<28th Jan Tue>
地元のチャイニーズレストランで初めてお会いする方3名を含む日本女性8人で女子会ランチ。いまだに平日ランチできること自体がやけに嬉しい元フルタイムサラリーマンですが、いやー、すみませんねえ、明日も働きに行きません。なんせドン・ジョバンニ新プロダクションのリハーサルですから。
-------------------------------------------
バレエは全くの門外漢の私。その証拠に、代表作の一つであるジゼルを観るのが今回初めてなんです。
なので、気の利いたことなどはもちろん何にも書けず、カーテンコール写真を貼るくらいしかできませんが、今回は1月20日と27日に違う2チームで2回観て、私なりに比較したくなったので、超初心者の浅い見方ですが、書いておきます。
まず、私よりもっとバレエに疎い方のために、どんなストーリーかと言うと、
村娘ジゼルは、貴族の青年アルブレヒトにたぶらかされてその気になるが、アルブレヒトには婚約者がいることがわかると狂乱状態になり、元々心臓が弱いこともあり、あっさり死んでしまう。
ジゼルが精霊となって徘徊する暗い森で、墓参りにやって来たアルブレヒトと再会。裏切り男は精霊仲間たちによって死ぬまで踊り狂うのであるが、ジゼルが「この人だけは許してあげて」「駄目!」、「そこをなんとか、お願~い」、「拒否!」、ともたもたしている間に夜が明けてしまい、精霊たちは消え、青年は助かる。
話はシンプルで、パフォーマンス時間も正味100分と短いんですが、風変わりで踊りにくそうな振り付けがたくさん出てきて、「お~、こんなに難しいバレエだったのか!」、というのが私の第一印象。
プログラムはクリックで拡大して下さいね。
1月20日は、サラ・ラムとスティーヴン・マックレーのコンビでしたが、実はマックレーは急な代役。
この日にしたのはルーパート・ペンファーザーを見たかったためだったのですが、怪我して見られなかったのは残念だけど、代役がマックレーなら文句は無し。私の嫌いなロベルタ・マルケスと組むことが多いので遠ざかってるだけで、山椒は小粒でピリリと辛いマックレーも大好きですから。
ルーパートにしたのは、どうせジゼルの相手なんて担ぐだけの役でしょ、立ってるだけなら一番私好みのハンサムなダンサーを愛でよう、と思ったからですが、踊りを見たら、「あー、よかった、マックレーに代わってくれて。ジャンプも多いこんな難しい役、ルーパートじゃ無理かも」、と。ルーパートより良いどころか、シャープでジャンプの切れも良いマックレーは、1週間後のアコスタよりも私は上手だと思いましたよ。
そして、ジゼルのサラ・ラムにとってはこの日がロールデビューという特別な日だったんですが、そんな大事な日に急に相手役が変わったりして大丈夫かしらと、ハラハラしちゃいましたが、良い意味で緊張感があり、それはそれで感動的。
サラちゃんは、ほっそりして可愛いけどなんか存在感の薄いダンサーという印象でしたが、バレエ好きの知り合いの皆さんが「サラちゃん、最近良いよ~」、と仰っていたように、難しい大役のロールデビューを立派に果たしました
1週間後のオシポワと比べると、生きてる時の病弱な風情はよく出てたし、幽霊になってからは元々そんな感じのルックスを活かして、身のこなしも表情もぴったり。ジャンプの時は、「オシポワだったらきっとジャンプももっと高くてシャキっと伸び切ってるんだろうな」、と想像したりしましたが、サラちゃんのはかなげでクニャーンとした感じも愛らしくてチャーミングなジゼルでした
たくさん撮ったサラちゃんのカーテン写真はどれもとびきり可愛くて美人
↑
マックレーの奥さんであるエリザベス・ハロッドと高田茜ちゃん。二人とも素敵でした。
1月27日はライブ・シネマ上演だったのですが、そんな大事はイベントにはそりゃトップチームでなきゃいけないわけで、入団したばかりのナタリア・オシポワと一番人気のカルロス・アコスタ登場。
そろそろ引退が囁かれるアコスタは、かつてのジャンプ力はないのでしょうが(私はあまり好きではなくそんなに観てないのでわからないけど)、大スターの貫禄とまだまだいける期待通りの踊りを見せてくれたのはさすが。
他の人と肌の色が違うのでカーテンコールで良い写真が撮れないのがナンですけどね。
しかし、この日のスターはオシポワで、いくつかの新聞批評で5ツ星だったのもベタ褒めされてた彼女のおかげでしょうから、期待は異常に高まるでしょ
オシポワ嬢は、2010年8月にボリショイ引越公演のドンキホーテで驚異的なジャンプを見せて話題になった人で(→こちら )、その後ロメジュリとかモダンバレエでも観ました。でも、やっぱり体操競技のようなエネルギッシュな動きが印象に残っていたのですが、このジゼルで見せたしなやかさにはびっくりで、期待を上回る神業
異常に長い腕が美しく曲がりくねり、お得意のジャンプはもちろん高くぴたっと決まり、もうこれは他の誰と比べても次元の違うレベルでしょう。
初めてのサラちゃんが素のままのジゼルだったのに対し、この役はきっと何度もやっているに違いないオシポワは実にきめ細かい演技で余裕たっぷり。
でも、こんなこと言っちゃ悪いけど、前半は病弱の村娘にしては元気過ぎた上、研ナオコ似のファニーフェイスの彼女の濃過ぎる演技はちょっと気味悪くて、モテモテ可愛い子ちゃんには無理があるような・・・。上手なんですけどね~、やっぱりバレエってビジュアルがモノを言いますよね
で、幽霊になった時はあの顔でどうやってやるんだろう、と思ったら、白塗りにしてずっと伏せ目がちの無表情で通し、「前半との違いをきっぱり表現してさすがだ」、と感心はしたのですが、これもやり過ぎで、やっぱり気味悪かった・・・。サラちゃんは生きてても死んでからもほとんど同じ顔だったけど、そのナチュラルさの方が私は好きだな。
美しく撮れてる写真を選ぶのに苦労したわ・・・
しかし、まだ二十代で、ロッホとコジョカルのスター二人に逃亡されてお先真っ暗だったロイヤルバレエの救世主になってくれたオシポワには大感謝で、私はなるべくバレエ地獄に引きずり込まれないように踏ん張ってるんだけど、こんな凄いダンサーが入ったら観に行かざるを得ないじゃないの。困った、困った・・。
前半は崔由姫ちゃんも出てて、日本人3人娘は重要な役で皆さん素晴らしかったけど、オシポワの凄さの前ではすっかりかすんじゃいましたね・・・
カーテンコールには、演出家及び追加振付師のピーター・ライト氏も登場。
開演前のポール・ハムリン・ホールには、引退したダーシー・バッセルもいました。ライブシネマにコメントしてたんでしょう。