<23rd May Wed>
1999年8月にイギリスでも金環日食があったんですよ。イギリス南西部のコーンウォールがベストで、ロンドンでは80%の欠け方だったんですが、天文学オタクのトーチャンは30年以上もその日を楽しみにしてたんだそうです。幸い良いお天気だったので、日が暮れるのとは全く違う暗さの不思議な現象を親子3人で自宅の庭で経験したのを覚えています。
しかし、今日は暑くて、地下鉄メトロポリタン線の新車両は冷房付きなんですが、そのありがたさをはじめて実感。明日はもっと暑くなるらしいのは構わないけど、金曜は着物を着なくちゃならないから涼しくなりますように・・・
-------------------------------------------
昨日の5月22日、ロイヤル・フェスティバル・ホールのピアノ・リサイタルに行きました。
40歳のロシア人ピアニストのアルカーディ・ヴォロドスを聴くのは久し振りで、ブログをはじめてからは一度も聴いてないので、少なくとも7年は経ってるわけですが、ラフマニノフ3番のコンサートとリサイタルに行ったことがあり、ヴォロドスは超技巧派で迫力もあるけど細かい所はあまり気にしない荒っぽいワイルドなピアニストという印象だったのですが、私の記憶が間違っているのか、或いは彼が変ったのか、今回聴いて、丁寧で端正で優しい演奏ぶりに驚きました。
Arcadi Volodos piano
Franz Schubert: Piano Sonata in A minor, D.784
Johannes Brahms: 3 Intermezzi, Op.117
Interval
Franz Liszt: Sonata in B minor
前半のシューベルトとブラームスは、音色も美しいしとても上手なのは充分わかるものの、音楽通の集まる落ち着いた雰囲気のウィグモア・ホールならいいけど、なんせ曲が地味過ぎて、この大きなホールでは盛り上がれず
元々楽しみだったのは後半の有名なリストのソナタですから我慢できますが、ひとつくらい華やかなのをやって欲しかったような。対照的な後半の炸裂を引き立てるための静けさだとはわかっていても・・・。
で、その、今宵のメインイベントであるリストは、期待以上に素晴らしくて大いに感動
キーシン等で聴いたこともあり、普通はガンガン弾く部分がハイライトなんでしょうが、ヴォロドスの演奏では静かな部分の音色があまりにも優しくて美しいので(温かみのあるソフトさ)、この曲に対するイメージまで変ってしまいました。
そして、もちろん、相撲取り並の体重を生かして体当たりで叩きつける迫力は凄いので、とてもメリハリのある曲作りとなり、前半は居眠りしてた人もこのリストには全神経を集中したことでしょう
アンコールは4曲で、軽やかな3つは曲名がわからないのですが、3曲目に弾いたリストのお馴染みのハンガリア狂詩曲でまた更に盛り上がり、観客は総立ちでヤンヤの喝采
狂気じみたリストですら大袈裟なアクションもなく淡々とした演奏ぶりと、カーテンコールのスター気取りしない謙虚な態度も好感が持てました。
しかし、それが裏目に出てカリスマ性に欠けるせいか、空席がかなり目立ち、コーラス席の私にはそれがよく見えるだけに、勿体ない気持ちで一杯。このピアノ・シリーズはピアニストの人気度によって大きなロイヤル・フェスティバル・ホールとうんと小さい隣のクィーン・エリザベス・ホールでやるのですが、これではヴォロドス君、次回は後者に格下げ間違いないでしょう。でも、会場がどこであれ、次にロンドンでリサイタルやってくれる時は絶対行きますとも!
サウスバンクで素晴らしいコンサートを聴いた後は橋を渡って駅まで歩くテムズ河の夜景に一段と感激 特に9ポンドでこんな素晴らしいピアニストを、手さばきもばっちり見える席で聴けるなんて
人気ブログランキング ← 毎度あり!