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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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テオドーラ by Handel 恋と殉教のオラトリオ

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2月8日の土曜日、バービカンでヘンデルのオラトリオ「テオドーラ」を聴いて来ました。


カメラ今回は例のハゲオヤジがいなかったので、写真は撮れました。最前列からは角度が悪いんですが、クリックで拡大します。


歌手の皆さんは揃って素晴らしくて感動でしたが、晩年のヘンデルの熟練さといつもの華やかさは充分なものの、耳に残るアリアもなくリブレットもぱっとしない割には正味3時間以上と冗長な印象で、当初からヘンデルのオラトリオの中では上演回数が一番少なく不人気なのもうなづけます。今回は演奏も歌唱も超一流だったので楽しめましたが、これを下手くそがやった日にゃ拷問だ。


敬虔なキリスト教徒の殉教とロマンスがテーマで、


4世紀のアンティオキア(現南トルコ)の王女テオドーラはキリスト教祖で、ローマ総督が彼らの神に生贄を捧げろという命令にガンとして背き、捕らえられて売春婦にされてしまう。キリスト教に改宗したローマ軍人の恋人が身代わりとなって救出されるが、罪を被った彼を救うべくローマ総督のところに出向き、「彼は悪くないから、私だけ処刑して」、「いや、僕が罪人だ」、と庇い合うも、「それなら二人とも死刑」とあっさり。

オペラだったら、悪代官は「よし、お前たちの愛の強さには負けた。許してやる」、ってなりそうなのにね。


でも、ロマンスあり葛藤ありでドラマ性はあるので、ザルツブルグ音楽祭や、フルオペラとしてグラインドボーンでも上演されてます。 



Handel Theodora


The English Concert
Harry Bicket conductor
Rosemary Joshua soprano
Sarah Connolly mezzo-soprano
Tim Mead counter-tenor
Kurt Streit tenor (Andrew Kennedyの代役)
Neal Davies bass
Choir of Trinity Church Wall Street


実はこれ、この6日前の2月2日にニューヨークのカーネギーホールでもやったそうですが(→こちら )、歌手は少し違ってて、当初の予定で同じなのはサラ・コノリーとニール・ディヴィスの二人だけ。タイトルロールはローズマリー・ジョシュアの代わりにNYは ドロテア・レシュマン、カウンターテナーはDダニエルズ。
バービカンのテノールはアンドリュー・ケネディの予定だったので、全て英国人で揃えようとしたようですが、結局カーネギー・ホールのチームのカート・シュトレイトが代役に来てくれて、ちょっと英米混合。

でも、CTのティム君がキャンセルしなくて本当によかった。「大西洋をひとっ飛び、助っ人に行ってやるぜ。おいらの方が有名なんだし、客も喜ぶだろうて」、ってディヴィッド・ダニエルズが言い出したら嫌だもん。
         

ワンピース

私は女性陣二人の歌唱が特に素晴らしいと思ったのですが、衣装に関しては、二人とも、なんと言うか・・・叫び




  


まず、タイトルロールのローズマリー・ジョシュア


彼女はありふれたドレスじゃなくていつもユニークな衣装で楽しませてくれるので期待してたんですが、今回は度肝抜かれました。


だって、え~っ、舞台で歌うのに、トレンチコートって・・・目




風変わりにも程があるってもんですが、果たしてこれは元々トレンチコートだったのを裾だけタックして舞台衣装にしたものなのか、それともトレンチコート風デザインの舞台衣装として誂えてもなのか、最前列で並んでかぶりついてた友人お二人と「どっちなんだろうね?」、一緒に首をかしげました。


目の前なので素材もわかるのですが、このデザインのトレンチコートにしては布地が薄くて光沢があるので、やっぱりこれはドレスの一種かな?とも思うし(それなら違う色にすればいいのに)、でも、それにしちゃ上半身はきっちり縫ってあるから、やっぱりコートをアレンジしたのかな、とも思うし・・。


はたまた、遠くの席でご覧になって、「ドレスにシミとかできたので隠すために急遽コートを羽織ったのかな?」と仰った方もいて(途中で脱がなかったから、それもあり得る)、話題沸騰の衣装でしたが、このたくし上げスタイルはコートとして着たらとてもお洒落なのは明らかで、やっぱりジョシュアはセンスがあると思いました。


(追記: レイネさんから教えて頂いたのですが、これはオランダのバウという人のデザインの衣装で高かったようです。)


     



服のセンスと言えば、もう一人のサラ・コノリーは変わったセンスの持ち主だと思うことが多くて、いやもっと端的に言えば、「うわっ、センス悪っ!」、といつも思うんですよね(プライベートのコーディネートは素敵ですけどね)。


なので、この日も期待は低かったんですが、果たして、又、品の良くないプリント柄ですかぁかお


まあ、もっと趣味悪かった時もあるし、今日のはまだ普通か。


でも、この柄でも、素材がゴージャスだったら救われるんでしょうが、薄っぺらでチープな感じなのが残念。


それに、こういうダボダボなデザインはデブ女が着ればいいのであって、スタイルも良くて顔もギリシャ彫刻風美女であるサラ様は長所が活かせるようなシンプルで上品なドレスをお召しになって頂きたいものです。     


でも、衣装はともかく、こんな素晴らしく上手なソプラノとメゾソプラノのベテランがイギリスにいてくれるのはとても嬉しいですクラッカー  特にサラ様は音符をほとんど見ずに歌い、今まで聴いた中でベスト。彼女自身もとても満足だったらしく満面の笑みニコニコ



    



直前に代役になって私を喜ばせてくれたのが、NY組にも入ってたクルト・シュトレイト。ROHにも何度か登場してるし、去年ブリュッセルのモネ劇場で観た皇帝ティトの慈悲にも出てたアメリカ人テノールで、テクニック的には特に上手いとは思わないけど、まっすぐ伸びる声が心地良いし、長身でかっこ良いおじさんなので結構好き。

トーチャンも、「誰がベストシンガーだったと思う?」と聞いた時に、「皆上手だったから選ぶの難しいけど、テノールに一番惹かれた」、と言ってたので、華があるんでしょうね、彼には宝石ブルー

 



    


以上3人は何度も聴いててその実力はわかっているので、最初から期待してましたが、一番心配&楽しみだったのはカウンターテナーのティム・ミード


彼も何度か聴いたことはあるけどほんの脇役で、こんな大役で聴くのは初めてだし、いつも出だしは良いんだけどすぐに締まりがなくなってヘナヘナになってしまうティム君に果たしてこんな長丁場の主役が務まるのでしょうか? でも、最近の彼のことを褒めてらした方もいるので、あの情けないティム君もやっと成長してくれたのかも、とはらはらワクワク。


で、どうだったかと言うと、はい、期待通りコントロールが進歩してうんと上手になってて、仲間も皆、ティム君のことを褒めてましたクラッカー

長いので最後の方はちゃっと緩んでしまった感もあるけど(私が飽きたこともあり)、まず声量が立派なのがCTにとっては高得点(こないだのショル兄とはえらい違い)。低音に少々難があって1、2度地声になってしまったけど、まろやかでよく伸びる声はいわゆる女の腐ったCT声ではないのが私には一番アピールする点で、これをDダニエルズで聴かずに済んで本当に良かった・・・。


ティム君は長身で顔も悪くないから、こういうロマンチックなヒーローにはぴったりなのも売りものにできる要因で、昨今のCT百花繚乱時代でもフルオペラで二枚目役が視覚的にはまる人はそんなに多くはないので、ティム君にはそれを生かして更に躍進して欲しいものです。


で、同じイギリス人CTということでイエスティン君(Iestun Davies)とどうしても比べてしまうわけですが、コロラチューラはティム君の勝ちだけど、好みはあるにせよ声自体の美しさと鮮明度では私の軍配はイエスティン君に上がります。 でも、これでティム君はイギリスNo2の地位を確立したと思うので、CTヨーロッパ勢に二人で挑戦してね。


今年になってすでにロビン・ブレーズ(→こちら )、ショル兄(→こちら )、ティム君とCTを三人聴いたわけですが、来月早々イエスティン君をENOのロデリンダ(ヘンデル)で観ます(→こちら )。

更に、ウィグモアホールで6月にイエスティン君2回(→こちら と→こちら )、7月にはクリストファー・エインズリーのリサイタルもあるし(→こちら )、秋にはいよいよ真打登場でフランコ・ファッジョーリがイドメネオでROHに出てくれるとのことで、楽しみです。




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