<20th Oct Sat>
今日の午後、ROHの地下小劇場に行き、若手アーチストのコンサートを聴きました。ニューフェイスも何人かいて、その中に長身でハンサムな男性がいたので、「あ、この子が新入生のテノールだといいなあ」、とちょっと期待したのですが、そうではなく、彼はやっぱりバリトンで、新顔のテノール君は容姿の貧しい人が多いテノール界に属する人でした・・(歌は悪くないけど)。
コンサートが終わってから友人とROHの2階でお茶したのですが、ここはゆっくりしたい時はお勧めです。サンドイッチとケーキ(今日は一種類だけ)しかないですが、広々としたスペースと、知る人ぞ知るカフェなのでガラガラなのと、なんと言っても見下ろすとポール・ハムリン・ホールの素晴らしい眺めなのが抜群です。
先週火曜日のワルキューレと明日の日曜日のジークフリートの間に、昨日はENOのジュリアス・シーザー、今日はROH若手アーチストのコンサートに行き、毎日出掛けてばかりなのでブログの更新が滞ってますが、10日以上も前のコンサートが印象的だったので、リングの合間にアップしておきます。
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10月12日の金曜日、トーチャンとバービカンに行きました。
BBCシンフォニー・オーケストラのコンサートでしたが、このオケに大感動の名演奏は望めない代わりにやけに値段が安いのがグーで、この盛りだくさんのコンサートも僅か12.75ポンド(15%の枚数割引後)。
Haydn Symphony No 101, ‘The Clock’
Hummel Piano Concerto in A minor
Ravel L’heure espagnole
BBC Symphony Orchestra
Josep Pons conductor
Stephen Hough piano
Kenneth Richardson director
ハイドンのシンフォニーとフンメルのピアノ協奏曲とラヴェルのオペラという「ん?どういうつながりが?」、と首をかしげてしまうプログラムなのですが、①ロンドンで初演された「時計」シンフォニーのハイドンは2曲目のフンメルの師匠であり、②ラヴェルのスペインの時の舞台は時計屋さんなので、ハイドンの時計シンフォニーとは時計こじつけ、ということなんでしょう、きっと。
一貫性のないコンサートでしたが、そのおかげで変化に富んで色々楽しめて得した気分
目的は最後のオペラであり、前半はどうでもよかったので予備知識ゼロでしたが、名前さえ知らなかったフンメル(1778-1837 ヨハン・ネポムク・フンメルJohan Nepomuk Hummel)のピアノ・コンチェルトは甘美で華麗でとても素敵でした
モーツァルトの住み込み弟子でもあったそうなので影響をもちろん受けているのでしょうが、それよりも、まるでショパンのコンチェルトだわ、という印象。ショパンの方が後ですから、フンメルの影響をショパンが受けたのでしょう。超技巧的なところはリストみたいだし、爽やかな部分はシューマンのようでもあり、当時はピアニストとしても有名だったというフンメルは時代の先をいってて、ロマン主義の先駆者だったのかも。他の曲も聴いてみたいです。
英国人ピアニストのスティーヴン・ホフは手堅いテクニックの持ち主なのですが、その彼にして弾きこなせないくらい手強い部分が何箇所もあり、うーん、これはもっと上手なピアニストで是非聴いてみたいものだと思いました。キーシンかアンスネス。それ以外に引きこなせるピアニストがいるかしら?
あれだけの曲をあれだけ弾ければ大きな拍手喝采も当然なんですが、大スケールで興奮した後のアンコールは対照的なドビューシーの月の光clair de lune。静かに優しく弾いてくれて、観客もほ~っと一息。
Ravel L’heure espagnole
Ruxandra Donose Concepción
Jacques Imbrailo Ramiro
Jean-Paul Fouchécourt Torquemada
Julien Behr Gonzalve
David Wilson-Johnson Don Inigo
歌手は5人だけで50分の短い一幕オペラですが、コンサート形式とは言え皆さんそれらしい衣装も着てお芝居はしっかりしてくれたので、最前列の私は細かい表情もよく見えて楽しめました。音符台が邪魔で字幕が見えなかった時間も半分あったので歌手の演技見てるしかなかったですが、ROHで何度も観てるから大丈夫。
どんなお話かということは、以前の記事(→こちら )をご覧頂くとして、要するに、
時計屋の浮気な女房が亭主のいない間に愛人といつものようにウフフのお楽しみをしようとするのに、邪魔が入って上手くいかずに焦るが、結局は邪魔者だと思ったロバ使いの若いニーチャンとめでたくエッチという艶小話。
主役のリュクサンドラ・ドノセ嬢は、ROHでもこの役で抜群だったメゾソプラノで、今日も余裕たっぷりで素晴らしい歌と演技。こないだのROHのドン・ジョヴァンは凄くよかったわけではないですが、やっぱり誰にでも得意不得意はありますからね。
今日のめっけものは、テノールのジュリアン・ベア。長身で)ハンサム(テノールにしては)な上に、個性はないけど素直な声がよく伸びて、容姿にも歌にもうっとり リヨン大学法学部卒のフランス人ですが、イタリア語の定番オペラもレパートリーにしてるようなので、コジ・ファ・トゥッテとか聴いてみたいわ。
女房の浮気には全く気付いてないお人好しの時計屋の旦那は出番は少ないけど、私はこのジャン・ポール・フォシェクールが大好き。
短いながらもホフマン物語の執事役は光ってて、よく通る声とユーモアセンスに溢れる演技が印象的だった彼の素顔を楽しみにしてました。うんと小柄で、オーバーオールだと短足なのもばれてしまう見かけはぱっとしないオッサンですが、スコーンと突き抜ける声はいまだ衰えず。
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