<13th Jan Sat>
今日は寒かったけど今年初めての着物お出掛けで、お寿司でランチ会しました。
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1月9日はリヒャルト・シュトラウスのエレクトラの新プロダクションのリハーサルに行きました。
もうすぐロイヤル・オペラを去るパッパーノ大将が指揮する最後の新プロダクションで、見切れないようにアンフィシアターの4列目で正面から観たのですが、すっきりとして、空間や照明や炎を効果的に使った素晴らしいプロダクション。古代ギリシャっぽさなど微塵もないのはもちろん承知の上(今そういうのやったら逆に凄く新鮮だろうに)。
ニーナ・シュテンメが素晴らしいのは当然として、妹役のSARA JAKUBIAKもとても上手だったし、母役のカリタ・マッティラも美しいドレス姿で頑張りました。
12日の初日のカーテンコールに登場した演出チームには当然乍ら盛大な拍手が送られたそうですし、レビューも上々。
The Guardian ★★★★
The Telegraph ★★★★
特に好きなオペラではないですが、もう1回行くかも。
ここでエレクトラをやるのは10年ぶりですが、フルタイムで働いて忙しいのに作品の紹介もした昔の私。折角なので以下リピート。最近は年のせいか、文章書くのが億劫で・・。
エレクトラって誰?
エレクトラは古代ギリシャはミケーネの王女様ですが、「電気」の語源にもなっているくらいですから、物静かでおしとやかなお姫様ではありません。
父親はアガメムノン。有名なトロイ戦争のギリシャ側の総大将で、トロイ戦争は絶世の美女ヘレンがトロイに連れ去られたのを奪回するために起こったのですが、アガメムノンの妻クリテムネストラ(以下クリ妻)はそのヘレンの双子の姉妹で、このオペラにも登場します。
ギリシャ神話にはオリンポスの神々の気まぐれに翻弄されてどえらい目に合う人々がたくさん出てきますが、中でもこのアガメムノン一家は不幸が集中する可哀相度ナンバー1のファミリーです。
アガメムノンは女神ダイアナの怒りを買ったためにトロイ戦争で逆風で船出できなくなり、娘イフィジェニーを生贄にして無事出征し、トロイ戦争で勝利を収めるのですが、帰郷すると、娘を生贄にされて怒ったクリ妻とその愛人エギスト(アガメムノンに身内を殺されて恨んでる)に殺されてしまいます。
このオペラは、エレクトラが弟オレステを逃がし、自分は犬同様に扱われながらもミケーネの王宮に留まって、弟の成長を待って父アガメムノンの仇討ちの機会を狙っているところから始まります。憎しみの充電は十分で、今にもショートしそう。
そうだ、ご存知でしょうか、心理学で息子が母親に愛情を抱いて父親を憎むのをオイディプス・コンプレックスと呼ぶのは有名ですが、その女の子版のエレクトラ・コンプレックスというのもあるんですって。父親を愛する娘が母親を憎むんだそうです。
あらすじ
下女たち 「エレクトラ姫様の異常さにも困ったものよね。することと言ったら亡き国王の死を悲しんで泣き叫びながら復讐を誓うだけ。私、もうこのお城からおいとまもらいたいわ」
妹のクリソテミス(以下クリ妹。母親と名前が似過ぎ)
「エレクトラ姉ちゃん、私は復讐なんかどうでもいいから、普通に結婚して子供が産みたいじゃんね」
エレクトラ 「たわけたことを申すではない! 父上の仇討ちをしなくてはならぬのじゃ」
クリ母 「最近妙な夢ばっかり見るのよ、私。エレクトラや、お祓いしておくれ」
エレクトラ 「母上、悪夢から解放されるには犠牲が必要でござりまする」
クリ母 「犠牲とな。してそれは?」
エレクトラ 「母上ご自身でござるよ。そしてそれを実行するのは弟のオレステ、という預言じゃ」
クリ母 「ひえ~~っ! え、なにニュースが?オレステが死んだとな。よかった、これでわらわも安泰じゃ、ホホ」
エレクトラ 「無念じゃ。クリ妹、では我ら二人で実行ぞ」
クリ妹 「あたしは嫌だから、トンズラするずら」
旅人 「エレクトラ姉ちゃん、実は俺はオレステなんだべ。死んだというのは嘘じゃったけん、待たせて済まなんだな。うん、何をすべきかはわかっとる。 オカン、死ね~っ! あ、共犯者エギストも来たから殺っちまえ~!」
というわけで、ミケーネ王宮の庭は修羅場に。そして、血の海の中で、復讐を果たしたしエレクトラは激しく踊り狂い放電し、恍惚の中で倒れる。