4夜に渡る大長編、オペラ鑑賞のエベレスト登頂と言うべきワーグナーのリング・サイクルは先月からROHではじまっているのですが、昨夜、私が行くサイクル3がはじまりました(全部で4サイクル)。
ワーグナー嫌いだったジーチャンの影響でかつてはワーグナーを敬遠してたトーチャンも行きたいというので、一年以上も前に二人分の切符を確保。
私 「いつも座る舞台脇の安い席は売り出さないから、横上のアッパースリップでいいよね。それなら一回17ポンド也で済むし」
トーチャン 「うー、僕は先回のサイクルを半分しか観てないし、今回は折角だから近くから観たいなあ」
私 「ひえ~っ、それだと硬いベンチシートでも二人分で500ポンド近くするのよ! ・・・でも、いつも何から何まで世話になってるトーチャンがそう言うなら、よ~し、二人で清水の舞台から飛び降りよう!」(トーチャンは清水の舞台のことを知ってます)
ということで、一人一晩61ポンドもするストールサークル3列目を買ったのでした。
なのに、なのに、あれから一年くらい経って、トーチャンは値段のことはすっかり忘れてたみたいで、4回分合計で一人61ポンド思ってたようです。たしかに、切符の値段のところにTotal Opera Packageなんて誤解を招くような書き方してあるし、なによりも、いつも12、3ポンドで座ってる席から1メートルしか離れてないので、そう思うのも仕方ないけど、拍子抜けでしたわ。
で、行ってみたら、予想通り安い舞台横は席が外されてオケピットが拡大してたものの3列目はそのまま椅子は残してあったので(誰も座ってない)、「なーんだ、それならここを売って欲しかったわね」、などとつい恨んでしまいました・・・
いや、高いと言ってもしれてるし、それだけ出せば、「居眠りしてたまるもんか!」、と必死に頑張るでしょうから結局は得な筈ですよね~? と無理やり信じることにして、昨夜、ラインの黄金に行って来ました。
席からの眺めですが、最初しばらく真っ暗な中でオケ演奏があるのですが、パッパーノ大将が振っていたのはなんと光る指揮棒!
それがないと困るということは、オケ団員は暗譜だったってことかしら?
Director | Keith Warner |
Set designs | Stefanos Lazaridis |
Costume designs | Marie-Jeanne Lecca |
Lighting design | Wolfgang Göbbel |
Original Movement Director | Claire Glaskin |
Video | Mic Pool |
Video | Dick Straker |
Associate Set Designer | Matthew Deely |
Conductor | Antonio Pappano |
Woglinde | Nadine Livingston |
Wellgunde | Kai Rüütel |
Flosshilde | Harriet Williams |
Alberich | Wolfgang Koch |
Wotan | Bryn Terfel |
Fricka | Sarah Connolly |
Freia | Ann Petersen |
Donner | Peter Coleman-Wright |
Froh | Andrew Rees |
Fasolt | Iain Paterson |
Fafner | Eric Halfvarson |
Loge | Stig Andersen |
Mime | Gerhard Siegel |
Erda | Maria Radner |
本格的にはじまる前の序夜ですか僅か2時間40分(休憩なしでぶっ通しですけど)、このプロダクションは既に2回観てるので新発見はないですが、はじめて近くで見られたのはとても良かったです。
下3分の1しか見えなくて全体像がわからないのでセットについては重視せず、今回はパフォーマンスをじっくりと鑑賞することにしましたが、すぐ近くに数人のブラスセクションが陣取ってて、ホルン奏者全員が思いっきり吹いたるすると、「うるせーな!」で、歌手の声はおろかオケの弦楽までかき消されてしまうこの席は失敗。ハープ奏者がずらっと並ぶ反対側にすればよかった。
ボス神ヴォータンや妻フリッカが本格的に歌うのは次からなのでそれからお手並み拝見なのですが、今日聴いた限りではブリン・ターフェルとサラ・コノリーのイギリス人コンビは素晴らしくて期待が持てます。特にこの役で再登場のブリンはまろやかな声になって余裕が増したようです。
これが主な活躍の場となる歌手の中では、脇役だけと巨人兄弟が際立ってて、特にゴ愛を求めるファゾルトのPatersonが印象に残りました。火の神ローゲのスティッグ・アンデルセンも熱演だったし文句のつけようはないですが、この役はイギリスが誇ったベテランテノールのフィリップ・ラングリッジのイメージが強く、ラングリッジが癌で死亡したことをあらためて思い起こさせられて悲しかったです
ラインの乙女たちはいつも若くてきれいな人ばかり。だって、(ほぼ)全裸で幕開けシーンですからね。
テノール好きな私にとってはミーメのヘルハルト・シーゲルには大拍手。先回も(おそらく先々回も)彼だったけど、とてつもない声量だけでも素晴らしい。アルベリヒのウォルフガング・コッホは、美声で上手で、小太りオヤジなのに華もあるけど、悪役にしては声が細過ぎるし声量もいまいちで迫力に欠けます。
ということで、全体としてはまあまあの出来ってとこでしょうか。
明日は半日休暇を取ってワルキューレに行くのですが、ブリュンヒルデ役のスーザン・ブーロックの不快な声は嫌いなので、「この寒いロンドンで風邪でもひいてキャンセルしてくれるといいが」、などと失礼なことを願っているのですが、でも、もっと上手な代役がおいそれ見つかるわけもないので、まあ彼女で我慢しないとね。硬いベンチシートなので、クッション持参で。
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