Quantcast
Channel: 着物でオペラ in ロンドン
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3001

フローレスの出ない連隊の娘

$
0
0

<16th Mar Sun>

暖かくて良いお天気だったのに、土曜日はオペラ、日曜日はムスメが遊びに来ててDVD観てたりしてて、日向ぼっこできなかったのは残念だけど、実に気持ちの良い週末でした。

-------------------------------------------


   


3月15日の土曜日、連隊の娘に又行きました。当初フローレス王子が出る筈だったのにいつのまにかキャンセルしちゃった日で、私は切符を持ってなかったのですが、直前に友人から降ってきたので、もう一人のテノールがどんな奴なのかチェックするのに絶好の機会と喜んで観に行きました。


とは言っても、元々最後に一回だけ出る予定になってたフレデリック・アントゥーFrédéric Antounというフランス系カナダ人、名前すら聞いたこともないし、Youtubeでもまともな映像がほとんどないという有様で、そう若くもなさそうだし、期待はしない方がよさそうだけど、ま、メチャひどかったら、それはそれで面白いし、ブログねたになるからいいやという野次馬根性で、何度も聴いてるフローレスよりも実は楽しみ度はずっと大きかったんです。


そして、期待が低かったせいばかりではなく、なかなか上手だったのが嬉しい驚きでしたグッド!


個性はないけど正統派のノーブルな歌唱で、肝心なアリアのハイC以外はうっとり聴き惚れました。ま、フローレスと同じくらいスコーンと気持ちよく突き抜ける歌唱ができたら、今頃は人気テノールになってるわけで、そうじゃない人にそこまで期待するのは酷というもの。でも、そこだけちょっと弱っただけで決して悪くはなかったし、あそこまで声が出れば、フローレスの穴埋めとしては充分でしょう。フローレスのつもりで来た人も、「こんな下手くそが代役だなんて、ふざけんな、金返せ~っむかっ」、と怒った人はいないと思います。それどころか、「これで顔が良かったら、スター歌手になれるのに」、と誰しもが残念がったのではないかしら。

   


    


そう、顔がね、ちょっと残念なんですよね。いわゆるおサル顔むっ


でも、ハンサムでも寸足らずよりも、顔に少々問題あっても体格が立派なほうが舞台では映えるでしょうから(特に遠くからだと)、容貌の貧しい人が多いテノール界でこれで文句言ったらいけません。ダニエル・デイ・ルイス似で味があると思えなくもないし、トータルではなかなかチャーミングな好青年にもなり得そう。



   


軽やかさと超高音が必要とされるこのトニオ役では演技面でもフローレス王子には永久に敵わないと思うので、他の役で勝負した方がいいのではないかと思いますが、心地良い立派な声を持つフレデリック君の将来は明るくて、このROH出演が大きなステップになることは間違いないです。ROHも良い新人(年齢は不明)を引っ張ってきて、でかした、あっぱれクラッカー



ここ数年はマイナーなオペラハウスで魔笛、セヴィリアの理髪師、チェネレントラ、サンドリオン等を歌って、連隊の娘は初めてのようですが、フローレスより重い声で応用範囲も広そうなので、他のシリアスなオペラでも聴いてみたいです。


というわけで、フローレスが出なくてもとても楽しめたパフォーマンスでした。なーんて、もちろん、フローレスを嫌と言う程観たことがあるから言えることで、フローレスを初めて観る予定だった人にお気の毒。


尚、4回観たフローレスの連隊の娘は、たくさん写真も撮ったので、ざっとした感想を近いうちにまとめてみる予定です。一番時間の掛かる写真の準備はできてます。



人気ブログランキングへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3001

Trending Articles