<9th Nov Wed>
昨夜はROHでヘンデルのアルチーナの初日で、舞台横の席で観たのですが、大変な出来事がありました。
2幕目で12歳のボーイソプラノが歌っていた最中に、後ろの方から男性が大声で暫くなにか叫んでるのが聞こえ、舞台横の席の私からは随分遠かったので聞き取れませんでしたが、下手くそ、歌うな とか言ったらしいです。観客は「えっ、なにが起こってるの?」という雰囲気になりましたが、オケも少年もそのまま続けました。そこそこ長かったですが、異様なことになったのは彼が歌い終わった時で、異常なまでの拍手と声援が長い間続きました。私の斜め前の男性は立ち上がって一生懸命拍手して、うんうんと頷きながら、泣いていたのかも。私は客席全体が見える位置にいたのに、ついその人ばかりをつい見てしまい、他の人がどうしてるのか見なかったのは今思えば残念ですが、おそらくたくさんの人がスタンディングオベーションをしていたに違いありません。
たしかに大きな劇場でオペラ歌手のような声量は望めないボーイソプラノに歌わせるのが果たしてベストなのかなと私も聴きながら疑問を持ったのですが(以前他の所で聴いた時はソプラノが代わりに歌った)、それでも12歳の子供にそんな事をするのは残酷過ぎます。第一、パフォーマンスの最中に邪魔をするのはオペラではご法度の筈。スカラ座(今は知りませんが)じゃあるまいし。
目撃者の証言なのでしょう、その男はインターバルでスタッフにオペラハウスからつまみ出されたそうです。
そして今日、ROHのTwitterに以下が投稿されました↓。
Unfortunately, the opening night of Alcina featured an audience member who disrupted the show and the excellent performance by young singer Malakai M Bayoh. We are appalled that a member of the audience behaved in this way and steps have been taken to ensure the audience member in question does not return to the Royal Opera House.
これによると、その男は今後ROHのオーディトリアムには出入り禁止。当然の処置だと思います。
その少年が黒人だったので人種差別があったのかどうかはわかりませんが、誰にとってもショッキングな出来事でした。私は二十数年間、軽く千回以上はここに通ってますが、こんなことはもちろん初めて。ROHは、少なくともオペラに関しては、演出チームには初日のカーテンコールで容赦なくブーイングしますが、どれだけ下手でも歌手にはブーイングはせずに拍手を減らす冷たい反応で意見を表します。
パフォーマンスについては、たくさん撮った写真の整理をしてから感想書きますが、実は明日トーチャンと二回目のパフォーマンスを観にいく筈だったのに、地下鉄のストライキで行けなくなったのが残念です。あの少年が元気に歌ってくれるかどうか見届けたかったのに。因みに彼は3幕は元気に元気に歌い、カーテンコールでは大きな拍手もらってました。一人の心無い人の酷い態度ではなく、何千人かの暖かい声援を覚えててくれるといいのですが。