<9th Dec Sun>
今日は休暇。今から親子3人でハリーポッターのセットが見学できる撮影所に行ってきます。
ミュンヘン旅行記を楽しみにしてて下さる方には申し訳ないのですが、その前に急いで片付けたいコンサートレポートを先にします。ミュンヘンに行く直前に行ったチェチリア・バルトリ、やっぱり彼女はすっ飛ばすわけにはいきませんもんね。
尚、ミュンヘン記事はあと2つの予定ですが(オペラと日曜の観光)、一番手間の掛かる写真選びは終わったので(クラウス君のは迷って大変だった)、あと一息です。
------------------------------------------
バービカンのGreat Performersシリーズの中でも一番人気に違いないバルトリ姐のコンサートはフレンズ予約が始まったら真っ先にゲットしに行くんですが、今回(今年初めですが)も首尾よくかぶりつき席を確保。まだ良い席が残っていたので、誰か行きたい人がいるだろうと、ついでにに買っておきました(←出た、椿姫お節介エージェンシー)。
しかし、最近値上がりの著しいバービカン、天下のバルトリでも切符が売り切れるまでには随分時間が掛かったのでのリターンするわけにもいかず、「高くても行きたいけど都合がつかなくて残念」、或いは「行きたいし行けるけど、85ポンドはちょっと・・・」、という知り合いばかりで焦ってしまい、その上、コンサートの翌日からミュンヘンに行くことになって(正確に言うと空港泊ですが)余裕がないので、ああ、もういっそキャンセルしてくれたほうがいいかも、バルトリはかなり何度も聴いてるから新鮮味はないし、とすら思ってました。
幸い、余分の切符を買って下さる超初心者の方も見つかったのですが、当日まで、楽しみというよりますます余裕がなくなるからなあ、とグダグダ言ってた私
でも、バルトリが歌うのなら行かないわけにはいかないし、こんな良い席をギブアップするのはあまりにも口惜しい・・・、と思いながら、着物で出掛けたら、なんと「彼女は体調が悪いですが、歌います」というアナウンス
うわーっ、それって最悪じゃない? 具合悪くてベストの歌唱ができないのならキャンセルする方が誠意ある行為ではないでしょうか?今まで、苦しそうに無理やり歌った歌手は何度も聴いてて、努力には頭が下がるし、ある意味感動するのですが、でも、やっぱりねえ、と複雑な気持ちで聴き始めました
で、のっけから機関銃のようなコロラチューラで始まり、いつものような滑らかさはないものの、おおぉ、いつもより凄いバルトリ節だとびっくり&安心したら、なんと、たしか2曲目とかでゲホゲホになってしまい、彼女が「気管支炎なのよ!」と叫びました。
その後は何度か小さく咳をしながら苦しそうな場面も何度かあり、いつ又崩れるかはらはらしながら聴きましたが、さすが声楽界に特別な地位を確立したスター歌手、聴く人を唖然とさせる人間離れした見事な転がしテクニックをご披露してくれて、いつも通りのヤンヤの喝采
結局、値段は高いし、忙しかった私だけど、やっぱり行って良かったと思えた感動コンサートでした
で、出し物はなんだったかと言うと、毎回興味深いテーマがあるバルトリのコンサート、今回はアゴイスト・ステファーニという初期バロックの埋もれた作曲家の発掘。
彼女が歌えばなんでも話題になるという知名度を生かして、忘れられてる音楽を世に出すのをミッションにしてる尊敬すべきバルトリ姐、でもそうは言っても過去にはサリエリ(映画アマデウスに出てきた)みたいにつまんないのもあったしなあ、とあまりステファーニにはあまり期待してなかったのですが(MissionというCDも聴くヒマがなく)、わかりやすい上に変化に富み、なによりも凄いコロラチューラの曲が目白押しで、これを発見した時のバルトリはさぞや嬉しかっただろうし、彼女にぴったりの大成功プロジェクトに拍手です
バルトリ自身が英語で紹介してるYoutubeもありますので、→こちら でどうぞ。
Agostino Steffani (1654–1728)
Ouverture to Henrico Leone (1689)
'Schiere invitte' from Alarico il Baltha (1687)
'Sposa, mancar mi sento… Deh, non far colle tue lagrime' from Tassilone (1709)
'Non prendo consiglio' from La superbia d’Alessandro (1690)
Ouverture to I trionfi del fato (1695)
'Amami, e vederai' from Niobe, regina di Tebe (1688)
'Aires pour les nymphes de la rivière' from La lotta d’Hercole con Acheloo (1689)
'Sì, sì, riposa o caro… Palpitanti sfere belle' from Alarico il Baltha
'Notte amica al cieco dio' from La libertà contenta (1693)
'Più non v’ascondo' from Tassilone
'A facile vittoria' from Tassilone
Introduzione to Amor vien dal destino (1709)
'Foschi crepuscoli' from La libertà contenta
'Morirò fra strazi e scempi' from Henrico Leone
'Dal tuo labbro amor v’invita' from Tassilone
Ouverture to Orlando generoso (1691)
'Ove son?… Dal mio petto' from Niobe, regina di Tebe
Ouverture to La libertà contenta
'Dell’alma stanca… Sfere amiche' from Niobe, regina di Tebe
'Mie fide schiere, all’armi' from I trionfi del fato
'Suoni, tuoni, il suolo scuota' from Arminio (1707)
Cecilia Bartoli mezzo-soprano
Kammerorchester Basel
Diego Fasolis Harpsichord / leader
Julia Schröder Concertmaster
ステファーニは、音楽家であっただけでなく外交官、政治家、僧侶として幅広く活躍したなかなかの人物らしいのですが、どっかで聴いた名前だけど、と思ったら、そう、ニオベというオペラを2年前にROHでやってくれて(→こちら
)、そこではじめて生で聴いたCTのイエスティン君を見初めるきっかけとなったんでした。
MissionのCDで共演してる人気CTのジャル君(フィリップ・ジャルスキー)は、今CTファンの間で話題沸騰のアルタセルセ公演で忙しくてコンサートに出てくれないのは仕方ないですが、バルトリ姐だけでも充分中身のある素晴らしいコンサートとなり、少々不調でも聴けてよかったです。無理して歌ってくれてありがとう
お隣の席のPrimroseさんが撮影したカーテンコール動画は→こちら です。オケは女性が多かったですが、皆さんスタイルが良くて素敵ですよ。
クラシックなデザインの光沢のあるドレスも素敵で、もっと(うんと)細かったら、ヘアスタイルと言い、ジュリエットみたいね。古楽オケ演奏だけの時もバルトリは舞台裏に引っ込まず、ソファに座って彼女自身が楽しんでいるようだったのも好印象。
アンコールはヘンデルばかり3曲。ヘンデルはステファーニより少しの時代で、ステファーニにも影響受けたらしいですが、名人ヘンデルと比べたらステファーニが可哀相かもと思うくらい完成度がまるで違う。最後はオペラ「リナルド」の超有名アリアLachia chi'o piangaはお馴染み過ぎて聞き飽きてるのでウヘッーと思ったのですが、優しいピアニッシモに惹きこまれれました
ブログをはじめて以来のバルトリのバービカンでのコンサートはこちらですが、
Dec 2010 、 Dec 2009 、 Dec 2008 、 Dec 2007(2回目) 、 Dec 2007(1回目) 、 Dec 2005
驚愕の声のアクロバットという面では今回が一番凄まじかったかもです
人気ブログランキングへ