3月11日、マイスタージンガーの新プロダクション初日に行ってきました。このしょぼい顔ぶれなら私はupperslipの20ポンドで十分だったんですが、ワーグナー好きのトーチャンが近くで観たいと言うのでストールサークル2列目の85ポンドを奮発。
ワーグナーには珍しい明るく楽しい作品で、要するに中世のシンガーソングライターのコンテスト。今回の一等賞のご褒美は美人のお嫁さんで、通り掛った騎士が彼女に惚れて、ややこしいルールは知らないし歌うのもはじめてだけど、特訓と素質で、ズルしようとしたライヴァルを蹴落として、見事優勝するというお話。
Die Meistersinger von Nürnberg
- Music Richard Wagner
- Libretto Richard Wagner
- Director Kasper Holten
- Set designer Mia Stensgaard
- Costume designer Anja Vang Kragh
- Lighting designer Jesper Kongshaug
- Choreography and movement Signe Fabricius
- Fight director Kate Waters
- Conductor Antonio Pappano
- Hans Sachs Bryn Terfel
- Sixtus Beckmesser Johannes Martin Kränzle
- Walther von Stolzing Gwyn Hughes Jones
- Eva Rachel Willis-Sørensen
- Veit Pogner Stephen Milling
- David Allan Clayton
- Magdalene Hanna Hipp
- Fritz Kothner Sebastian Holecek
- Kunz Vogelgesang Andrew Tortise
- Balthasar Zorn Alasdair Elliott
- Konrad Nachtiga Gyula Nagy
- Ulrich Eisslinger Samuel Sakker
- Augustin Moser David Junghoon Kim
- Hermann Ortel John Cunningham
- Hans Schwarz Jeremy White
- Hans Foltz Brian Bannatyne-Scott
- Nightwatchman David Shipley
私は先回のグレアム・ヴィック演出の古めかしいけど可愛くメルヘンチックで設定に忠実で分かり易くいプロダクションが大好きだったので(2011年12月→こちら)、又カスパー・ホルテンが数少ないROHの良いプロダクションをオシャカにして(オネーギン、ドン・ジョバンニ等)自分のエゴ丸出しのに替えてしまうんだろうという先入観と、ハンブルグとベルリンに追っ掛けてうっとりしたフォークト様のイメージが壊れてしまうわという失望感とで観る前からネガティブだったので冷静に判断できないのですが、プロダクションチームに対しては一部でブーイングはあったものの、ROHでは珍しく大勢がスタンディングオベーションというカーテンコールの反応からもプロダクションとしては悪くないのでしょう。いつまでも時代錯誤ののプロダクションをキープしておくわけにはいかないでしょうしね。現代のジェントルマンズ・クラブ(フリーメーソンっぽい)と言うロンドンらしい設定で、ホルテンにしては説明過多ではなかったけど、ストーリーの進行と合わないセットでわかりにくいのと背広姿はうんざりなので好きではないですが、最後の場面だけはユニークな衣装がカラフルでビジュアル的に盛り上がったのは確か。
これで歌手が素晴らしかったら印象がもっと良かったんでしょうが、この頃は歌手のラインナップでは二流に成り下ったROHならこんなものだろうとは諦めるものの、今まで観た他所のと比べちゃうとねえ・・・(2013年4月ハンブルグ→こちらと、2015年10月ベルリン→こちら)。
イギリスでは話題になってるのはサー・ブリン・ターフェルだけでしょうが、彼はなかなか良くてこの役に合ってます。
テノール好きの私としては騎士ワルターが大切なわけで、グィン・ヒューズ・ジョーンズってENOとかに出てて名前は知ってましたが生で聞くのは初めてだったけど、決して悪くはなくて先回のサイモン・オニールよりは良かったかな。でも、比べちゃいけないのはわかってるけど、フォークト様と比べたら、ルックスはもちろん全ての面で雲泥の差。せめてもうちょっとエレガントに振舞ってくれればいいのに(出来ればカツラ被って)、まるで与太者。歌は悪くなかったけど、声自体に魅力ないので、又是非聴きたいかと言われてたら「別に・・」。
エヴァは歌う場面が少ないのですが、大した歌手で聴いたことがないし、太目の彼女には似合わない衣装ばかりで可哀相だったけど、レイチェル・ウィリス・ソレンセンは私には充分素敵でした。
がっかりだったのはベックメッサー役のJohannes Martin Kränzle(ランニングシャツ姿)。こないだのコジ・ファン・トゥッテでアルフォンソだった時もどうってことのない印象だったので期待はしてなかったけど、輪郭のはっきりしない声で声量もないし、道化役ベックメッサーはもっと大袈裟に演じないと面白くないです。ハンブルグはボー・スコウフス、ベルリンはマルクス・ウェルバだったのに比べると格下過ぎ。
太った人が多かった今回の歌手の中でもダヴィット役のアラン・クレイトンのでかケツったら・・。 まあ二枚目役ではないからこれはこれで良かったけど、リリカルな声はロマンチック役にぴったりなのに勿体ないったら・・。でも歌は凄く良かったので、彼の場面が一番楽しめました
もう一回分切符を持っているのですが、行かないことにしました。アラン・クレイトンはもう一回聴きたいけど、それだけのために又全部観るのは時間の無駄。
レビューが少し出ましたが、今のところ3ツ星ばかりで、プロダクションを褒めてる人はいないようです。まあ、そうでしょう。