<21st April Sat>
お散歩がてら、珍しくトーチャンのお供でスーパーマーケットに。年に1、2度しか行かないので、その度に売り場の様子が変ってるんですが、シャンペンだけは忘れないように2本買ってね。
サウスバンクから届いた来シーズンのリストを見ていたら、「おや、ヨナス・カウフマンが又来てくれるわ。嬉しい。来年の4月21日(来年の今日だ)なんですが、でも、あらまあなんと、バービカンのフローレスと同じ日だじゃないの!挑戦してる? 興味深い対決だけど、フローレスはディドナートという強い味方が共演だし、うーん、両方買えたらどっちにしよう? フローレスの切符はとっくに買ってあるけど、カウフマンも一応押さえておこうかな。
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4月19日、バービカンのコンサート・オペラに行ってきました。
ウェーバーの魔弾の射手Der Freischütz、オケや合唱では有名な曲が目白押しなんですが、オペラとして上演されることは少ないと思うんですが、なんと、最近映画にもなってたんですね。日本では先月公開されたばかりだそうです(→こちら 。ストーリーも詳しく書いてあります)。ロンドンでも上映されたのかもしれないけど、英語題名のHunter's Brideでは気付きません。
→こちら に歌手のインタビューとか出てきますが(主にドイツ語だけど)、あら、映画で演奏してるのはこのコンサートと同じLSOなのね(指揮はダニエル・ハーディング)。ロンドンのアビー・ロード・スタジオで録音して、撮影はスイスのようですが、ちゃんとオペラ歌手が出演してます。タイトルロールのテノール君は知らない人だけど、恋人役のジュリアンヌ・バンセ、ライバルがミヒャエル・フォッレ、脇役にルネ・パーペまで出ててなかなか豪華じゃないですか。観てみたいですが、でも、時代も読み替えてるし、私のイメージとはちょっと違うので、コンサートの前に知らなくてよかったかも。
1821年初演のウェーバーのこのオペラ、森の射撃大会で優勝しないと恋人と結婚できないので、魔法の弾丸の力を借りてしまおうとするせこい狩人のお話ですが、ライバルは悪魔に魂を売ったという興味深い人物だし、最後の弾丸は射手ではなく悪魔が選ぶ人に当たるというところがミソで、最後のどんでん返しになるわけです。
ドイツのロマン主義オペラの確立に決定的な役割を果たした名作だそうで、これがワーグナーに至るわけですが、有名な序曲をはじめコーラスにも「あ、これ知ってるわん」、という曲がいっぱい出てきて、オペラとして聴くのははじめてでも親しみを感じること請け合い。私もはじめてですが、ロマンチックで甘美な音楽に魅せられました。
でも、コンサート形式でやるにはちょっと無理があり、アクションはオケ音楽の時に起こるらしく、歌と歌詞だけではさっぱり話の展開についていけません。なので、このコンサートはなんと英語のナレーター付きでした。話す度にムードが途切れてしまうので違和感ありですが、物語の理解にはありがたい対応。(後記:すみません、知らなかったのですが、本来のドイツ語版でもナレーション付きなんだそうです)
で、映画であれば当然役柄に合った歌手が演じるわけですが、生コンサートでは勿論そうはいきません。それは充分承知ですが、でも、なにもここまでビジュアル面で外さなくてもいいのに と思う面子でしたよ、このコンサート。
セットも衣装もなく、ただでさえ逞しい想像力が必要なコンサート形式ですが、美男美女であろうという想定の主役カップルが見てるだけで暑苦しくなるような百貫デブの二人なので、歌手の姿は一切見ないで字幕に集中するしかないでしょう
Weber Der Freischütz
Sir Colin Davis conductor
Simon O’Neill Max
Christine Brewer Agathe
Lars Woldt Kaspar (Falk Struckmannの代役)
Sally Matthews Ännchen
Stephan Loges Ottokar/Zamiel
Martin Snell Kuno
Gidon Saks A Hermit
Marcus Farnsworth Kilian
Lucy Hall Four Bridesmaids
Malcolm Sinclair narrator
London Symphony Chorus
London Symphony Orchestra
ビジュアル面を完璧に度外視したわけだから、肝心の歌は素晴らしくないと困るわけですが、これがなんかいまいちぱっとしないパフォーマンスで・・・。
サイモン・オニール、オテロでは凄く良かったのに、年末年始のマイスタージンガーでは声が硬くて全く魅力なしでしたが、今回はその中間ってとこかしら?声量はあるけど、好きな声じゃないのはこれでよくわかったし、しばらく期待してたけど、もう見捨てることにしました。そんなに難しい役じゃないんだから、もっと上手に歌えるテノールはいくらでもいるだろ?
恋人アガーテはイギリスが(歌だけ)誇るソプラノのクリスティン・ブルーワーで、最前列の私のすぐ前にどーんと巨体がたちはだかりました。譜面台が邪魔で顔(肉の塊)が見えないのは幸いでしたが、声がさえぎられたせいもあるかもしれないけど、いつもは潤いのある声なのに、今日は調子が悪いのか、不快というほどではないにしてもちょっとキンキン声。
おデブちゃんの隣に立つ友人役は、これもイギリスが(ルックスも)誇る金髪美人ソプラノのサリー・マシューズ。上手だし絶好調だったのですが、彼女のくぐもった声は好きではないので。
ライバルのカスパー役はフォルク・ストラックマン、の筈だったのにドタキャンでがっくり。お前はこないだのROHのさまよえるオランダ人も蹴ったよなあ ロンドンがそんなに嫌か? でも幸い代役のLars Woldtは、貫禄はないけど歌は上手で文句なし。
指揮者は今年85歳になるサー・コリン・デーヴィスなんですが、急にえらく老けこんだ感じで、指揮台の上り下りはヨタヨタだし、指揮も腕をちょっと動かすだけ。時折立ち上がるけど、左腕を支え棒のついた特製の指揮台に頼らないと駄目みたい。この年になってもまだ現役って凄いけど、ちょっとそろそろアブナイかも・・・。
いかにも手作りのコリン爺専用指揮台。椅子のボロさも際立ってました (クリックで拡大)
というわけで、代役やら実力をj出し切れなかった歌手たちだったのはちょっと残念ですが、有名だけど珍しいオペラをやっと聴くことができて満足。今までは滅多にやらなかったオペラだけど、映画にもなったわけだから急に人気復活するかもしれませんね。構成に問題ありかもしれないけど、こういう一見古めかしいロマンを堂々と押し出すオペラが却って新鮮かもしれないし、是非そうなって欲しいものです。
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