<10th Apr Wed>
サッチャーさんのお葬式は来週水曜日に決まりましたが、「国葬」で女王陛下ご夫妻もご臨席というのは凄い。国葬state funeralってチャーチル首相以来みたいで、ダイアナ妃はもしろんのこと、あれだけ国民に好かれたエリザベス皇太后ですらそうではなかったですからね。女王様とサッチャーさんはあまりうまくいってなかったという話ですが、、女王様も彼女の偉業は認識なさってたということでしょう。サッチャーさん自身は、そういう大袈裟なお葬式はして欲しくないと言ってたそうですけどね。形にしなくても、私の偉大さはわかってるでしょ、とでも言いたげなサッチャーさんに拍手 水曜日は会社を半日休んでランチに行くのですが、折角だから丸一日休んでお葬式パレード見に行こうかしら・・
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昨日、4月9日、ウィグモア・ホールでノルウェイ人ピアニスト、アンスネスLeif Ove Andsnesのピアノリサイタルがあり、大ファンの私はもちろん喜び勇んで出掛けました
彼を聴くのは初めてのトーチャンも連れてってあげましたが、私が「彼って凄く上手よ~、あんな軽やかでピュアな音色出せるピアニストは他にはいないんだから」、と散々褒めちぎって期待が高過ぎたせいだけでなく、トーチャンの評価は決して高くなかったです。それも当然、私自身もかなり失望してしまったリサイタルでした。 彼の演奏は何度も生で聴いてますが、私にとっては今回が最も期待外れだったかな・・
Beethoven Piano Sonata No. 22 in F Op. 54
Bartók Suite Op. 14
Beethoven Piano Sonata No. 28 in A Op. 101
interval
Liszt Pensée des morts S173 No. 4
Chopin Nocturne in C minor Op. 48 No. 1/ Ballade No. 4 in F minor Op. 52
アンコールはショパンのワルツ2曲。
何が悪かったの?
まず、彼は今ベートーベンに心酔しているようで、ピアノコンチェルト全曲を録音中なのですが、なぜかベートーベンは私の琴線には触れないのに、それでもまだ熱情とか月光とかは好きだけど、知的な彼が選んだのは暗くて地味なソナタ2曲だったので、2曲の間に弾いたバルトークが私にとっては救いだったくらい。
まあ、それは私の好みの問題なのですが、でも、果たしてベートーベンでアンスネスの良さが充分発揮できるのでしょうか? 自分のやりたい曲を弾いて新境地を開く心意気には拍手ですけど・・、
清らかで爽やかなタッチが彼の真髄なのに、前半はやけに重かったのは、トーチャンが言うように「右のペダルを踏み過ぎなんじゃないのか」、ってことだったかもしれません(トーチャンはピアノが弾けるし、物理学専攻だったので音の伝わり方のウンチクもたれてくれました)。
フレンズ予約では席が選べないので私たちは最前列だけど鍵盤側ではなくピアノの底をやや右側から見上げる席だったので手は全く見えないけどアンスネスの足が目の前にあったせいもあり、こんなにペダルを踏むところを熱心に見たコンサートも初めてでしたわ(笑)。
このコンサートはBBCラジオで生放送してて、曲の合間の説明やアンスネスのインタビューをイヤホンで聴いてたのですが、インターバルに「後半はもっと暗いですから」と彼自身が録音で言ってた通り、リストもショパンも暗くて重かった・・・
最前列だと低音が特によく聴こえてしまうので余計そう思ったのかもしれませんが、でも、このホールの同じような席で聴いた3年前のアンスネスのショパンは爽やかで明るくて感激でしたけどね(→こちら
)。
アンコールはショパンのワルツを2曲。弾く方も聴く方もショパン・ムードになっていたのですんなり入れ、最後の有名なOp.34 No.1でやっとショパンらしい甘美な演奏を聴くことができて、暗いままで終わらなかったのは嬉しかったです。
でも、ほとんどずっと演奏中は沈痛な面持ちだったことから察するところ(いつもは淡々としてるのに)、きっと感情的な思い入れも深かったに違いなく、それで疲れてしまったのか、それともアンコールは少々練習不足だったのか、ミスタッチは極めて少ない確実なテクニックの彼にしてはちょっとぎこちなくてと完璧ではなかったように聴こえました。それとも、いつもは手が見える席で「すごーい!」と視覚的に惑わされるのに、今回は音だけを冷静に聴かざるを得なかったのも一因かしら?
などと、いつもと違う状況で、アンスネスの新しい面に接することができて、期待外れではあっても、それはそれで新鮮だったかもしれません。iPlayerで聴いてみたら、又違って聴こえるかもしれないしね。
でも、謙虚すぎて、抜群の実力の割には人気のないアンスネス、このプログラムであちこちツアーするようですが、ウィグモア・ホールにはぴったりでもあまりに地味なので果たして切符が売れるのかしらと、ファンとしては心配になります。たとえ売れても、彼らしさが出せないわけだし・・。
私としては、早くベートーベン熱から冷めて欲しいと願ったりしちゃいますが、次に彼を聴くのはいつかな、なにかな、と思ったら、チェッ、やっぱりベートーベンか(来年3月4日のバービカン→こちら
)・・・
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