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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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連隊の娘のリハーサルに二人のマリー!

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<28th Feb Sat>

楽しみにしてたのに、ネトレプコがファウストから降板叫び 「この役は私に向いてないから」、ってことですが、向いてないかどうか、いっぺんやってみればいいのに。これまで、もっと難しいロールデューでいきなり生中継とかやっちゃう勇気あるネトコちゃんなんだし、ファウストなんて簡単じゃないの? それにROHの観客は優しいし最近は滅多に来てくれないネトコちゃんが出てくれるだけで大喝采だったのに、残念。それにしても、誰が代役になるのか心配・・ガーン。(ソニア・ヨンチェヴァだといいなあ、或いは前にも出た美人のマリン・ビストロムという線もありか?)。トスカにブリン・ターフェルが代役で出ることにもなったし、オペラ歌手にキャンセルにつきものですが、実は今日もROHでドラマチックな降板劇があったんです。

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今日は、ドニゼッティの楽しい喜劇オペラ「連隊の娘」のリハーサルでした。


オペラとプロダクションについては、7年前のプレミエ時の記事をご覧下さいですが(→こちら )、他愛ないストーリーで、


赤ん坊の時に戦場で拾われたマリーは、連隊全員の娘として育てられ幸せに暮らしていて、トニオという恋人もいましたが、実は貴族の娘とわかったので館に連れて行かれ、公爵の息子と結婚させられそうになったけど、連隊の助けで結局恋人との結婚を許されてめでたしめでたし(ほら、文章ひとつで書けちゃった)。


がま口財布幸い舞台横の一列目が取れたので(リハチケは激安)、いつもの3列目の硬いベントシートではなく肘掛付きでソフトな椅子に座れて贅沢気分も味わえてハッピーだったばかりでなく、


このプロダクションはプレミエ時から嫌というほど観てるし、主要キャストは先回と同じなのでつまんないわあ、と思っていたところ、妙な事態になって面白かったです。



La fille du régiment


Director Laurent Pelly

Dialogue Agathe Mélinand
Set designs Chantal Thomas
Costume designs Laurent Pelly
Lighting design Joël Adam
Choreography Laura Scozzi
Conductor Yves Abel
Marie Patrizia Ciofi/Anna Devin
Tonio Juan Diego Flórez
Sulpice Pietro Spagnoli
La Marquise de Berkenfeld Ewa Podles
La Duchesse de Crackentorp Kiri Te Kanawa
Hortensius Donald Maxwell

始る前に「マリー役のチョーフィはchest infectionで苦しんでますので、フルには歌えません」というアナウンスがあり、たしかに声量を抑えてスタート。私は舞台から近いのでよく聴こえたし、チョーフィの優しい声はこうしてソフトに歌う方が素敵だわと私は思ったのですが、でも、ちゃんと歌わないのも難しいのか、段々青筋立てて必死に頑張ってしまい、かわいそうに、第一幕が終わる頃には声はヘロヘロ・・。
ガーンうわーっ、なんと痛ましい。今日は写真撮影のために出る必要あるのであれば、演技だけして歌は他の人に歌ってもらえばいいのに(こういうことはちょくちょくあり)、と思ったら、やっぱり幕間にダウン。
でも、チョーフィにはカーテンコールにも出て欲しかったですけどね。体調悪いのにあんなエネルギッシュにおてんば娘を大熱演してくれたプロ根性には脱帽で、きっと絶大な拍手だったに違いないですから。


  


代役はアイルランド人のアンナ・デヴィン


2、3年前にROHのヤングアーチストだった時から大好きなソプラノなので喜んだ私。私だけでなく、観客にとって彼女はお馴染みだし、ここで育てたアーチストなわけですから、このチャンスを活かして欲しいという親心のような応援の雰囲気の中、彼女の細い澄んだ歌声がきれいに突き抜けて、さっきまでの苦しそうなチョーフィをハラハラしながら聴いたのとは対照的な明るいムードになりました。


緊張してるのか、演技は硬くて(徐々にこなれてきたけど)、ナタリー・デセーの名人芸(特に豊かな表情)には遠く及ばない、あまりにも慎ましいマリーでしたが、キャラに合わないことをして損してるチョーフィの例もあるし、なにも無理にナタリーの真似をしなくてもいいわけで、アンナは上品でおっとりしたマリー像を作り上げてくれるでしょう。ここまで来たら、初日は彼女に全部やってもらいたいものです(私は初日も行きます)。 


      


      

トニオは又ホアン・ディエゴ・フローレスかあ・・。


さすがに飽きたしなあ、最後の2回は別のテノールが出るのでその方が新鮮で楽しみかも。


などと思ってた私ですが、失礼しました!、やっぱりフローレスは偉大で、他の誰がこの役をここまで歌い上げることができるでしょう。特に好きな声ではないですが、上手なテノールは私にとってはやっぱり一番の楽しみ。



    


今回の大きな話題はキリ・テ・カナワの出演で、カメラマンがたくさんいたのは彼女の存在が大きかったに違いないです。


イギリスでは有名な喜劇タレントのドーン・フレンチの爆笑演技と比べると、コメディセンスに欠けるキリはちっとも面白くないんですが、今回は彼女にしかできない試みが用意されているので、彼女の存在価値がぐっと上がります。


それは、もちろん歌があることで、これまでと違い、この公爵夫人は一曲歌ってくれるんです。近くの席だったので彼女が持ってる音符の表紙が見えたのですが、プッチーニのエドガーというオペラで、これは以前のパフォーマンス・スタイルに戻すことになるらしいです。キリの歌声にもちろん全盛期の輝きはないですが、一昔前のトップソプラノの歌が聴けるのは貴重。


でも、やっぱり、もう少し面白い演技してくれないかなあ。ドーン・フレンチの演技の録画で練習したらいいんじゃないかな?



シュルピス軍曹は今回ここでは初めてのピエトロ・スパニョーリ


セヴィリアの理髪師のフィガロが最高でしたが、今回も美声を披露してくれて、歌唱面ではこれまででベスト。でも、演技面ではちょっと控え目過ぎたかな。フィガロのように大袈裟にやればいいのに。でも、男性的魅力もあるどて腹ハゲオヤジで、さすがスパニョーリ。


というわけで、見飽きてるから退屈するかもと思ったのですが、予想外の展開となって、面白かったです。


5回分の切符を持ってて、「さすがに全部は行かんだろ」、と思っていたのですが、どんなことになるのか俄然楽しみになってきたので、全て行くことにしました。


たとえチョーフィが全快しても、彼女のマリーは何度も観てるので、代役大歓迎。願わくは、毎回違うマリーが聴きたい。



 
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