<16th July Sun>
ウィンブルドンテニス、男子シングルスに不調のアンディが決勝に出てないのはがっかりだけど、彼のお兄さんジェイミーがミックスダブルス決勝進出。彼とヒンギスのチームが負けても、もう一組にもイギリス人女性ワトソンが出てるので、今日イギリス人が優勝するのは確実。 緊張感は必要ないので、のんびりブログ用写真でも選びながらTVをながら観する午後。
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6月24日のリハーサル、26日の初日、29日、7月7日の最終日と4回行ったモーツァルトのミトリダーテ。 とても楽しみにしてましたからね、行かなかったのは一回のみ。予想通り舞台横の席が直前に放出されたので毎回近くから観ることができたのは良いのですが、やっぱりROHはこの頃呪われてるのか、肝心な人が途中から出なくなっちゃって、しかも代役が「えっ、こんな人?」、と失望。 本当に、代役探しはこれではいかんでしょう。
写真は4回分が混じってますが、小さいのはクリックで拡大します。
Mitridate, re di Ponto
Music Wolfgang Amadeus Mozart
Libretto Vittorio Amedeo Cigna-Santi
Director Graham Vick
Designer Paul Brown
Lighting designer Nick Chelton
Choreography and movement Ron Howell
- Conductor Christophe Rousset
- Mitridate Michael Spyres
- Aspasia Albina Shagimuratova /Vlada Borovko
- Sifare Salome Jicia (Anett Fritschの代役)
- Farnace Bejun Mehta
- Ismene Lucy Crowe
- Marzio Rupert Charlesworth (AndrewTortiseの代役)
- Arbate Jennifer Davis
素晴らしいレビューも出たのですが(ユニークなプロダクションですから気に入らなかった人もいますが)、これはあくまで初日の評価。 クリックでレビュー記事に飛び、写真もたくさん出てます。
Evening Standard ★★★★★
Independent ★★★★★
The Stage ★★★★
Times (£) ★★★★
What's On Stage ★★★★
Arts Desk ★★
ストーリー等は以前の記事でどうぞ(→こちら)ですが、要するに古代ローマ帝国に楯突いた歴史的人物ポンド王国ミトリダーテ王の家庭内イザコザの話で、息子二人と3人で婚約者を取り合うのがテーマ。 モーツァルトが14歳の時に作曲した最初のオペラ・セリアで、すでに後に花開くモーツァルトらしさが充分感じられるフレッシュな作品で、今回4回も聴いて更に好きになりました。私があまり惹かれない低音歌手が全く出てこないのもお気に入りの一因で、息子二人は今回はカウンターテナーとソプラノだし、他の男性役も女性やテノールで私にとっては無駄がありません
グレアム・ヴィックの1991年のプロダクションが素晴らしいのですが、ROHで最後にやったのが12年も前なので(→こちら)とっくに捨て去られたと思っていたのにまだ残ってたのが嬉しくて溜まりません。 シンプルでカラフルでクラシックな舞台セット、デフォルメされたサムライ風だったり18世紀フランス風だったりの衣装が最高だし、東南アジアの伝統芸術が取り入れられるのも面白くて、特に歌舞伎や能がアレンジされてるのが嬉しいじゃないですか。
上手な歌手を5人揃えなくてはならない上に難しい歌唱満載なのが上演が少ない理由だと思うのですが、もっとやって欲しいオペラで、出来ればこのプロダクションをあちこちに貸し出しましょうよ。
これで当初予定だった歌手が全てでてくれたらさぞ素晴らしかったに違いないのですが、まず男3人から惚れられる主役のアスパシア姫のアルビナ・シャギムラトーヴァが2回目の公演の1時間前に急に具合が悪くなり、そのまま3回キャンセルしたのが残念で溜まりません。幸いリハーサルと初日に聴けたシャギムラトーヴァのクリアで艶のある美声とコロラチューラは絶好調ではなさそうだったにも拘わらずうっとりで、彼女はROHドン・ジョバンニもプロムスのセミラーミデも素晴らしくて大好きなソプラノなんです
代役がROHの研修生の歴代ソプラノの中でも私が一番買ってないロシア人のヴラーダ嬢だったのが最悪で、この難しい役をとりあえず歌ってくれただけでも評価してあげないといけないとは思うものの、彼女が歌う部分長いのが余計に長く感じて退屈で・・。 最初の日は急だったので衣装直しが間に合わず、黒いドレスのみ。この横幅ドレスが凄いのにね。
実は先回のアスパシアが現アラーニャ夫人のアレクサンドラ・クルチャクのROHデビューだったのですが、軽やかな歌唱が実に素晴らしくていまだに忘れられません。ちょうどこの時、愛の妙薬とトゥーランドットで彼女がロンドンにいたのだから、音符見ながらでいいから歌ってくれたら最高だったのに、と無理とはわかっていてもつい夢見てしまいました
タイトルロールは大好きなテノール、マイケル・スパイヤーズ(黄色い衣装)。低音から高音にいきなり上がる誰がやっても難しい部分が何度もあって、高音が苦手なスパイヤーズには合わないような気もするけど、「今度は上手く上がるかな、やっぱり又こけるかな・・」というスリル感がテノールの醍醐味ですから、それを嫌と言うほど味わえて、たまにばっちり決まると更に快感。 何度も聴いてると上手でも飽きる人もいる中でスパイヤーズだけは最後まで聞惚れました
カウンターテナーの華やかなアリアが一番有名なのですが、ベジュン・メータ(緑の衣装)は裏声とは思えない力強さで声量的にも決して劣らず、悪役演技も上手でユニークな魅力を充分アピール
代役だった弟王子役のサロメ・ジチア(青い衣装)はきっちり歌ってるけど声に魅力がないのが致命的。
絶賛されたのがイスメーネ役のルーシー・クロウで、すっかりかすれ声になってしまってもう終わりだと思っていたのですが、たしかにこれは彼女に合ってて素敵でした。インド風衣装も動作も可愛かったし、彼女が出てくるとにこやかな雰囲気になり、そんなに長くないので更に高感度アップ。
ちょい役のローマ軍将校のルパート・チャールズワース(紫の衣装)は急な代役だったようで、最初はちゃんと歌覚えてるのかどうかもあやしくてハラハラ。回を重ねてちょっとましになったけど、アンドリュー・トーティスだったら絶対に凄く良かったのに・・。でもル-パート君はハンサムだし、ENOのPartenopeで素晴らしくてツバ付けてあったテノールなので、思い掛けないROHデビューを目撃できたのは嬉しい驚きでした
というわけで、実はカウフマンのオテロよりも楽しみにしてたミトリダーテ、完璧ではなかったけど楽しめて、「これ絶対に良いから」、と薦めた皆さんにも喜んで頂けました。それに、前回記事を読み返してみたら、今回の方が良い歌手陣で(アスパシア以外は)、これがROHにしてはせいぜいでしょう。