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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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マキシム・ヴェンゲロフ(ヴァイオリン) リサイタルに復帰

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<26th Feb Tue>

アーニャ・ハルテロスは5月のROHのドンカルロにはどうせ出ないんだろうなあ、でも、そうなったら代役は当然マリーナ・ポプラフスカヤかしら・・ぞ~っ汗・・・と心配していたら、ああ良かった、代役は違う人ですって。なんだやっぱりキャンセルするわけ? はい、でも、全部降りるんじゃなくて最初3回は(今のところ)出てくれるとのことなので、今日の代役発表(→こちら )にはがっかりするどころか、一安心でした。「3月のラ・ボエームを降りたお詫びに私が歌うわ」とフリットリが名乗り出てくれる筈もないですしね。この難しい大役の代役はLianna Haroutounianという聞いたこともないソプラノですが、箱ふぐポポでなかっただけでもよかった、よかった。

というわけで、予想してたキャンセルが現実となりましたが、気を取り直して、溜まってる記事をどんどん片付けましょう。

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2月20日、マキシム・ヴェンゲロフのリサイタルに行きました。


肩を痛めていた彼がかつてはよく出ていたバービカンでリサイタルを開くのは久し振りで、彼自身「またここで演奏できてとても嬉しい」と挨拶。


去年12月にここでエリザベス女王陛下ご臨席のコンサートがあった時にチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を弾いてくれたのが私にとっては久し振りのヴェンゲロフだったのですが(→こちら )、もちろん相変わらず素晴らしいテクニックで世界のトップクラスには違いないのですが、「へ~え、超有名なチャイコのこの曲って、こんなに難しかったっけ?」と思ってしまうくらい苦労してる彼を見ながら複雑な気持ちでした。


私はかなり何度も生で聴いているのですが、私にとっては彼が他のヴァイオリニストを引き離して世界一だった理由である始終一環した音色の美しさが感じられなかったからです。


やっぱり、まだ本調子ではないのかもと心配しながら臨んだ今回のリサイタル、さてどうだったのでしょうか?


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

Beethoven Violin Sonata No 10
Schubert Grand Duo
Franck Violin Sonata
Saint-Saens Havanaise Op 83
Saint-Saens Introduction
Saint-Saens Rondo Capriccioso

アンコールはガブリエル・フォーレのしっとり曲

Maxim Vengerov
violin
Itamar Golan piano


まずは渋いベートーベンでしたが、なんと譜面を見ながら弾いたんです叫び


葉加瀬太郎じゃあるまいし、よほどの前衛的な新曲とか以外で譜面を見ながら弾く一流のヴァイオリニストなんてほとんどいないですよ。それなのに、まさか、あのヴェンゲロフが・・・


しかも、葉加瀬太郎さんもそうでしたが、精神安定剤として譜面は置いてあるだけで実際には見ないというのではなく、かなりしっかりフォローして・・・


音色もかなり失望。彼にしてはやけに渇いた音で時にはかすれたりもして・・。彼が誰だか知らないではじめて聴いたら、特に上手だと思わないでしょう。彼をはじめて聴くトーチャンは「nothing special」とバッサリ。世界一のヴァイオリン弾きだからと期待させて、高い切符を無理して2枚買ったのに(二人で100ポンド)・・。


私はベートーベンがなぜか好きではないこともあり、一曲目は全く楽しめませんでした。


2曲目のシューベルトはぐっと華やかで軽やかな曲だったのでちょっと幸せな気分になりましたが、でもまだ譜面を見たまましょぼん  最近、ロンドンでも音楽大学ロイヤル・アカデニー・オブ・ミュージックの教授になったりして忙しいのはわかりますが、本末転倒ではないですか、教授~っ?

  
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


幸い、後半は有名な曲ばかりだったせいもあり、全て暗譜で弾いてくれて、目を閉じておなじみの恍惚の表情を見せてくれて安心しました。


叙情的なフランクのソナタもメリハリつけて弾いてくれてなかなか良かったし、なんと言っても圧巻はサンサーンスで、これでもかと超技巧をご披露してくれて盛り上がり、トーチャンも「後半はずっと良くなったね」、と褒めてくれました。たしかに。

でも、私に言わせりゃ、「これだけ弾ければ勿論誰でも超一流と思うけど、でも違うのよ、彼は以前はもっと上手だったのよ、本当はもっと弾ける人なのよ~。いつも最初から最後までこよなく美しい音色でうっとりさせてくれたあのヴェンゲロフは一体どこに行ってしまったの?これくらい弾ける人は他にもいるでしょ?」、なんですけどねむっ


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

数年間淋しい思いで待ったのに、これでは不満の残るコンサートでしたが、観客は暖かく彼の復帰にヤンヤの拍手クラッカー


まあ、最前列かぶりつきでこれだけの演奏を聴けたことに感謝しつつ、まだ38歳の彼の完全な復調を気長に待ちましょう。来シーズンはバービカンに4回も出てくれるのですが、最近あそこは値段が高いので一枚だけ買ってあります。

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