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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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シモン・ボッカネグラ初日 by Verdi 男声陣にブラボー

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<25th Nov Sun>

暗くて寒いロンドンですが、クリスマスデコレーションが街に溢れて綺麗だし、昨日は女子会で美味しいランチを頂いた後にちょっと遠出して観たオペラも素晴らしくて良い一日でした。

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ヴェルディの渋い名作シモン・ボッカネグラ、5日の着席リハーサル見学(→こちら)に続き、11月15日の初日に行って来ました。

 

筋書きについての椿姫的解釈は→こちらをご覧下さいですが、要するに、

13世紀のジェノア総督シモン・ボッカネグラ(平民出身)は20年以上も行方不明になっていた娘アメリア(貴族の娘との隠し子)と再会して喜ぶのもつかの間、彼に恨みを持つ部下に毒殺され、死に際に娘の恋人に総督の座を譲る、という「あれ~、トトさんかえ~?」的人情話。

 

 

Music Giuseppe Verdi 

Libretto Francesco Maria Piave 

Libretto additions Arrigo Boito 

Director Elijah Moshinsky

Set designer Michael Yeargan

Costume designer Peter J. Hall

Conductor Henrik Nánási 

 

Simon Boccanegra Carlos Álvarez 

Jacopo Fiesco Ferruccio Furlanetto 

Amelia Grimaldi Hrachuhi Bassenz 

Gabriele Adorno Francesco Meli

Paolo Albiani Mark Rucker

Pietro Simon Shibambu

 

 

 レビューはこちらですが、古めかしい上に柱と床だけしかないそっけないセットのつまらないプロダクションなのも加味されたら、まあこんなものでしょう。クリックで記事に飛びます。
Bachtrack ★★★★
The Arts Desk  ★★★
Evening Standard ★★★
The Stage ★★★

 

 

 ブログ開始以来のROHでのパフォーマンスはこちら(ボッカネグラ、フィエスコ、ガブリエル、アメリア役の順)。

シモン・ボッカネグラ 2008年5月 Lガロ、Fフルラネット(代役)、Mハドック、Aハルテロス(ROHデビュー)

シモン・ボッカネグラ(リハーサル)  2010年6月 Pドミンゴ、Fフルラネット、Jカレヤ、Mポプラフスカヤ

シモン・ボッカネグラ  2010年7月 Pドミンゴ、Fフルラネット、Jカレヤ、Mポプラフスカヤ

シモン・ボッカネグラ (口パク) 2010年7月 Pドミンゴ、Jトムリンソン(声だけ)、Jカレヤ、Mポプラフスカヤ

シモン・ボッカネグラ  2013年6、7月 Tハンプソン、Fフルラネット、Rトーマス、Hゲルズマワ

 

以前の歌手と比べながらの今回のパフォーマンスの感想はと言うと、

  

ボッカネグラはスペイン人バリトンのカルロス・アルバレス。 ここで聴いたことはあるけどなんだったか覚えてなかったので、着席リハーサルのドリンクで本人に聞いたら「ROHは14年前にリゴレットに出て以来」ですって。それなら2002年に2度観たという記録があり(共演はヴァルガスとチョーフィ)、でも全く良いとは思わなかったので、2004年に又彼だと知ってパスしたんでしょう。

でも、バリトンは年齢と共に成熟するわけで、今回のアルバレスは張りのある強靭な声とニュアンスで素晴らしく、今までのボッカネグラ(ガロ、ドミンゴ、ハンプソン)の中でもベスト。しつこく言うけど、来年の新国立劇場でのジャンニ・スキッキもきっと当たり役だから、観に行きましょうね(→こちら)。

 

     

似てるけどカルロス・アルバレス、右がフルラネット(クリックで拡大すると違いがわかります)。

 

フィエスコはまたフルッチオ・フルラネットで、全くもって彼の独占状態。そろそろ他のバスバリトンで聴きたいという気もありますが、やっぱり彼の深い声とエレガントで威厳のある立ち居振る舞いでなにをやっても全体のレベルを上げてくれるわけですから、また出てくれて感謝。 アルバレスが素晴らし過ぎて今回は低音歌手ナンバーワンの地位は奪われましたが、二人の重厚なやり取りで深みのあるパフォーマンスになりました。

役の扮装すると男前がぐっと上がり、私服の半ハゲおじさんから中世のイタリアの貴族に変身。

 

アメリア役はアルメニア人ソプラノのHrachuhi Bassenz。 ちょっと前のガラ公演も最近のドン・ジョバンニも足を引っ張ってレベルを引き下げた張本人、「病気になってキャンセルしますように・・」と祈ってましたが無駄でした。まあ心配した程悪くはなかったけど、やはり一人だけ格下なのは明らか。なぜROHは彼女を優遇するのか全く理解できず。 もっと上手なアメリアだったらもう一度行くけど、今回は一回だけでいいかな。 歴代のこの役は、これがROHデビューだったハルテロスとゲルウマワは良かったけど、箱ふぐポポコで我慢したこともあったっけ・・。

 

テノール好きの私のお目当てはガブリエル役のフランチェスコ・メリ。こないだレクイエムをキャンセルされて悲しかったけど、今回はちゃんと出てくれて、立派な低音歌手二人と互角に勝負。こまやかな演技はできないけど、これまでのガブリエルの中では一番私の好みだし、最近ちょっとほっそりしたせいか、デブのカレヤが着てるより衣装も格好良くみえました。

 

   

 

指揮者は小柄で若いヘンリック・ナサシ。ROHでのハンガリー人指揮者としてはゲオルグ・ショルティ以来だそうです。着席リハーサルでは皆に色々注文付けて張り切ってました。

 

男声3人のお陰で全体のレベルはROHとしては悪くなかったのに、悪役パウロマーク・ラッカーが全く冴えなくて締りがなかったのが残念でした。初日なので演出家のモシンスキーもちょっとだけ登場してくれました。

 


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