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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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ドン・ジョヴァンニ by Mozart 国葬にさえぎられながらROHの新シーズン開始

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<17th Sept Sat>

台風日本に超大型台風接近とBBCニュースでも言ってました。大した被害が出ませんように。

日本天皇陛下ご夫妻は既にイギリス到着なさって、クラリッジスにお泊りだそうです。国葬にはVIPが参列しますよ、と言う時には必ず両陛下の名前が出て、誇らしいです。

イギリス相変わらず長蛇の列の一般弔問ですが、チャールズ国王、ウィリアム皇太子が並んでいる人たちを激励。チャールズ国王は毎日必死にあちこちで握手と笑顔で愛嬌ふりまいてますが、まあ今はそれでせいぜい頑張って下さい。

今夜は女王様の44歳から14歳までの孫全員8人がWestminster HallのThe Vigilに参加。それぞれ産まれた時のことを覚えているので、皆大きくなったなあ、と。

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なんでも近くで観るのが好きな私、オケの横の安い席が出たので(モーツァルトやヘンデルのようにオケが少人数のオペラのみ)、ドン・ジョヴァンニも3回分買っておきましたが、そのうち2回は女王様ご崩御の日と国葬の日と重なってキャンセルとなり、結局9月13日だけになりました。

でも、このキャストなら1回で充分だと思う程がっかりでした。

 

Music Wolfgang Amadeus Mozart/Libretto Lorenzo da Ponte/DirectorKasper Holten/
Set Designer/Es Devlin/Video Designer Luke Halls/Costume Designer Anja Vang Kragh
 
Conducted by Constantin Trinks
Leporello Christopher Maltman
Donna Anna Maria Bengtsson
Don Giovanni Luca Micheletti
The Commendatore Adam Palka
Don Ottavio Charles Castronovo
Donna Elvira Paula Murrihy
Zerlina Christina Gansch
Masetto Thomas Faulkner
ドン・ジョヴァンニのルカ・ミケレッティ、私は双眼鏡でガン見したのですが、俳優でもある彼は細やかな演技と他の人が歌っている時の丁寧に対応に感心しましたが、整ったイケメンながら容姿も声も線が細くて地味なので私の抱くドン・ジョヴァンニのイメージ(セクシーなチャラ男)には合わず。こんな役より、知性と暗い雰囲気が生かせる他の役をやったらきっと素晴らしいに違いないですけどね。
イギリス随一のバリトンと言ってもよいクリストファー・マルトマンはさすがの歌唱でしたが、コメディ要素が少な過ぎ。レポレロはもっとうんとはじけなきゃ。
テノール好きな私にはドン・オッタヴィオが大事だけど、チャールズ・カストロノーヴォの太くて重い声はいつも苦手。
 
女性群もぱっとしなくて、特に歌唱力が求められるドンナ・エルヴィラが下手だと全体のレベルがうんと落ちます。トーチャンはドンナ・アンナのマリア・ベングソンは良かったと言ってましたが、私は彼女のくぐもった声に魅力を感じず。
舞台脇のストールサークル席の2列目。近くで聴けて幸せグッド!
 
ということで、今までここで観たドン・ジョヴァンニの中では私へのアピールは最低でしたが、参考までに、今までROHで観たROHのドン・ジョヴァンニ記事をリストアップしときますので、クリックで記事に飛びます
前プロダクション

ドン・ジョバンニ 2007年6月 ROH Eシュロット、Aネトレプコ、Mシャーデ、AMマルチネズ、Kケテルセン

ドン・ジョヴァンニ (2チーム比較) 2008年9/10月 ROH Sキーンリーサイド/Mキーチェン、Jディドナート

/Eベル、Pチオフィー、Rヴァルガス/Iボストリッジ、Kケテルセン/Aエスポジット、Mぺルソン/Rエヴァンス

ドン・ジョヴァンニ (2チーム比較) 2012年1、2月 ROH Eシュロット/Gフィンリー、Mポレンザーニ/Pブレスリク

ドン・ジョヴァンニ(出待ち)  2012年2月 Eシュロット、Aエスポジート、Pブレスリク、Rドノセ

現プロダクション

ドン・ジョヴァンニ (リハーサル) 2014年1月 ROH Mクヴィエチェン、AEスポジート、Vジャンス、Mバイストロム、Eワッツ

ドンジョヴァンニ比較

ドンジョヴァンニ歌手一覧

ドン・ジョバンニ  2015年6月 ROH Cマルトマン、Aエスポジード、Dレシュマン、Jレジネヴァ、Aシャギムラトヴァ、Rヴィリャゾン/Mアンジェリーニ

ドン・ジョヴァンニ  2016年8月 ザルツブルグ Iダルカンジェロ、Lピサローニ、Cラミージョ、Vナフォルミタ、Pファナーレ

ドン・ジョヴァンニ 2018年6月 ROH Iダルカンジェロ、Mクヴィエチェン、Pブレスリク、Rウィリス・ソレンセン

ドン・ジョヴァンニ  2021年9月 ROH Eシュロット、Gフィンリー、Sマルコヴァ、Aザハリア、Fアントゥーン

 

ドキドキ
どういうオペラかと言うのは、ブログを初めて間もない2006年に張り切って書いた以前の記事をコピペします

以下の登場人物で、稀代の女たらしドン・ジョバンニの「全くついてない一日」をテンポよく描きます。有名アリアが全編に散らばっているのも人気オペラである所以。

ドン・ジョバンニ  (スペインの貴族)

2千人以上をモノにした稀代の色事師で女たらしの悪い奴と思われているのですが、「一人の女しか愛さなかったら、その他大勢女性に対して失礼だろ?」という論理には妙に説得力があるし、金持ちでも貧乏でも美人でもブスでもデブでも痩せでも黒髪でも金髪でも差別しないのは立派です(できれば夏はやせっぽちがよくて冬はふくよかなのがいいけどとちょっとだけ贅沢言いますが)。ここまでくれば博愛主義と言ってもいいくらいだし、彼に口説かれて一時的にせよ女として幸せを感じ自信を持たせてもらった女はたくさんいるわけです。

都合の悪いことは召使に濡れ衣を着せたりして姑息なところもあるのですが、女性に関しては信念に基づいて行動し、周りから不道徳と責められても、「改心しないと地獄に引きずっていくぞ」と行きがかり上殺してしまった(正当防衛と言えなくもない)騎士長の亡霊に脅されても、「俺は意気地なしじゃねえぜ。これが俺の生き様なんだ」と潔く地獄に堕ちて行きます。

でも地獄に行ってもきっと女性を幸せにするのが俺のミッションと切磋琢磨するのでしょう。或いは生まれ変わって信念を貫く肝のすわった男です。事実そういう男は世の中に後を発たないわけで、彼の生まれ変わりかもしれません。頑張れドン・ジョバンニ、フォーエヴァー!

レポレロ  (ドン・ジョバンニの下男)

フィガロと並んでオペラ界では一番有名な召使。ここではご主人の女性攻略の大切な手助け役で、モノにした女の記録もする几帳面なところもあり。こんなことやるのはおいら嫌なんだとぶつくさ言ってるけど、お金であっさり丸め込まれてしまうし、それにおこぼれも頂戴したり海外遠征にもお供して変化に富んだ興味深い仕事に就いているわけで、ドン・ジョバンニ亡き後もし御清潔で御誠実なご主人様に仕えたら退屈して、きっと前の雇い主と同じような人のところに転職するのではないでしょうか?

ドンナ・エルヴィラ  (ドン・ジョバンニが棄てた女)

ひどい男に棄てられて悲しい思いをしている可哀相な女がいるから慰めてやろうという優しい心根で近づいたら、なんと怒ってる対象は自分で、とんだヤブヘビ。あんたひどいじゃないの、と詰め寄るだけじゃなくて、他の人に「こいつは悪者だから」と言いふらして彼の邪魔をしまくる恨み女。でもまだドン・ジョバンニを誰よりも愛していて、それはいいけど、なんとか愛の力で自堕落生活から救ってあげるなんて無理なことを本気で思ってる思い込み女。ドン・ジョバンニが一番避けなきゃいけない一途な迷惑女ですが、一番わかりやすくて純粋。

ドンナ・アンナ  (ドン・ジョバンニに父親を殺されて復讐を誓う女)

この女、私は嫌いです。ドン・ジョバンニに惹かれているのに、婚約者も安全弁としてキープして、慰めてあげたいから早く結婚しようと親切な申し出にも、「私がこんなに苦しんでるのによくそんなこと言えるわね! それよりも貴方も一緒に復讐すると誓うのよ」、なんて命令して結婚を引き伸ばす二股女。ドン・ジョバンニが部屋に侵入してきたなんて言ってるけど、当時の上流階級のお嬢様の部屋に簡単に入れるはずないから、人払いをして自分で招き入れたんでは?彼は言い訳しないけど。 
ドン・オッタヴィオ  (ドンナ・アンナの婚約者)

私が相談投書おばさんで、彼から「婚約者が復讐第一、結婚はその後って言ってるんですけど、僕どうしたらいいんでしょう?」と相談を受けたら、「そんな勝手なのとはすぐ別れて、他の女探しなさい。でないと一生尻に敷かれるわよ」と即答えます。

ツェルリーナ  (結婚式を控えた村娘でドン・ジョバンニの今日の獲物)

この娘はしたたかですよ~。結婚式の日に「君程の女性があんな田舎者と結婚して村に収まるのは勿体ないよ。僕のところにおいで」とドン・ジョバンニに口説かれると、「そうやって道を踏み外す女はいるのよね」と冷静に判断しながらも、「でもちょっと遊んじゃおうかな。それにやっぱり私って野良仕事するにはゴージャス過ぎるわよね。マゼットが嫉妬して怒ってるけど、単純な彼をなだめることなんてチョロイからとりあえず甘えておこうっと」。一応、結婚すると約束したんだから守らなくちゃいけないわよね、と殊勝なことも思ってるけど、これで一旦もっと上の世界を夢見てしまったツェルリーナは、この先貞淑な村の奥さんでいられる筈はなくて、椿姫のような道を辿ってお金持ち社会でのし上っていくにちがいありません。

マゼット  (ツェルリーナの婚約者の村の若者)

なぜツェルリーナのような美人で頭も切れる女性がこんなぱっとしない農民にいちゃんと結婚しようと思ったのわかりません。結婚式の日に花嫁が羽振りの良い男といちゃつくは、レポレロに変装したドン・ジョバンニに暴力を振るわれてと怪我するは、踏んだり蹴ったりの可哀相な青年です。私が村の仲人おばさんだったら、この善良なおにいちゃんにはオツムの程度が同じような素朴なおねえちゃんを紹介します。長い結婚生活には釣り合いってものが大切でしょ?


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