アンジェラ・ゲオルギューの「これぞディヴァ」なリサイタル @Barbican

<15th Dec Sun>

総選挙の話題ばかりでうんざりだけど、予想外の保守党の大勝で、長い間港から出ることが出来なかった船がやっと出港できます。荒波が待ち構えているでしょうけど。

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１２月１０日、バービカンでルーマニア出身のソプラノ、 アンジェラ・ゲオルギューのリサイタルがありました（→こちら）。

私が選んだらおそらく行かなかったでしょうが、私が後でチェックしようと何気なく置いておいたバービカンの今シリーズのリストでトーチャンが「これに行きたい」と言ったうちの一つだったので仕方なく・・。

でも、どうせ又オーケストラの水増しの間に聞き飽きたオペラのアリアを歌うやつだろうと思ってたのですが（2007年5月→こちらとか2009年１１月→こちらみたいに）、そうではなく、珍しくピアノ伴奏だけのリサイタルで、この手のリサイタルにしてはピアノ独奏が多かったとは言え、いつもと違うアンジェラをかぶりつきでたっぷり聴けて、なかなか楽しめました。  

Angela Gheorghiu soprano

Alexandra Dariescu piano

 

Rameau Le Grillon

Martini Plaisir d'amour

Debussy Nuit d'étoiles

Chopin Étude Op 10, No 3 'Tristesse'　別れの曲

L Boulanger Trois Morceaux　（ピアノ独奏）

Paisiello Nel cor pùi non mi sento

Bellini 'Malinconia, Ninfa gentile' from Composizioni da Camera

Donizetti 'Me voglio fà na casa' from Soirées d’automne à l’Infrascata

Tchaikovsky (arr Grainger) 'Waltz of the Flowers' from The Nutcracker Suite　（ピアノ独奏）

Hahn L'Heure exquise

Rachmaninov 'Son', No 5 from 6 Romances, Op 8

'Vesenniye vody', No 11 from 12 Romances, Op 14

Tosti La Serenata

Ideale

Sogno

Respighi Nebbie

Ciortea Romanian Dance　（ピアノ独奏）

Stephănescu Cântecul fluierașului

Mandruilita de la munte

Brediceanu Cine m-aude cântând

C Schumann No 2 from Soirées Musicales, Op 6 'Notturno'　（ピアノ独奏）

Schubert Ständchen (セレナーデ）

Flotow Qui sola vergin rosa

Balfe I dreamt that I dwelt in Marble Halls

アンコールは2曲で、プッチーニのジャンニ・スキッキから「私のお父さん」 O Mio Babbino CaroとBecause(ロンドンだから英語でというサービスなのでしょう)。

 

言語も曲調も統一性がなく、プログラムには「１９世紀の曲を中心に」と書いてあるだけで、アンジェラが好きなのをなんのテーマもなく選んだのでしょうね。あっちこっち飛ぶのですが、だからこそ変化に富んで面白かったです。ショパンの別れの曲やシューベルトのセレナーデまで聴けるとは思わなかったし、子供の時に意味はわからずとも西洋への憧れを感じたに違いない「秘めやかに闇を縫う我が調べ」で始まる堀内敬三さんのセレナーデの歌詞（→こちら）はいまだに意味のわからない言葉もある古めかしさ乍らほとんど覚えてて懐かしさで胸が一杯。

 

５４歳のアンジェラ、近くで見ると全体の体形とか肌の張りとか、さすがに老けたと思わざるを得ないですが、ちゃんと頑張って維持しようとしてる努力はわかるし、華やかな衣装や態度で誰しもディヴァ健在と感じたに違いないです。歌唱力もちゃんと維持してて、オペラっぽいものはそれなりに、初めて聴くオペラでは聴けない優しい歌唱も美しかったです。

声は結構好きだけどオペラのレパートリーが少ないアンジェラ、この頃は「またトスカか・・。うんざりだから、パス」なんですが、初めて聴く珍しいライイナンプを最前列ど真ん中で聴けて、トーチャンに感謝。

　　　

 

　　　

アンジェラのドレスはゴテゴテしてることが多いのですが、今回はどうだったかと言うと・・。

最初の黒いドレスは彼女にしては地味ですが、これは後半きっと華やかのに着替えてくれるに違いないので、効果を狙って抑え気味にしたのでしょう。前半は違うショールでうんと縫込みのあるクルクルでしたが、こっちの方がシンプルでいいですね。お年のせいか腕を剥き出しにはしないのでしょうね。

後半は登場しただけでワーッと観客がどよめいたの朱色のケープ・ドレス。素材はチープそうでしたが、動くとドラマチックな「これぞディヴァ」。私が見た中ではこれまでで一番彼女らしくて舞台映えする舞台衣装ではないかしら。舞台の前まで出来てケープを翻したときは私の顔に被るのはないかと思ったくらい。

 

伴奏のアレクサンドラ・ダリエスキュはアンジェラと同じルーマニア人で、伴奏専門ではなくソロを目指しているようです。　笑顔が素敵で２着のドレスも素敵でしたが、腕前はまあまあ。

 

さて、バービカンの今シーズンではこれと先日のプリティ・イェンデの他にもう一つソプラノのリサイタルがあり、２月１０日のＬｉｓｅ　Davidsenがとても楽しみ（→こちら）。３月にＲＯＨのフィデリオでカウフマンと共演する今ホットなノルウェー人ですが、席はたくさん残ってて、アンジェラより値段もずっと安いので、是非ご一緒しましょう。