<17th April Tue>
なんなのよ~、この寒さは 日本でもこの季節、花冷えというのもあるんでしょうが、ロンドンは真冬に逆戻り。おまけに急にザーッと雨も降ったりして最悪
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パフォーミング文化でイギリスが世界一と誇れるのは演劇でしょう。ロンドンでは「えっ!」と思うような有名人もちょくちょく舞台に出ています。あいにく私は特にお芝居に興味があるわけではない上に音楽鑑賞だけで精一杯なんですが、マリア・カラスの声楽マスタークラスがテーマとあらば、行ってみようじゃないですか
ということで、4月13日、前日に切符を買って、一人でレトロな雰囲気漂うヴォードヴィル・シアターというこじんまりした劇場でやってるMasterclassというお芝居を観に行きました。批評家には評価されても、オペラ好きの人数はたかが知れてるので、3ケ月程しかやらないのに客集めに苦労しているらしく、一番高い切符でも手数料込みで25ポンドで叩き売りされてます。オペラファンだけがターゲットではないにしろ、やっぱり縁のない世界にはあまり興味を持たないのかも。
Stagehand Gerard Carey
Emmanuel Weinstock Jeremy Cohen
Sharon Graham Naomi O'Connell
Sophie De Palma Dianne Pilkington
Anthony Candolino Garret Sorenson
Author Terrence McNally
Director Stephen Wadsworth
Designer Thomas Lynch
テレンス・マクナリーの1995年の作品は、米トニー賞も取ったということでなかなか良く出来たお芝居で、オペラを歌うのをやめた後のマリア・カラスがNYジュリアード音楽院で若い歌手を指導するという内容ですが、彼女が晩年は力を注いでいたマスタークラスを再現しようという意図ではなく、カラスの人生を描くのが目的ですから、若い歌手へのテクニック伝授などは出てこず、指導するアリアに因んで時折カラスの過去にタイムスリップするのが見せ場
時事ニュースは一切出てこずタイムレスなテーマなので時代遅れになることもないし、船舶王オナシスとのスケールの大きい悲恋もある波乱に満ちたドラマチックな世紀の歌姫の人生はお芝居の題材としては最高でしょう。
特にオペラ作品や当時の歌手たちのことを知っていると楽しみが倍増するわけで、幸い私は結構知ってるので、例えば彼女が吐き捨てるように「スコットが・・!」と言うだけで、ハハーンとほくそ笑んでしまうし(レナータ・スコットは最大のライバル)、、他のソプラノは全てこきおろす傲慢なカラスは痛快
ほぼ一人芝居なのでカラス役の女優に全てが掛かっているわけで、下手な女優が演じたら観ちゃいられないでしょうけど、タイン・デイリーの演技は凄くて、ドスの利いた声と余裕ある間の取り方がさすがの大ベテランの貫禄を4列目から充分楽しみました
彼女は、80年代の米人気TV番組「キャグニー&レイシー」の女性刑事コンビの一人ですが、
女優さんっていいわよね。音楽家よりはずっと長持ちして、年食っても人を感動させることができるんですもの。
マスタークラスの生徒は3人登場し、そのうちマクベス夫人を歌ったナオミ・オコネルは凄い美人で歌も上手なので、ちゃんとしたオペラ舞台で聴きたいし、トスカ(だったかしら?)を歌ったデブのテノール君ガレット・ソレンソンもなかなかグー。できれば二人にもうちょっと歌って欲しかった。これだけじゃ、ただの刺身のツマ。でも、仕方ないか。
4月28日までやってますので、ご興味あれば是非どうぞ。一番良い席でも当日25ポンドで買えるみたいですよ。