<21st Dec Wed>
大変! 女王陛下ご夫妻が二人とも風邪ひいてクリスマス休暇を過ごすノーフォーク行きを延期なさったそうな。なんせ95歳と90歳ですからね、心配です。今年はもうこれ以上ショッキングなニュースは聞きたくないですから、早くお治りになられますよう・・。
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昨夜、薔薇の騎士を観に行きました
あらッ!、2種類の写真があるのはなぜ?
はい、それはですね、トーチャンと二人でupperslipに座ったんですが、カーテンコールでトーチャンにはそのままそこから見下ろす写真を撮ってもらい、私はカーテンが降りるやいなや通路脇の席を立ってダダーッ、と長い階段を駆け下りてストールサークル正面席に闖入したんです。 最初からそのつもりでカメラ2台持参し(トーチャンも私の安カメラ)、即ダッシュできるように最後の幕はコート着たまま観るという「我ながらようやるわ」、という張り切りよう。 ルネ・フレミング最後のロンドンでのオペラ出演ですしね。
どんな話かは過去記事でご覧下さいですが(→こちら)、要するに、薇の騎士というのは、婚約の印として銀の薔薇を届ける使者である薔薇の騎士と依頼主の貴族の男性の婚約者である平民の娘が一目で恋に落ち、すったもんだの末に結ばれるという、喜劇オペラでもないのに珍しいハッピーエンド。ドタバタ喜劇要素もあるのですが、滅びゆく貴族社会と台頭する平民階級、老化と若さを対照するなかなか奥の深いリヒャルト・シュトラウスの中では最も甘美でポピュラーなわかりやすいオペラ。
でも、今回立見を避けたのは、さすがに正味3時間立って観るのもしんどそうだと思っただけでなく、そんなに好きなオペラではないからです。ちょっとだけ素晴らしい部分もあるけど冗長なんですもの。
ジョン・シュレジンジャーの1980年代の豪華絢爛でオーソドックスな素晴らしいプロダクション(→こちら)をゴミ箱に捨て、今回はロバート・カーセンの新プロダクションですが、オペラが書かれた1910年あたりに読み替え、細かい所までよく出来たとても美しい舞台です。最後が売春婦宿なのも私は面白かったです。初日には行きませんでしたが、きっとプロダクション・チームに対してブラボーが飛んだことでしょう。
レビューは以下の通り、上々(クリックでレビュー記事に飛びますので、舞台写真をご覧下さい)。
Arts Desk ★★★★
Bachtrack ★★★★
Evening Standard ★★★★
Guardian ★★★★
Telegraph ★★★★
The Times ★★★★
The Stage ★★★
Der Rosenkavalier
Music Richard Strauss
Libretto Hugo von Hofmannsthal
Director Robert Carsen
Set designer Paul Steinberg
Costume designer Brigitte Reiffenstuel
Lighting designers Robert Carsen and Peter van Praet
Choreographer Philippe Giraudeau
Conductor Andris Nelsons
Marschallin Renée Fleming
Octavian Alice Coote
Sophie von Faninal Sophie Bevan
Baron Ochs Matthew Rose
Faninal Jochen Schmeckenbecher
Valzacchi Wolfgang Ablinger-Sperrhacke
Annina Angela Simkin
Italian Singer Giorgio Berrugi
- このマルシャリン(元帥夫人)をオペラ出演の最後の役に選んだルネ・フレミング、来年春のNYメトでの引退公演が話題になることでしょうが、華のあるエレガントな振舞いと声もちゃんと出て立派なパフォーマンスがロンドンのお別れになりました。 何度も聴いて飽きたし彼女のべっとりした甘い声は特に好きではないのですが、今回は甘さ控え目で芯のある声でとても素敵でした。
- 最後にフレミングに華を持たせるためにもビジュアル的にも完璧なマルシャリンにはうっとりするような若いツバメのオクタヴィアンに共演して欲しかったですが、これが・・・・。
- 私にとってはオクタヴィアンは歌よりも容姿が大切なのに今回のアリス・クートはあまりにも外れ過ぎなので、上から見たら背丈の逆ギャップもわからないだろうし、クートの顔も見なくても済むというのもupperslipにした理由の一つなんです、実は。 それに、いつも上手なクートなのに、今回は不安定な歌唱だったので二重に失望・・。 高いお金を出して(最高270ポンド)、近くから見た人が気の毒・・。(因みに私の切符は20ポンド)。
- 英人ソプラノのソフィー・ビーヴァンは嫌という程聴いてるので新鮮味ゼロだし、すでに声が太くなってきたけど、初めての人には充分チャーミングなソフィーでしょうし、小柄なのがクートと釣り合いが取れててOK。上から見下ろすと巨大な胸が更に強調されてついそこに視線が行ってしまいましたが。
- 貴族なのに下品で卑劣なオックス伯爵をこれまたロンドンでは出過ぎでうんざりのマシュー・ローズ。 無難にこなしてましたが、もっと派手に嫌な男を演じて欲しかったです。ENOのジョン・トムリンソンくらいにね。
- 出番は少なくても私は楽しみにしてるイタリア人歌手役のテノールのジョルジオ・ベルージはなんだかなあ・・。これならROH若手アーチストで韓国人のキム君に歌わせてた方がずっと良いのに。
- ファニナルが上手だったのはめっけもの。先回はトーマス・アレンだったんですけどね。
- アンドリス・ネルソンスの指揮振りが上からだとよく見えたのは良かったですが、リヒャルト・シュトラウスは難しいだろうに上手にまとめてました。 でも、太ってドテ腹になっちゃって、美人ソプラノの奥様(オポライス)とお似合いの夫婦でなくなっちゃうよ。
- 来年もう一度、違うキャストで見ます(→こちら)。 フィガロの結婚でとても素敵な伯爵夫人だったレイチェル・ウィリス=ソレンセンのマルシャリンが楽しみ。 アナ・ステファニーはビジュアル的にはクートよりも勿論マッチベターだけど、オクタヴィアンの方が年上に見えそうだ。他のキャストが同じなのがつまらないけど。
- こないだのホフマン物語と言い、同じシュレジンジャーの素晴らしいプロダクションが二つも同時に消えるのは淋しいけど、このカーセン版は大成功で良かった
- 因みに、2009年のカーテンコールはこちらですが、2000年はルネ・フレミングでした。
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