<22nd Sept Sun>
久し振りにゆっくりできた週末、家から一歩も出ずにパソコンにかじりつく私のすぐ横で、ゲーム「どうぶつの森」を飽きずにずっとやってるトーチャン。気が散るから他の部屋でやってくれればいいのに。
ネットで「あまちゃん」の無料動画を観るのは最近どんどん難しくなってるらしくてすぐ消されちゃうので、先週分は観られてないのだけど、最初の頃のをまとめて観られるサイトを見つけ、これも削除される前に観なきゃと焦って、土曜日は30話くらい一気に観ました。NHKが取り締まっているのだろうけど、それなら海外でも有料オンデマンドを観られるようにして下さいよね。ありがたいことに民送はゆるいようで、半沢直樹の最終回は観られました。でも、日本のテレビ番組を観るのはこれでもう止めて(トーチャンと一緒に観られないもんね)、溜まったオペラやコンサート記事を片付けましょう(ブログだってトーチャンは読めないけど、いいのか?・・いいのだ)。
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9月15日の日曜日のLSOのシーズン幕開けコンサートはコンサート形式のリゴレットでしたが、オケも歌手も素晴らしくて、大いに盛り上がりました
リゴレットってどんなお話なのかな~?と首をかしげる方は過去の記事をご覧下さいですが(→こちら )、
要するに、
せむし男のリゴレットは公爵家の道化役。自分が仕える好色の公爵に娘ジルダをてごめにされ、復讐に殺し屋を雇って公爵暗殺を計るが、公爵を愛するジルダはその陰謀を立ち聞きし、自ら身代りになって殺されるという悲劇。ヴィクトル・ユーゴー原作ですから、オペラによくある荒唐無稽のバカバカしいお話ではないし、音楽もヴェルディの中では一番の傑作だと思うし、オペラを初めて聴く方にもお勧めです。
Verdi Rigoletto
Gianandrea Noseda conductor
Dimitri Platanias Rigoletto
Desirée Rancatore Gilda
Saimir Pirgu Duke of Mantua
Gábor Bretz Sparafucile
Julien Dran Matteo Borsa
Jean-Luc Ballestra Marullo
Josè Maria Lo Monaco Maddalena
Madeleine Shaw Giovanna
Matthew Hargreaves Count Ceprano / Usher
Susana Gaspar Countess Ceprano / Page
Wojtek Smilek Count Monterone
London Symphony Chorus
London Symphony Orchestra
私の席は、いつもの通り最前列のほぼど真ん中。指揮者のすぐ後ろで、言わばオーケストラの一部みたいなものですから、その臨場感たるや、近くで接するのが好きな私にとってはこれ以上の位置はありますまい
汗がポトポト滴り落ちる指揮者ノセダの男性的できびきびとした身動きを見上げながら、体中で感じる、というよりも包まれてるような大迫力で、今回は特にリゴレットのオケ音楽を、並みのオペラ専属オケよりは上手なLSOで堪能して、久し振りの感覚に何度も体が震えました
いくらオケが素晴らしくても、歌手が下手であれば台無しですが、これも文句なしで、コンサート形式だけど全員暗譜で演技もしながらだったので、細かい表情までしっかり見える私はフルステージのオペラよりも物語として楽しめました。
一番楽しみにしてたのはジルダ役のデジレ・ランカトーレ。
日本ではよく歌うくせに、ロンドンにはちっとも来てくれなくて、たしかちょっと前に急な代役でROHに一回だけ出たのですが(リゴレットかな?)、切符を持ってない日だったので聴き逃し、ROHでホフマン物語のオランピアでマルセロ・アルバレスと共演して以来ですから、生で聴くのはなんと13年ぶり。
体も声も一回り太くなったランカトーレ嬢は、いまや華やかなスター歌手ですから、歌にも演技にもオーラが出てました。ジルダ役にははかなげでピュアなシウリーナの声の方が私の好みですが、やっと旬のランカトーレをまじかに聴けて大満足
インターバルでドレスも着替えてくれて、前半はストラップレスの銀ラメ(カーテンコールがなかったので写真はなし)、後半はこの黒いドレス。どちらも素敵なドレスだし、物語の進行とジルダの心境に合わせるために変えてくれたのは感謝しますが、写真ではわからないけど特にこの黒いスリムなドレスは彼女の体型に適しているとは思えず、ちょっと残念。お腹の肉がもろにわかってしまうこんなデザインや素材ではなくて、上手にカバーすれば、金髪巻髪の美人度が更にアップするんじゃないかなあ。
女たらしの公爵は、3年半前のROHのトラヴィアータ(→こちら
)で大ファンになったサイミール・ピルグ。
椿姫とリゴレットでの役柄の違いを考慮に入れても、あれ以来躍進目覚しいピルグ君はスターらしい華が備わって歌も演技も余裕で、オペラきっての色悪男をチャーミングに演じてくれて、目が離せませんでした。3年前より随分垢抜けて男前になったこと
この翌日に聴いたセルソ・アルベロ君と共に30そこそこのテノールのトップを走ってるピルグ君、今度はいつROHに来てくれるのかなあ、と私の首はすでに長くなりはじめてるので、早く来てね。あちこちで売れっ子だから無理かしら。
リゴレット役のディミトリ・プラタニアスは、グリゴーロ目当てで何度も観た1年半前のROHのリゴレット(→こちら )で嫌というほど聴いたので新鮮味はないし、ROHの時同様、演技が下手なので、 なるべく見ずに歌だけに集中してたのですが、輪郭のはっきりしないバリトン声は好みではないとは言え、立派な歌唱で、はじめて彼のリゴレットを聴く人は感動したに違いないです。
脇役さんたちもほどほどに上手で(特に殺し屋スパラフチーレ役が良かった)、迫力あるオケ演奏とルックス面も含め理想的な三つ巴の主役トリオで、舞台セットはなくてもリゴレットの素晴らしさが今更ながらよくわかった印象的なパフォーマンスでした。良い作品は何度聴いても飽きませんね。