<13th Apr Sat>
昨夜は、瀟洒な住宅街にあるこじんまりしたペルシャ料理屋で女子会。3人ともファンであるクラウス君をサカナにして飲むワインは格別 サフランライスとかのお料理も美味しかったし。
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ROHでは初登場のヴェルディのナブッコの第一チームに、3月30日、4月4日、6日の3回行きました。
定番の舞台横の席、片側だけしか売ってくれなくて、3回とも同じ角度で、しかも深い舞台だったので後ろの方は見えなくて、ちゃんと見たとは言えないのですが、いつものようにビジュアル面は軽視の私、歌が聴こえればいいのよ、と半ば負け惜しみ言いながら、見えた範囲での感想を書いておきます。
どんな話かと言うと、
ナブッコは娘が二人いる古代バビロニアの王様で、イスラエルとの対立、強欲な悪い娘との確執、良い娘に影響されてのヘブライ教への改宗、というまるで異教徒だったリア王がヘブライ教徒になって、偉大な王様になるという、丸っきりキリスト教徒側から書かれた筋書きなのがしらけますが、旧約聖書に基づいているから、そりゃ仕方ないか・・・。
Composer Giuseppe Verdi
Designs Alison Chitty
Lighting design Alessandro Carletti
Movement Simona Bucci
Video design Luca Scarzella
Conductor Nicola Luisotti
Nabucco (Nebuchadnezzar) Leo Nucci
Ismaele Andrea Caré
Zaccaria Vitalij Kowaljow
Abigaille Liudmyla Monastyrska
Fenena Marianna Pizzolato
High Priest Robert Lloyd
舞台、衣装、演出
上の写真3枚はプロダクションの写真ですが、そうか、こういうセットだったのか。
ご覧の通り、全てグレーで暗いばっかりですが、それはスタイリッシュと言えなくもないし、現代(1950年代かな?)に読み替えるのも構わないのですが、決定的に気に入らなかった点が2つ。
まず、敵対する異民族であるバビロニアとイスラエルの人たちの衣装がまるで同じなので、どっちがどっちなのかわからない。コーラスの男性の中でしょっちゅう出てくるのでお馴染みになってて個性的なおじさん二人がいて、その一人がバビロニア、もう一人がイスラエル側だったので、「こっちのおじさんがいるからXX人たちなんだわ」、と判断したけど、はじめて見る人は混乱するだろうが
もう一つは、舞台は大きな砂場になってて、たくさんの人が動くと白い細かい砂煙りがもうもうと立つこと。口の中に砂が入るってる歌い手にとっては最悪なわけで、出演者の健康を害する演出なんて最低最悪。皆さんお気の毒
←こいつらがプロダクションチームです。演出のダニエル・アバトは有名指揮者クウディオ・アバドの息子だそうですが、お父さん、注意してやって下さいよね。砂はオーケストラ団員の上にも降ってきて、あれでは楽器も痛むでしょ
そう言えば、ほとんど人は動かなくて突っ立って歌う場面がほとんどだったのは、砂の害を考えてだったのかしら? 動かないこと自体、すごく退屈な演出だったから更に怒るけど。ビジュアル重視のメトロ新聞の評価は一つ星という滅多にもらえない不名誉だったけど、さもありなんだわ。
パフォーマンス
カーテンコールの写真はほぼレオ・ヌッチに集中
ご存知のように若いテノール君が好きなこの私がなぜ爺さんバリトンばかりを狙うんだろうと、自分でも笑っちゃいましたが、なぜかヌッチは昔から好きなんです
でも、ヌッちゃんたら、日本にはしょっちゅう行くくせにロンドンにはほとんど来ないので(そういうオペラ歌手が多過ぎる)、この13年で僅か2度目(先回は4年前のリゴレット→こちら )。当然これが最後かもと覚悟もしなくちゃいけないでしょうから、撮影にも力が入ります
で、ヌッちゃんはどうだったかと言うと、枯れて歌も演技も良い味出してるのはさすがの貫禄だけど、嗚呼、でも、当たり前だけど全盛期の声の輝きは失せてるわけで、声量も他の人たちに負けてるし(大声の人が多かったので)、彼が誰だか知らない人は「なんなの、この爺さん」、と思ったかもしれません。
私としては複雑な気持ちで、かつて憧れだった男性がすっかり老いぼれてしまったのを見るのは懐かしさと悲しさが混じって・・(この年になって同窓会とかに出たらきっと実例もあるでしょうね)。
結局ヌッちゃんとは生きる時代が違ったということで諦めるしかないけど、70歳越してもマフィアのボスみたいな洒落たスーツを着こなしてダンディだったし、やっぱり視線はずっとヌッちゃんを追ってしまった私。いくつになっても歌うことを楽しんでるヌッちゃんを見るのは感動的ですしね。
彼の出る日はキャンセルに備えて5回分全て確保してあったけど、仕事が忙しい時期にさすがに5回は行けず、3回だけにしときましたが、まじかに生ヌッちゃんを充分見られて満足。
とても難しい役である悪い娘役のアビガイッレは、大好きなLiudmyla Monastyrska嬢。アラーニャと共演したアイーダで初めて聴いてその美声にうっとりしました。
でも、次のサイモンと共演したマクベス夫人と言い、今回のナブッコと言い、迫力路線をまっしぐらで、それができるソプラノは少ないから賢い選択なんでしょうが、私としては、リュドミラ嬢の優しく麗しい声も聴きたいです。
以前よりぐっとすらっとして容姿も改善したリュドミラ嬢は、低音が課題とは言え、立派な声量で吼えまくってくれて、今回の歌手陣の中では予想通りダントツの歌唱力でした
ナブッコのもう一人の娘は、恋人もいるし魅力的な女性という設定なんでしょうが、Marianna Pizzolato嬢の太ってることったら・・ おかげでリュドミラ嬢が引き立ったわけですが、チャーミングな女性を舞台で演じる人がここまでデブなのは怠慢そのもので、怒りさえ覚えます
いくら、容姿は二の次のオペラとは言え、観客に対して失礼だし(ブスは仕方ないけど、デブは自分の責任)、第一、整った顔立ちなんだから痩せれば美人なんだろうし、とびきりの美声なんだから勿体無さ過ぎ。
というわけで、女性二人の優れた歌唱力が目立ちましたが、二枚目役の脇役テノールAndrea Caréは、容姿も歌もギリギリ合格というレベルで(写真写りは良いけど)、今構想中の私のお気に入りテノールのリストには入れてあげません。
来週月曜からは第二チームの番が来て、ナブッコ役はプラシード・ドミンゴ。
ドミンゴ先生が出るというだけで切符が凄い争奪戦となり、安い席は一枚しか買えなかったけど、テノール時代からなぜか彼には惹かれないので一回でいいわ。尊敬すべき(尊敬はしてるの)偉大なドミンゴ先生は体調管理もばっちりなのでキャンセルはしないし、第二チームと言っても変わるのはナブッコだけで他は同じ顔ぶれですしね。
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