<12th Feb Wed>
冬季オリンピック観戦で忙しいのに(ちゃんと観るのはフィギュア・スケートだけですが)、日曜日から泊りがけで遊びに来てるムスメと一緒に不要品の整理が捗りました。でも、こんなことばかりやらせると、もう遊びに来てくれなくなるかもしれないので、これくらいにしとかないとね。
今夜はドン・ジョヴァンニに行きました。リハーサルと初日を観てから少し間があいたけど、私のドンジョ祭りはまだまだ続き、もしかしたら回数記録更新するかも・・。ドンジョについて書きたいことはたくさんあるけど、その前にまず、マノンを片付けましょう。
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2月4日 その日の夜から地下鉄ストライキが始るという日にROHのマノンを観に行きました。
今回はマノンだけ二人いて、先月2度行ったエルモネラ・ヤホ(→こちら ) に続き、今日のマノンはアイリーン・ペレスなので、比較するためにもそりゃ行かなくちゃね。
3年半前のプレミエのネトレプコとグリゴーロ組(→こちら )と比べたら当然切符の売れ行きがうんと悪くて、この日は一番高い席がかなりダンピングされ、それでも売れなかったとみえて、オーケストラストールを学生に10ポンドで叩き売り。どおりで客席の雰囲気がいつもと違ってたし、あり得ない場面で笑いが起こったりして(教会でマノンに誘惑されて、デグリューが陥落する一番良いシーンよ)、オペラ超初心者で溢れたオペラハウスでした。
で、ROHの狙いである新規客獲得のためにこのパフォーマンスは果たして役立ったのしょうか?
メキシコ系アメリカ人のアイリーン嬢は何度か聴いていて、あまり声が好みではないし特に上手だとも思わないので、今回の期待は彼女の愛らしさ。
小柄で可愛いアイリーンは、こないだのヤホが素材の悪さを必死の演技で克服したのと比べると、自然に振舞ってナチュラルな魅力をたっぷり見せてくれました。
オペラを初めて観る人にとっては、ビジュアル面は大切でしょうから、アイリーン・マノンはうってつけで、オペラにはちゃんと役柄に合う容貌の人が出るのだという美しい誤解を招いたことでしょう
オペラの名誉のためには歌でもしっかりして欲しいわけですが、これがかなり問題で、最初は普通だったけど、どんどん声がしょぼくなってきて、超不調に。
うわーっ、こんなんだったら、今夜から地下鉄ストライキ開始で帰りの足が心配だから途中で帰ろうかなと本気で思ったけど、最初のインターバル後から調子が戻ったので、結局最後まで見て、可憐でフォトジェニックなアイリーン嬢の写真をものにすることができました。
ということで、やはり予想通り、歌唱力と演技力ではヤホの勝ち、マノンとしての魅力はアイリーンの勝ちですが、初めて観る人にもこのドラマチックで音楽も素晴らしいオペラは充分楽しめたと思います。カーテンコールのアイリーン嬢は最初から涙うるうるで(死ぬ場面から泣いてた)、とても嬉しそうだったので、最後までいてよかった。
それに、あのしつこい映像が邪魔臭いドン・ジョヴァンニを見た後では、このマノンのガラーンとし過ぎてつまらない舞台が「すっきりしてる方が歌手の歌と芝居に集中できていいわ」、とすら思えて、演出のローラン・ペリーを見直しました。
アイリーン嬢は、もうすぐ始るトゥーランドットと、5月のトラヴィアータ(椿姫)にも出てくれますが、特に椿姫は大好きなコステロ君との夫婦共演なので楽しみ。
マシュー・ポレンザーニは、前回2回と同じで、やっぱりちょっと失望したけど充分上手なので何度も聴く価値あり。
でも、平土間にたくさんいたオペラが初めての若者たちに
とっては、ルックスがネックでしょうね、残念ながら。
こんなオッサンがどうしてあんな可愛いマノンと恋人になれるんだ?って、普通だったら思いますもんね。
ま、オペラに足を踏み込んだらすぐに「役柄に合う容貌の歌手が出ることは少ない」、という現実が嫌でもわかるんですけどね。
でも、それだからこそオペラって凄いと思うんですよね。上手に歌える人は貴重なので、その難関を突破した人の顔や体型、年齢なんて二の次、三の次で、①全く役柄から外れてるけど歌の上手な人と、②ルックスはぴったりだけど歌がイマイチ、という人を比べたら、オペラは長いし、誰でも①を尊重するでしょ?
あ、今日発表になったニューヨークのメトロポリタンオペラの来シーズンにマノンがあり(同じプロダクション)、ダムラウとグリゴーロだって。いいなあ。
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