも滅多に行かない方がほとんどかと思われますが、これがきっかけでクラシック音楽の素晴らしさをわかって頂けると嬉しいです。
私の席は最前列やや左寄りで、手の動きが下からばっちり見える抜群の席。なんせ、5ケ月前に一番乗りでゲットしましたからね
でも、辻井君は曲の間もカーテンコールも右、左、正面と三方に深~く長~く丁寧にお辞儀をして、写真を撮るのが難しかったんですよ いつもよりたくさん撮ってなんとか顔が見えるのが何枚ありましたが。
Nobuyuki Tsujii piano
Fryderyk Chopin (1810-1849)
12 Etudes Op. 10
Ballade No. 1 in G minor Op. 23
Ballade No. 2 in F major Op. 38
Ballade No. 3 in A flat major Op. 47
Ballade No. 4 in F minor Op. 52
エチュードとバラード、全部ショパンのプログラムで、とても素晴らしい演奏だったのですが、ちょっとショパンにしては硬い上になにか弾き急いでるように聴こえたのがちょっと残念だったかな・・。お金払ってでも聴きに来たい人が切符買えないなんて・・。
2週間前にここで聴いた大御所アンドラス・シフの落ち着いた熟練さとつい比べてしまったこともありますが、辻井君は若い情熱がほとばしり過ぎたのでしょうか。ちょっとだけ間を置くだけでも随分違ったと思うのですが、まあショパンは特に好みもありますから・・。
でも、休憩なしで1時間半近く正確に弾き続けるというのは、自分自身が気分がそがれるのを避けるためであっても、凄いです。そう言えばシフ先生も休憩なしでしたが、これは珍しいことです。たしかに聴くほうも集中できるので、こういうコンサートが増えると良いかも。 辻井君がしたように、最後にピアノの蓋を自分で閉じるのも「これでお終い」とわかって助かるし。
アンコールは3曲。ショパンのノクターン、お馴染みのラ・カンパネラ、辻井君の自作「それでも、生きてゆく」でしたが、暖かい大拍手をもらってリラックスしたのか、さっきより余裕が感じられました。
最後の曲の前に辻井君が大きな声で元気良くk英語で「次の曲は僕が作った東北震災被災者に捧げる曲です」、と説明してくれた時になぜか急に涙が出てしまった私。涙もろいわけではないですけどね。知りませんでしたが、この彼の曲はテレビドラマのテーマ曲にもなったそうですね。悲しみよりも希望を感じて癒されました。
辻井君の演奏を生で聞くのは一昨年のプロムス(→こちら )に続き2度目ですが、いつもなにか心に響くものを感じます。
久し振りに会う知人もたくさん来てたのも日本人イベントならではの楽しみで、充実した週末となりました。
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