<10th Mar Sun>
私だってたまには風邪ひくわけで、ここ数日ひどい咳で(周りが)苦しんでます。熱はないし元気なので普通に生活してますが、コンサートやおぺラで咳き込まないように我慢しなくちゃいけないのが辛いです。こういう時に限って毎日あるのよね。
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3月8日、トーチャンとEnglish Touring Operaに行ってきました(→こちら)。こちらに舞台写真がたくさんあります(→こちら)。
20数箇所で3つのオペラでイギリス中をツアーするドサ周りオペラ公演の幕開けはいつもロンドンで、豪華でお星様がチカチカする天井が大好きだけど、カーペットはボロボロだしなんだかオシッコの臭いもするようなミスマッチがかつてのミュージック・ホール(庶民の娯楽場)ハックニー・エンパイアらしいところです。
シティからは電車で10分以下だし、帰宅もオーバーグランドを使えばそう不便でもないし、なにより安い値段(シニア割引で27.5ポンド)でかぶりつきに座れるのがお得。
どんなお話かということは過去の記事(→こちら)をご覧下さいですが、コピペすると、
オペラではお馴染のギリシャの神様に翻弄される人たちの話です。
クレタの王様であるイドメネオは、嵐を静めてくれた海神ネプチューンに感謝するために、最初に陸で会う人を生贄にすると約束。その運の悪い人が赤の他人だったら問題なかったのですが(その赤の他人にとっては大迷惑ですが)、なんと後継ぎ王子である息子が来てしまい、さあ困った。
神託に背いてこっそり逃がそうとするのだけれど、神様の目は誤魔化せる筈もなく、怒ったネプチューンが怪物を差し向けたもんだから大騒ぎ。それはなんとか息子が征伐したものの、自分が生贄だと知った息子は、「父上、私は喜んで死にます」ときっぱり。
イドメネオ自身が、「いや、それはできない。わしを代わりにしてもらおう」と懇願すると、もう一人死にたい人が現われて、それは敵国トロイの王女で囚われの身の息子の恋人イリア。
3人も生贄に立候補したことに心を動かされたネプチューン神は、「まあかん(名古屋弁で「もう駄目」)!神託変更だがね。神を裏切ったでイドメネオは罰として退位せなかんけど、息子は跡継ぎ王になってちょう。ほんでからに、イリア王女と結婚したりゃあ」、だって。
人の命や運命をおもちゃのように弄ぶ困ったギリシャの神様には、アホらしくて付いていけません。
これがヘンデルだとあっさり進むのですが、モーツァルトのこのオペラはじっくり深刻に長々と続き、楽も、大ヒット・アリアはないけれど奥深くて美しく、特にモーツァルトとしては珍しい色んなパターンの重唱が特徴の一つです。男性が高音歌手ばかりなのも私にはツボでで、テノールとカウンターテナー(今回はメゾ・ソプラノのズボン役だったけど)が主役親子でたっぷり歌ってくれます。2014年秋にROHでやった時はポレンザーニとファジョーリだったので、5回も行っちゃいました(→こちら)。
巡業用の簡単な舞台セットで田舎でオペラを観る機会の少ない人たちのために原作の雰囲気を損ねないように一生懸命工夫してるところも好感が持てるし、毎回いつも「おっ!、上手いじゃないの」という歌手が一人か二人はいるのも魅力ですが、今回は感心する歌手が4人もいて大豊作
一人だけ音程外れっ放しで桁外れに下手な黒人テノールがいたけど(歌うのはちょっとだけ)、他の4人は驚くほどの歌唱力で、「こんな人たちがなぜこんな場末で歌って、ルーシー・クロウとかソフィー・ビーヴァンみたいに声がつぶれたソプラノがまだ良いトコ取りしてるのは許せん」、と聞惚れながらも怒ってしまいました
お父さん役のクリストファー・ターナー、ルックスはぱっとしないけど私好みの甘くて細めの声テノールで、ご贔屓イギリス人テノールのリストに一人加わりました。Brexitで急に大陸から良い代役が賭け付けられない場合の頼もしい助っ人です。
ヒロインに嫉妬する有名な電気姫エレクトラ役のポーラ・サイズはルックスも含めた総合点では女性歌手の中では将来一番有望でしょう。