<27th Mar Mon>
3月6日にマルタで観たオペラについての備忘録。覚えておきたい上手な歌手もいたので。
どんなお話かは過去記事でご覧下さいですが(→こちら)、要するに、ロッシーニの「セヴィリアの理髪師」の数年後のフィガロ(かつては床屋さん、今は伯爵の家来)の結婚にまつわるドタバタ。喜劇演技を上手にやってくれないと楽しめないオペラです。
オペラファンでもマルタ島にオペラハウスがあるなんて知らないでしょうが、三百年近く前に建った美しいマヌエル劇場(→こちら)は立派にメンテされてるものの、今ではオペラ上演は滅多にありません。
ってことは、高い水準は期待できないわけで、実際、予想通り、「まあねえ、一流歌劇場には出られないでしょうねえ」、という歌手が大半でした。
経費節約プロダクションは現代に読替えてあり、伯爵の屋敷ではなく観光客がうろうろするホテルが舞台。滅多にやらないんだから、ひねくらずにそのままの設定でやってあげればいいのに・・。 古典な舞台であればこの古式ゆかしい劇場の雰囲気にもぴったりなわけだし。
Figaro/ Pauls Putnins
Count Almaviva/ Christian Bowers
Countess/ Ruth Sammut Casingena
Susanna/ Claire Debono
Cherubino/ Clare Ghigo
Marcellina/ Kinga Dobay
Barbarina/ Francesca Aquilina
Bartolo/ Emilio Marcucci
Malta Philharmonic Orhestra
Conductor/ Phllip Walsh
Director/ Jack Furness
Set Design/ Pierrre Portelli
この手の地方歌劇場では一人でも上手な歌手がいればラッキーなわけですが、幸い、女中のスザンナが素晴らしくて、アリアは少なくても物語の展開の中心だし、彼女が歌うと一気にレベルが上がりました。 クレア・デボノはマルタ出身のソプラノで、大した経歴はありませんが、大きな歌劇場でも通用する声の持ち主。 容貌はコメディ向きではないけれど、張りのある美声はどの音域もむらなく立派に出て、聞惚れました
もう一人、上手な人がいたのはボーナスで、金貸しの中年女マルチェリーナのメゾソプラノ、トランシルバニア出身のキンガ・ドベイは私が聴いた中で歌唱&演技共ベストなマルチェリーナの一人(上の写真で花嫁衣裳ではない方)
他の人たちは、歌はぱっとしないけど下手ではないし、上演回数が少ないのに(たしか4回だけ)、演技はしっかり稽古したようで、良い感じの好感の持てるチームでした
ケルビーノは個性的な少年で演技面では印象的だったし、バルバリーナは歌が上手。隣のジャケット姿のドン・バジリオ役のテノールは救いようのないくらい下手だったけど・・。
というわけで、水準まちまちな歌手が入り混じって、地方らしいオペラ公演となりましたが、マルタ島でオペラが観られて良い思い出になりました。