<23rd July Mon>
昨日、突然、今年久し振りに夏がやって来ました。今日は私、冷房の効き過ぎるオフィスで震えてましたけど 昨日も、きっと皆さん喜び勇んで日光浴なんぞしてるだろうに、私は週末出勤でしたもんね 陽気も回復し、世間では一気にオリンピック気分が盛り上がっているようので、私も早く仕事を片付けて、人並みにオリンピック・ムードに浸りたいです。でも、オリンピック開催中どうするかを話題にする前に、先週のコンサートの記事を一つ片付けましょう。プロムス以外のクラシック音楽シーズンもいよいよ終盤で、明日のオテロ、明後日のドミンゴ先生ガラが終わると、しばらくなーんにもありませんけど。
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2年間在籍して脇役で散々こき使われるROHの若手アーチストたちのコンサートはちょこちょこ行ってるものの記事にはしてないんですが、今回はこの制度の10周年ということ卒業生たちも参加していつもより豪華なイベントになったことだし、気に入った歌手や呆れてものが言えない歌手について書き残しておきましょう。
毎年恒例のシーズン終わりのコンサートは毎年ちょっとづつ形式が違っていて、セットや衣装を貸してもらえる場合もあるし、役柄に相応しい格好を私服で賄うこともあるのですが、今回はばりっと正装で揃いました。
ロッシーニのランスへの旅Il viaggio a Reims(詳しくは→こちら )は、1825年シャルル10世の戴冠式のために書かれた作品で、おめでたいイベントですから人が死んだり気が狂ったりというドラマチックなことは何も起こらなくて、その戴冠式に出席するためにヨーロッパ中から集まった貴族や召使たちがホテルに居合わせて恋のさやあてしたり馬車が調達できないので式には行けないと騒いだりする他愛もない話です。期間限定作品なので、後にロッシーニは一部をそのまま「オリー伯爵」でリサイクル。
たくさんソロ歌手が必要ということでこのオペラが選ばれたに違いないですが、あまりに人が多過ぎて立ってるだけで精一杯のスペースしかないので芝居はほとんどしないし、服装からは貴族と召使も区別がつかないのには困りました。なので私は途中から筋を追うのを諦め、歌にだけ注目することにしましたが、歌手のレベルは実に様々で、特にテノールは天国と地獄。
Marina Poplavskaya : Corinna
Madeleine Pierard : Contessa di Folleville
Ailish Tynan : Madame Cortese
Kai Ruutel : Marchesa Melibea
Edgaras Montvidas: Cavalier Belfiore
Ji Hyun Kim (Ji-Min Parkの代役): Conte di Libenskot
Jacques Imbrailo : Barone di Trombonok
Kostas Smoriginas: Don Alvaro
Lukas Jakobski : Don Profondo
Matthew Rose : Lord Sidney
Anna Devin : Delia
Hanna Hipp : Modestina
Justina Grigyte : Maddalena
Daniel Grice : Antonio
Jihoon Kim : Don Prudenzio
Pablo Bemsch : Don Luigino
ZhengZhong Zhou : Gelsomino/Zefirino
嬉しい驚きだったのはテノールのエドガルド・モントヴィダス(在籍2001-2003)。上の写真で真ん中にいる人です。かなり前に彼のアルフレード(椿姫)を2回観た事があるのですが(ROHで代役とグラインドボ-ンのドサ回り)、久し振りに見たら髪が薄くなってたものの、すごく上手になってたのでびっくり
素直でリリカルな声が素晴らしい上に長身のハンサムよ。これ程のテノールを放っておく手はないからちゃんとROHに招いてあげなくちゃ駄目じゃないのよ、と思ったら、すでにそれは手配済みで、来シーズン、プッチーニのつばめでグリゴーロとゲオルギューと共演します。ワーイワーイ
がっくりしたのは、ご贔屓テノールのジ・ミン・パ-ク君がキャンセルしたことで、トロイヤ人で伸びやかな美声にうっとりして(昨日のプロムスのコンサート版でも素晴らしかった)、一番楽しみにしてたのに・・・
で、その代役が、この場合はどうしてもそうなっちゃうんでしょうが、私が知るヤングアーチストの中では最悪の韓国人テノール、Ji Hyun Kim(現役)。声が中にこもって全然前に出てこない上にルックスでもハンデ最大。テノールはいつも人出で不足だけど、いくらなんでも・・・ 頑張って難しい歌をなんとかこなしたけど、この舞台であれだけのソロを歌うレベルではありません。
同じ東洋人男性でも、中国人のジェンジャン君(現役)は長身でかわゆい顔だし、歌もなかなかのものなので、故国でオペラ普及に励めばスターになれるかも。
バスの中では、役柄のせいもあり、最近卒業したコスタスとルーカスが光ってました。タイプは違うけど二人とも個性あるし、競争激しい低音歌手の世界でも生き残れると思います。
女性陣はどうかと言うと、
10年間の出世頭はやっぱりマリーナ・ポプラフスカヤ(在籍2005-2007)でしょうが、ご存知の通り、私は彼女のくぐもった声が大嫌い 今回も「私が主役よ」とばかりに自分だけ途中で衣装も着替え、進むに従ってどんどん濁って、最後はエクセントリックに叫ぶばかり。次に彼女が出る時は耳栓持参もまじで考えなきゃ。彼女がこれだけ世界中で売れてるってことは、私の目が狂ってるってことでしょうが、いつまでも古巣にしがみつかなくても、お願いだから他所で皆さんを楽しませてあげて下さいよお。
現役の中で私が一番好きなアナ・デビンの出番がほとんどなかったのもがっかり。ポプラフスカヤの役を彼女がやればよかったのに。きっと彼女が代役だから。
誰よ、このチビデブのソプラノ? と思ったら、エイリッシュ・タイナン(在籍2002-2004)。ちっこいのは構わないけど、可愛い娘役やるんだから、ダイエットしましょうね 元気一杯の歌はなかなかグーだったけど。
たしかに、女性歌手は、小柄なほうがでか過ぎるよりは多少使い勝手がいいでしょう。
だとすると、今回大きな役をもらった現役ソプラノのマデレーヌ・ピエラード嬢(赤いドレス)はでかいのでテノールを見下げることになりますが、この2年間でかなり上達した彼女、顔も派手で舞台映えするので漫画チックな役で光るのではないかしら? 新作アナ・ニコールとか良いかも。
他の人たちは小さな役なのですが、皆そこそこの出来で、10周年記念に相応しい華やかな舞台になりました
(切符代はうんと安くて、私の席は6ポンド。これ以上安上がりなエンターテインメントもありますまい)
ノッポのルーカスと小柄なタイナン嬢が隣あわせに立つだけで笑いが取れましたね
八頭身の皆さんの中で一人だけ五頭身の人が・・・ キム君、これからどうするんだろう・・
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