<15th April Sun>
今日はタイタニック号沈没100年でイギリスは騒いでますが、日本でも少しは話題になったのかしら?
7,8度しかなくて冷たい風が吹いてましたが、トーチャンと公園にお花見に行ってきました。色んな花が咲いてますが、この公園で一番迫力のある桜並木の八重桜はまだ咲き始めたばかりなので、満開になるのは来週でしょうか。誕生日の記念写真を桜の下で撮りたい私にはちょうど良いので、ゆっくり咲いてね。
グリゴーロ君が、ローレンス・オリヴィエ賞にプレゼンターの一人として登場したテレビ映像を撮影しました。音が悪いけど。で、彼が賞を渡したのは二つのオペラ賞ですが、ROHでやってるのに両方ともENOが受賞したのは皮肉でした。
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昨日のバービカンでのNYメトのHDライブのラ・トラヴィアータ、ナタリー・デセイは出てくれたのですが、絶好調からは程遠く、苦しいながらも高音はなんとか出てましたが中音がかなりかすれてしまい、果たして最後まで歌えるのかしらとずっとハラハラし通し
これをラジオで聴いたら、きっと「調子悪い時に無理して出なくてもいいのに」、と不満に思ったでしょうが、演技力には定評のある彼女、期待通り真心こめて細かい所にまで気を配り全力で体当たりする姿は感動的でした。赤ワンピもよく似合うし足もきれいで、小柄でアルフレードのマシュー・ポレンザーニとのバランスもグー、とビジュアル的には文句なく、大画面で見るとさらに素晴らしさがわかります。
でも、さぞや無念だったんでしょう、カーテンコールで全く嬉しそうな顔しなかったし、深々と頭を下げて「ごめんなさい」と体中で訴えるナタリーの痛ましかったこと
New York Metropolitan Opera Orchestra
New York Metropolitan Opera Chorus
Conductor.....Fabio Luisi
Violetta.....Natalie Dessay (Soprano)
Alfredo.....Matthew Polenzani (Tenor)
Giorgio Germont.....Dmitri Hvorostovsky (Baritone)
Flora Bervoix.....Patricia Risley (Soprano)
Annina.....Maria Zifchak (Soprano)
Gastone.....Scott Scully (Tenor)
Barone Douphol.....Jason Stearns (Tenor)
Marchese D'obigny.....Kyle Pfortmiller (Bass)
Dottore Grenvil.....Luigi Roni (Baritone)
ザルツブルグでネトレプコとヴィラゾンで話題になったモダン版プロダクションですが、あの時は斬新でなかなか良いと思ったけど、今回は少しも良いと思えませんでした。象徴を具体的にし過ぎてクサいし、人間性も全く感じられず、オペラでは珍しくヴィオレッタは共感覚える血の通った女性なのに、これではいくらナタリーが熱演しても私は感動できません。私はいつも「初めてのオペラでお勧めなのは椿姫」と言ってますが、できればこれは避けて下さいね。
ナタリーの芝居が古めかしかったのも原因かもしれず、正攻法でヴィオレッタを演じたいのであれば、是非ROHに来て下さい。まとも過ぎて面白みには欠けるかもしれないけど、ヴィオレッタになりきれるわかりやすくて良いプロダクションですから
アルフレード役のポレンザーニは、下着姿は映画館で失笑されたけど、歌も演技も素晴らしくて、決して容貌のは良くないのに、素敵に見えて、ますますファンになりました。聴き飽きてない分、私が今一番聴きたいテノールかも
ジェルモンパパのホロは相変わらずホロ。声はよく出てて映画館でも一番拍手が大きかったけど、何やっても同じでつまんなーい。ヴィオレッタと絡むシーンでは、これは演出のせいもあるけど、こんな冷たくてヴィオレッタと心が通わないパパもはじめてだ
指揮者の姿は見えないけど、メリハリが利いてテンポも早いファビオ・ルイジは好き。
ところで、ナタリーの喉がおかしいのは単なる風邪なのでしょうか? それとももっと深刻な問題が?
3月にロンドンで生で聴いた時も、このトラヴィアータほどひどくはなかったものの、同じように中音がちょっとかすれてたので、気になります。
ということで、無理矢理、3月4日のウィグモア・ホールの今更リサイタル記事につなげてしまいますと、↓
まず、小さなウィグモア・ホールでナタリーのような大スターの切符を買えたことはラッキーそのものでした、最初に売り出した時はきっとレベルの高い会員でないと買える筈がなかったですから、私なんぞは全く蚊帳の外なんですが、運よく前日の夜にナタリー・ファンの友人がリターン席をキャッチ。しかも前から4列目のど真ん中という抜群の席。60ポンドと少々高かったですが、ナタリーが歌曲を歌うのをまじかに聴けるチャンスですからなんのその
折角これだけお金を出したのだから内容もしっかり理解して最大限に楽しまなきゃ勿体ないと思ってプログラムを買い、フランス語の歌詞と英語訳を見比べようとしてたのに、「デセイ嬢の希望で照明を落としますから、プログラムは今しっかり読むように」、なんて言われてしまいましたが、実際には壁の電灯を少し消しただけで、ほとんど変りなし
そしたら、
銀ラメのストラップレス・ドレスで登場したショートカット髪のナタリーは、あからさまな困惑顔で、「こんなに明るちゃ歌えないわ。暗くしてって頼んたのに・・・」、などとのたまうではないですか・・・
あわわ、ウィグモア・ホール初登場なのに、のっけからこんな不手際でご機嫌損ねたら、もう二度と出てくれなくなっちゃうよ
Natalie Dessay soprano
Phillipe Cassard piano
Claude Debussy Romance/Les cloches/L'Archet
Claude Debussy Clair de lune (piano solo)
Claude Debussy Clair de lune/Ensourdine/Fete Galante/Pierrot/Apparition
interval
Emmanuuel Chabrier Chanson pour Jeanne
Ernest Chausson le temps des lilas
Henri Duparc L'invitation au voyage
Gabriel Faure Nocturne No.4 (piano solo)
Claude Debussy Le Metelot qui tombe a l'ear/Coquetterie posthume/Regret/La Romance d'Ariel
アンコールはドビュッシー他全2曲
しかし、さすがプロのナタリー、仕方ないと覚悟を決めた後は、観客の様子が丸見えで邪魔に違いないのに、あたかも大きな瞳が暗闇を見つめるかの如くきらきらとドラマチックに動くのが真正面の私にはよく見えました。
なんという贅沢
中音はほんのちょっとかすれ、高音の潤いも完璧ではないちょっぴり不調のナタリーでしたが、小さなホールでの歌曲ですから大声を張り上げる必要はなく、時には繊細に囁くように美しいフランス語で歌うナタリーは、オペラハウスではできない貴重な経験でした。カーテンコールでは温かいウィグモア・ホールの客の拍手に嬉しそうだったナタリー、これに懲りずに又来て下さいね。
とは言っても、彼女クラスのアーチストは会員費をたんまり払わないと切符買えないので、ウィグモアについてはどうしようか迷っているところ。年間500ポンド、200ポンド、100ポンド、40ポンド、とあって微妙なところなんですが、来シーズンは、歌手だけに限ってもカウフマン、ダムラウ、キルヒー、アントナッチ、ゲルハーヘル等、聴きたい人は何人も出るのですが、カウフマンとダムラウはお手上げだとしても、ポレンザーニとイエスティン君なら40ポンドの平フレンズでもまあまあの席が買えるかな?