<2nd Dec Fri>
寒いロンドン、初めてA Winter Fuel Paymentなる福祉援助を頂きました。年金受給者には自動的に支払われる暖房費で、一冬200ポンドと暖房費が賄える額ではないでしょうが、ありがたいことです 早くトーチャンにも年食ってもらってダブルで受け取りたいものです。
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先週土曜日、11月26日にロンドン南西郊外の金持ちエリアであるリッチモンドでオペラを観ました。
1899年オープンのRichmond Threareは840席、内部見学ツアーまでやってるくらいですから由緒ある劇場に違いなくて一度行ってみたいと思っていたのですが、いまどきオペラ上演なんて稀ですからね、新聞でEllen Kentプロダクションのドサ周りツアーを見つけたときは「これだっ!」、と(→こちら)。
来年4月まで半年掛けてアイルランドも含むUK全国を回り、アイーダ、ナブッコ、ラ・ボエームの3つを合計200回近く上演する大規模ツアー、セットや衣装もそれなりの質だといいなと期待しつつ、とりあえず今回は一つだけ、この中では一番好きなアイーダを迷わず選び、9月に切符を買っておきました。 最前列真ん中で18ポンド(手数料含むと23.5ポンドくらいになったのにはびっくりでしたが)。
ビクトリア朝の装飾の多い劇場は美しいのですが、オケピットがなく、オーケストラが客席と同じレベル少々邪魔なので安かったのでしょう。 目の前の演奏を見られるのは面白かったですが(写真は席に座ったまま撮った)、指揮者の真後ろじゃなくてかろうじて斜めだったのはラッキー。
オケの演奏レベルは一流オペラハウスとは比べ物にはならないし人数も少ないですが、こういうイベントはオペラの設定に忠実にというのが良いですね。大きな劇場の演出家のエゴ丸出しのヘンテコリンなのばかり見せられてる目には新鮮。 そして、折角オペラ初心者向けにこういうわかりやすい形でやってくれてるのに、ここでオペラ初めて観た人がロイヤルオペラハウスやENOに行ってみたら混乱するプロダクションにぶち当たる確率は高くて、折角開いたオペラへの扉が閉じられてしまうのではないかしらとあらためて最近の一流歌劇場の傾向に腹が立ったりもします。 私はROHのエジプト色を排除したエログロいアイーダは嫌いだ(→こちら)←アイーダのストーリーもここでご覧下さい。
後ろの建物は特にエジプト風でもないですが、色んな物を置き換えたり、後ろを星空のナイル川にしたり、努力と工夫で小物で雰囲気を出して好感の持てるプロダクションでした。
もちろん聴いたことある歌手は出てきませんが、全体としては合格レベルだったキャストはこちら。
Aida(エチオピア王女) Olga Perrier
Radames (エジプト将軍) Giorgi Meladze
Amneris (エジプト王女)Liza Kadelnik
Amonasro (エチオピア王) Luri Gisca
Ramfis (エジプト高僧) Vadym Chernihovskiy
アイーダのオルガ・ペリエはフランス人で、特に美声ではないけれど、歌のフレージングや身のこなしが魅力的で、アイーダを絵に描いたような美人
人出不足のテノールで歌も容姿も理想的な人は期待できませんが、スペイン人のジョルジュ・メランゼは少々小柄だけど顔は悪くないし、立派な声量で充分合格。
残念だったのがアムネリス王女。 リザ・カデルニック嬢、美声なのに声量不足で演技も硬くて・・。 プログラムによるとアイーダとラダメスはダブルキャストなのにアムネリスは彼女一人だけで、本当に一人で毎日歌ってるとしたら、声をセーブしなきゃとてもやってられないし、そのせいかも。アムネリスは脇役ではないのに気の毒だけど、もうちょっと上手な人がいなかったものか・・。
バリトンやバスは人材豊富なので、高僧とアイーダ・パパはどこに出しても良いくらい上手だったけど、エジプト王は素人かと思うくらい下手。
というわけで、歌手のレベルはまちまちでしたが、ヴェルディの中でも私が好きなアイーダの素晴らしさは十分伝わったので、オペラ鑑賞の機会の少ない地方の人に是非観て頂きたいです。